児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

憲法を条例で乗り越えた話。

 これだと、迷惑条例が憲法違反で無効になってしまいます。
 というより、「住居不可侵」で条例が適用できないというのは説明が間違ってますよね。
 住宅内の事件には警察が介入しないのかというと、殺人でも傷害でも介入してきますよね。
 被告人方、被害者方の淫行でも青少年条例違反で検挙してるでしょ。
 これは、迷惑条例の保護法益が社会的法益にあるので、それから逸脱しないかということだと思うんですよ。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140502/waf14050211320016-n1.htm
盗撮 学校・職場では検挙できない!? 憲法の?壁?乗り越え解決した京都府 規制条例に全国が注目
憲法35条

 京都府の改正条例が全国で初めて盛り込んだのは学校や職場、病院など「公衆の目に触れるような場所」での盗撮を禁止する条文。
 これらの場所での盗撮の規制を阻んでいた“壁”は「住居への侵入・捜索は、裁判官の発する令状によらなければならない」とする憲法35条の「住居の不可侵」だ。役所やショッピングセンターなど不特定の人が出入りする建物は規制できるが、限られた人の出入りが大半の学校や職場は「住居」と区別しにくく、規制は路上や公共の乗り物内に限っていたのだ。京都府でも、これまで盗撮を禁じていたのは商業施設や駅、電車、バスの中など「公共の場所または公共の乗り物」だけだった。
苦い思い出

 実際、摘発に苦労する事例もあった。平成24年10月、京都市立中学の20代の男性教諭が授業中に教室で複数の女子生徒のスカート内を盗撮したことが判明したケースでは、府警は教室内での盗撮について犯罪として立件できず、路上での別の盗撮容疑での逮捕にとどめざるを得なかった。

 壁をどうクリアするか。府警は「住居の不可侵」の適用範囲などについて、検察とも協議しながら再検討。その結果、個人宅などとは異なり、多人数が出入りする可能性が高い学校や職場、病院などは「公衆の目に触れるような場所」として規制対象に含めることができる−と判断した。    

 そこで、会議録をみると、府議会の会議録でも。「もともとは京都府迷惑行為防止条例は、公衆に迷惑をかける行為を防止するという目的に沿って、公共の場所、公共の乗り物に限定をして、これまで規制が行われてまいりました。・・・」と答弁されていて、条例の目的からの限界だと説明されています。憲法35条をせんだつする趣旨だとは説明されていません

2013.12.12 : 平成25年警察常任委員会12月定例会1日目 本文
(3) 京都府迷惑防止条例の一部改正に向けた意見募集(パブリックコメント)について
◯高瀬生活安全部次長
 京都府迷惑行為防止条例の一部改正に向けたパブリックコメントの実施について、御報告をいたします。
 お手元に配付の資料をごらんください。
 平成13年に制定された京都府迷惑行為防止条例は、第3条に卑わいな行為の禁止規定を設けて、盗撮行為を規制しております。しかし、近年のスマートフォンの急激な普及や撮影機器の発達等による行為の悪質、巧妙化が進み、府内における検挙件数も年々増加傾向にあるほか、現行条例を適用できない盗撮事案が発生しております。盗撮行為は撮影された映像が残り、さらに流出する可能性がある点において、他の卑わいな行為よりも被害が大きく、本年7月に実施した府民に対するアンケートでは、いかなる場所でも迷惑との回答が約98%、職場、学校などでの盗撮を規制すべきとの回答が約89%を占めるなど、府民に著しい不安や迷惑を与えており、職場や学校等での規制が求められる悪質な行為であります。こうした現状を踏まえ、盗撮行為の規制を強化し、府民が安心して平穏な生活を送ることができるよう、現行条例を一部改正するものであります。
 改正の1点目は、現行条例で規定されている公共の場所、公共の乗り物に当たらない、公共の場所等と認められないような学校の教室や職場等における盗撮行為の禁止であります。
 現行条例は、駅や電車等の公共の場所または公共の乗り物で行われる盗撮行為だけを規制の対象としており、これらの場所以外で行われる盗撮行為は規制の対象となっておりません。しかし、近年、学校の教室や職場等において盗撮行為が敢行されるなど、現行条例を適用できない公衆に著しく迷惑をかける盗撮事案が発生しております。
 そこで、改正案では、これまで規制の対象外でありました公共の場所等と認められないような学校の教室や職場等における盗撮行為についても、規制の対象に含めるものであります。
 改正の2点目は、通常、着衣をつけていない公衆便所、公衆浴場等における盗撮行為の禁止であります。
 現行条例は、公共の場所等において他人の下着等を盗撮する行為を規制する一方、公衆便所等において他人の裸体等を盗撮する行為を規制の対象としていないことから、改正案では、通常着衣をつけていない公衆便所、公衆浴場等における盗撮行為についても規制の対象とするものであります。
 なお、罰則の強化を含めた罰則のあり方についても検討してまいりたいと考えております。
 以上が改正の概要であります。
 今後の予定につきましては、12月20日からパブリックコメントを実施し、広く府民の意見をお聞きした上で、平成26年2月定例会において条例案を上程したいと考えております。委員の皆様には御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げまして、所管事項の報告とさせていただきます。

