児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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京都地裁H21.5.15

「極めて悪質」という要件は、刑事事件になるような極限的な場合だと思いますね。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090609075420.pdf
京都地方裁判所平成21年05月15日懲戒免職処分取消請求事件
(イ) 情状等による過重及び軽減等
上記ア及びイ(ア)により懲戒処分を行う場合において,①職員が行った行為の態様等が極めて悪質であるとき,②職員が違法行為を継続した期間が長期にわたるとき,③職員が管理又は監督の地位にあるなど,その占める職制の責任の度が特に高いとき,④職員が非違行為を行ったことを理由として過去に懲戒処分を受けたことがあるときは,これらの規定により行うことができる懲戒処分より重い懲戒処分を行うことができる。この場合,規定された懲戒処分の種類のうち最も重い懲戒処分(上記イ(ア)により最も重い懲戒処分より重い懲戒処分を行うことができる場合にあっては,当該重い懲戒処分)が停職の場合にあっては免職,減給の場合にあっては停職,戒告の場合にあっては減給とすることを原則とする(なお,事由②は,平成18年9月に追加されたものである。)。
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そうすると,上記各非違行為の類型は,いずれもそれだけでは免職とはされないものである。
(3) 次に,処分の加重事由に当てはめてみると,過剰発注と私物発注とを別の種類の非違行為とみれば,複数の類型の非違行為を行っていたといえるし,少なくとも過剰発注を複数回行っていたという意味では,複数の非違行為にあたるといえなくはない。もっとも,平成18年9月の改正で加えられた違法行為を継続した期間が長期にわたるという場合が同種行為を繰り返すことと解するならば,過剰発注を複数回行っていたというだけでは複数の非違行為にはならないともいえる(なお,上記改正は,本件処分理由とされる非違行為の後にされたものである。)。また,上記の点で複数の非違行為を行ったとまではいえないとしても,過剰発注を複数回行っていたこと自体は,行為の態様が極めて悪質であるということになる可能性がある。ことに,前記の牛乳の発注に関しては期間と超過量からして,極めて悪質であるといえよう。そうすると,不適切な事務処理を複数回行ったとし,かつ,その態様が極めて悪質であるというならば,不適切な事務処理の類型に対応する最も重い処分である減給よりも重い停職をさらに加重して免職になり得るということになるが,複数の非違行為を行ったという点に若干の疑義があり,これとは別にその態様が極めて悪質であるという点で加重までするというのは,加重事由の解釈としては広すぎるといえる。
さらに,過剰発注の結果廃棄を続けたことが,公金公物処理不適正として極めて悪質であるとまでいえるかというと,公金及び公物の取扱い関係で免職とされる類型が,公金又は公物を横領し,窃取し又は詐取した場合(平成18年9月からは故意に公物を損壊した場合も)に限られていること(乙1〜3)からすると,廃棄を長期間にわたり複数回行ってきたとしても,公金公物処理不適正の類型に対応する最も重い処分である停職よりも重い免職にあたるというには,なお疑義がある(前記4記載の平成17年12月14日及び同月21日におけるすじ肉の発注についても,横領であるとまではいえないし,本件懲戒処分の理由ともされていない。)。
そして,過剰発注の結果廃棄を続けたことと,過剰発注と私物発注とを併せると,複数の非違行為を行った場合ということになり,公金公物処理不適正の類型に対応する最も重い処分である停職よりも重い免職にあたるとはいえるが,廃棄を続けたことは過剰発注の結果であることからすると,過剰発注を基準にすると加重して免職とするのは重すぎるのに,公金公物処理不適正を基準にして免職とまでするのは,均衡を失するといえる。
(4) 以上によると,被告の運用していた本件指針を基準にする限り,免職という処分は均衡を失しており,裁量権の行使としては不相当であって,重すぎることになると解される。加えて,原告が,調理業務を怠ったり,遅延したりして,児童の給食やおやつに支障が生じたことを窺わせる証拠はない。上記処分理由に対する原告の弁解は合理的とはいい難いもので,反省している様子も窺えないことを考慮しても,本件懲戒処分は,被告自ら定めて運用してきた本件指針に反するものであり,本件指針に依らない処分をしなければならないような事情も見いだせず,裁量権を逸脱した違法なものであるというほかない。