同旨の判例が
東京高裁H25.2.22(上告棄却 最決H26.11.25)
東京高裁H26.11.13(弁護人弁護士奥村徹)
で出ていて、今上告趣意書書いている途中なんですけど、最中に、内堀外堀埋められてしまった感じです。
東京高裁H25.3.15
所論は,また,仮に顧客のダウンロードがサイト側による送信に当たるとすると,日本国内でダウンロードをした顧客は頒布行為の共犯に関われるという不都合が生じると主張するが,刑法175条I項後段のわいせつな電磁的記録の頒布罪においては,それを受信する顧客の存在が当然のこととして予想されているというべきであるところ,そのような顧客側の関与行為を処罰するかどうかは立法政策の問題であり,送信による頒布行為を処罰しながら,これに必然的に伴う申込みゃ受信等の顧客側の関与行為を処罰する規定を設けていないのは,このような顧客の通常の関与行為については,これを頒布者の可罰的な行為の共犯(教唆犯又は帯助犯を含む。)としても処罰しない趣旨であると解されるから(最高裁昭和43年12月24日判決・刑集22巻13号1625頁参照),所論
は前提を誤っており,失当である。
以上のとおり,原判示の各事実がそれぞれ刑法175条I項後段又は2項に該当するとした原判決に所論の法令適用の誤りはない。判例タイムズ1407解説
なお,本件においては,弁護人は,顧客のダウンロードがサイト側による送信に当たるとすると,日本国内でダウンロードした顧客は頒布行為の共犯に問われるという不都合が生じるとも主張したが,本判決は,刑法175条I項後段のわいせつな電磁的記録の頒布罪においては,それを受信する顧客の存在が当然のこととして予想されているとした上,最三小判昭43.12.24刑集22巻13号1625頁,判タ230号256頁を援用して,そのような顧客側の関与行為を処罰するかどうかは立法政策の問題であるとし,送信による頒布行為を処罰しながら,これに必然的に伴う申し込みや受信等の顧客側の関与行為を処罰する規定を設けていないのは,このような顧客の通常の関与行為については,これを頒布者の可罰的な行為の共犯としても処罰しない趣旨であるとした。上記最高裁判決は,弁護士でない者(平13法41号による改正によって,「弁護士又は弁護士法人でない者」と改められた。)が報酬を得る目的で業としてする訴訟事件等の法律事務の取扱い等(いわゆる非弁行為)を禁止した弁護士法72条違反の罪(罰則77条)について,弁護士でない者に,自己の法律事件の示談解決を依頼し,これに報酬を与え若しくは与えることを約束しでも,同法72条違反の罪の教唆犯は成立しないとしたもので、あり,本判決はこの点でも参考となろう。