松井委員
 今、お示しいただいた数字からしますと、本当に頑張っていただきたいという思いがありまして、先日お示しいただいた府民の皆さんへのアンケートでも、体感治安を含めて、不安に思っていらっしゃるということで、検挙率をお聞きしても、そう思わざるを得ないところもありますので、しっかりとこれから体制も含めて、強化をしていただくことを要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 迷惑防止条例パブリックコメントの件です。スマートフォン等の盗撮がふえてきているということですが、府内の現状と、またどういったところにその理由があるのか、お示しをいただきたいと思います。
◯高瀬生活安全部次長
 まず府内の盗撮事案の現状でございますが、検挙件数を申し上げますと、平成24年中の検挙件数は79件、この数字は、平成20年以降、4年連続で増加をしております。また、本年10月末現在での検挙件数は70件ということで、依然高水準で推移をしております。このように盗撮事案が多い要因の一つとしまして、先ほど委員が申されましたスマートフォンの普及というのがございます。こうしたスマートフォンとか、カメラの小型化等によりまして、そういう撮影機器が発達し、また高機能化、小型化をしてきておりまして、盗撮に用いられやすい環境が出てきております。そういうことが盗撮事案の増加の要因の一つと考えております。
 以上でございます。

◯松井委員
 私自身、改正の内容をお聞きしまして、例えば、浴場ですとか公衆トイレ等、今まで規制されてなかったことが驚きでした。今まで規制されてこなかった理由はどういったところにあるのかと、また他府県のこうした条例の整備状況はどうなっているのか、お示しをいただきたいと思います。

◯高瀬生活安全部次長
 京都府迷惑行為防止条例につきましては平成13年に制定をされて、その時点から盗撮行為については規制されております。ただ、今回改正をして新たに規制をしようとしている部分は、先ほど所管事項の報告でも申し上げましたとおり、公共の場所、公共の乗り物等以外の場所ということで、もともとは京都府迷惑行為防止条例は、公衆に迷惑をかける行為を防止するという目的に沿って、公共の場所、公共の乗り物に限定をして、これまで規制が行われてまいりました。
 ただ、先ほど申し上げましたように、実際に学校の教室であるとか、あるいは職場等で、この規制にかからない場所での盗撮事案がふえてきておりますので、今回、その条例が手当てされてない部分について、きちんと規制をかけて、府民の安全を守りたいという趣旨でございます。
 あと他府県の制定の状況でございますが、盗撮行為につきましては、全国47全ての都道府県で同様の規制が設けられております。また、公衆便所、公衆浴場等の規制につきましては、25の都道府県で制定をされております。ただ、先ほど申し上げました公共の場所、乗り物等以外に新たに規制をかけようというのは、全国初になるかと考えております。
 以上でございます。

◯松井委員
 女性の立場だけではないですけれども、だんだんこういう犯罪等もふえてきておりますので、もちろんプライバシーのこともあるかと思いますが、そこの兼ね合い等はしっかり考慮していただくとして、きちんとした形で改正の方向に努めていただくことを要望させていただきまして、終わらせていただきたいと思います。
 以上です。
◯林委員
 今の松井委員の質問に引き続いて少しお聞きしたいです。これまで、例えば、公衆便所、公衆浴場等で、盗撮行為が行われた場合、その行為自体は取り締まりができなくても、盗撮された方が被害届なりを出されることによって取り締まりはできたということでしょうか。

◯高瀬生活安全部次長
 今、委員が言われております公衆便所、それから公衆浴場等につきましては、軽犯罪法の窃取の罪でのぞき見る、その中には盗撮行為も含まれておりますので、その部分を適用して検挙しております。
 以上でございます。
◯林委員
 ということは、(1)の「公共の場所」等と認められない学校の教室等においても同じような考え方で、これまでも一応取り締まりをすることはできていたということでいいですか。

◯高瀬生活安全部次長
 今、申し上げました公共の場所、公共の乗り物等以外の場所につきましては、現在、条例の規制はかかっておりませんし、また、そのような場所におきましては、窃取の罪、先ほど申し上げました軽犯罪法の適用もありませんので、その部分が空白の状態になっておると考えております。
 以上でございます。

林委員
 そういう意味では、この条例の改正は適正だと思います。
 先ほど罰則の件をお話されていたと思いますが、(1)のほうについては、京都府が初めて取り組むということで、(2)のほうでは、47分の25の都道府県でもう既に導入されているということで、この罰則の考え方はこれからまたしっかりと詰めていくことになるとは思います。他府県の状況を見ながら、今、京都府警として考えている罰則というのは、従来のものと同様の罰則ということで考えておられるのか、それとも何か少し違いがあるのか、お聞かせください。
◯高瀬生活安全部次長
 盗撮行為につきましては6カ月以下50万円以下の罰金、常習につきましては1年以下の懲役または100万円以下の罰金と制定をされております。
 ただ、この盗撮行為の中でも、実際に盗撮画像が撮影をされる部分につきましては、その画像が記録されますことによって、容易に複製もされますし、第三者に渡されたり、あるいはインターネット上に流出する恐れもありますので、その撮影する行為については、特に罰則を強化したいと、今のところ検討しております。
 以上でございます。
◯林委員
 ということは、行為に加えて、実際のものが撮影されていたということについては、上乗せする形での罰則適用があるということで考えておられるということですね。
◯高瀬生活安全部次長
 そのとおりでございます。
◯林委員
 大変悪質だと思いますし、非常に自己中心的な行為に対する非常に大事なことだと思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。