合成写真の場合、浦田検事によれば、「一見明白に合成画像であると判別できる場合については, やや問題が複雑となる。なぜなら,一見明白に合成画像であると判別できるようなかたちで性交場面や裸体を写した画像と合成しても,「被害者がこのような性交を行っている」とか「被害者の裸体はこのようなものである」といった事実が摘示されたとは言い切れないのではないかとの疑問があり得る」そうです。
被疑者国選対象外ですので、弁護人を選任して主張して欲しいところです。
http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014051701001748.html
元交際女性の加工写真まく 名誉毀損容疑で56歳逮捕
逮捕容疑は昨年12月7日から8日にかけ、岐阜市に住む会社役員の女性(50)の顔写真を使って作ったわいせつなA4サイズのビラ7枚を、女性宅近くの空き店舗の窓や看板に張ったり、路上にばらまいたりして名誉を傷つけた疑い。「間違いない」と容疑を認めているという。
県警によると、2人は会社の取引先として知り合い、交際していた時期があった。
盗撮ビデオの販売行為につき,名誉毀損罪の成立を認めた事例
警察公論2003.2浦田検事
( 3) 合成画像と名誉毀損罪
近年,女性の裸体や性交場面を写した画像に他の女性の顔面写真を合成し,インターネット等を使って頒布する行為が横行しているが,こうした事案についても名誉毀損罪は成立するであろうか。
合成画像と名誉毀損罪の関係については,男女が性交している等のわいせつな写真及び被害者の顔写真並びに被害者が不特定の男性と性交を重ねている淫乱な女性である旨の文書等を掲載したビラ等を頒布した事案について,名誉毀損罪の成立を認めた例(横浜地判平5 .8 .4 判タ831・244),人気女性アイドルの顔写真に他人のわいせつな姿態の全裸写真等をすげ替え,あたかも同女らが全裸等になったがごとくに見せかけた合成写真に解説を付けるなどして雑誌に掲載した事案について,名誉毀損罪の成立を認めた例(東京簡判平13.2 .2 1) などがあり, 下級審の一般的傾向として,積極的に名誉毀損罪の成立を認めようとの姿勢が窺える。もっとも,前者の事例では,「被害者が淫乱な女性である」との事実を摘示した文書が添付されている上,合成写真を合成写真ではないかのように装って摘示しているのに対し,後者の事例では,いわゆる「アイコラ」と言って,合成写真であることを殊更強調して摘示している点において相違があり, こうした事実関係の相違が名誉毀損罪の成立を認めるための法的構成にいかに影響するかを検討しておく必要がある。
①一見明白に合成画像であると判別できない場合
②一見明白に合成画像であると判別できる場合
これに対し,一見明白に合成画像であると判別できる場合については, やや問題が複雑となる。なぜなら,一見明白に合成画像であると判別できるようなかたちで性交場面や裸体を写した画像と合成しても,「被害者がこのような性交を行っている」とか「被害者の裸体はこのようなものである」といった事実が摘示されたとは言い切れないのではないかとの疑問があり得るからである。