児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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児童買春で逮捕されたが年齢知情を否認して起訴猶予。懲戒免職→審査請求により停職6月に変更

 年齢知らなかった場合には、児童買春罪にも青少年条例違反にもならないのだから、せいぜい売春の遊客程度の責任ではないでしょうか。

裁決書
主文
処分者が平成年月日付で請求者に対して行った懲戒免職処分は、これを停職6月の処分に修正する.
事案の概要
1 請求者の請求
処分者が平成年月日付で請求者に対して行った懲戒免職処分(以下「本件処分」という。)を取り消すことを求める。
2 処分の内容等
処分者は、A市立中学校(以下「中」という。)主幹教諭であった請求者に対し、平成年月日付で、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「地公法」という。〉第29条第1項第1号及び第3号の規定により、本件処分を行った。‘
処分説明書によれば、その理由は次のとおりである。
「あなたは、平成年月日午後4時39分頃、市区内のホテルにおいて、少女に対し、金銭を供与する約束をして、みだらな行為をしたとして、平成年月日、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反の容疑で逮捕された。
その後、A地方検察庁より平成年月日付けで不起訴処分の告知を受けた。
不起訴処分となったとはいえ、少女に対し、金銭を供与してみだらな行為をじたことは、本市教育に対し、重大な信用失墜を与えたものである。
これにたいして、請求者は等の理由から、本件処分の取消しを求めて、審査請求を行ったものである。
・・・・・・・
5 まとめ
本件処分の原因となった請求者の行為は、反社会的・非道徳的な違法行為であり、処分者が請求者に対して、懲戒処分を行ったことについては理由があることが認められる。
しかし、18歳以上の女性に対する買春行為には罰則規定が設けられていないことや、処分者による過去の懲戒処分事例との均衡という面からすると、本件行為が懲戒処分のうち最も重い免職処分に相当する行為とまでいうことは困難である。
また、これまで検討した量定の加重要素を加味しでも、これを免職処分とするほどの重大なものとまではいえない。
懲戒免職処分についての判例は「懲戒処分のうち免職処分は、職員たる地位を失わしめるという他の処分とは異なった重大な結果を招来するものであるから、免職処分の選択に当たっては、他の処分の選択に比較して特に慎重な配慮を要することは明らかである」(昭和49年2月28日最高裁判所第一小法廷判決)と判示レており、懲戒免職を選択する場合は、処分の対象となる非違行為が真にこれに相当するか否かについて、慎重に見極める必要があるといえる。
本件の請求者の行為について、この判例の趣旨及びこれまで検討した事情を総合的に勘案すると、請求者を懲戒免職にしなければ組織の秩序が維持できないほどの重大な非違行為とまではいえず、その職から恒久的に排除することになる懲戒免職を選択することは、重きに過ぎるといわざるを得ず、当委員会は、本件処分は処分者の裁量権を濫用又は逸脱したものと判断する。
第3 結論
本件処分は、その量定選択に当たって、処分者が裁量権を濫用又は逸脱したものであるので、その量定を免職から停職に修正することとする。
停職の期間については、教育者として生徒を指導する立場にあった請求者が反社会的・非道徳的な違法行為に及んだことにより、その職の信用を著しく失墜させたことを考慮し、市町村立学校県費負担教職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和31年神奈川県条例第36号)第5条第1項に定める停職の期間の上限である6月とする。
以上のとおりであるから、本件審査請求については、不利益処分についての不服申立てに関する規則(平成2年3月A市人事委員会規則第5号)第46条第3項の規定に基づき、主文のとおり裁決する。