児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

後藤啓二「子ども虐待の現状と警察に求められる対応-現行法下でできること,今後の法整備ですべきこと」捜査研究738号

 提言が出てます。


1 児童虐待防止法,刑法等関係法令を次のように改正する。
(児童虐待防止法)
禁止される「性的虐待」に当たる具体的な行為を列挙し,それらの行為を罰則で禁止する(「性的虐待罪」)。
虐待が疑われる事案の通告先に警察を追加する。
法で規定されている虐待が疑われる場合の児童相談所への通告義務の不履行について,教師・医師など子どもに対する虐待に関する情報を業務上知り得ることが多い者に対しては罰則をもって担保することとし,その他の者に対しては確実に虐待が行われていることを認識しているにもかかわらず通報を怠った場合にのみ罰則を科すものとする。
学校・病院は虐待案件に適切に対応するための組織の設置,研修の実施等を行わなければならないこととする。国は,学校・病院向けの虐待対応ガイドラインを作成するものとする。
国・地方自治体に対して,上記通告義務について常に周知徹底を図ることを義務付ける。
児童相談所,学校,医療機関,保健所,警察等が虐待が疑われる情報を入手した場合には,必ず他の関係機関に対して速やかに通報することを義務付けるとともに,虐待情報の全国的な登録制度を設ける。
関係機関は連携して迅速に対応する義務を課する。義務の懈怠の結果,子どもの命が奪われ,あるいは重大な障害が生じた場合には厳格な懲戒処分を課することとする。
虐待の疑いがあり子どもの安否が確認できない場合には,児童相談所・警察が家庭に迅速に立ち入ることができることとする。また,子どもを緊急に保護する権限を警察に認めることとする(ただし,短時間に限る)。
虐待を繰り返し行う親等に対しては,退去命令,接近禁止命令等虐待を防止するための強制力ある措置を課すことができるようにするとともに,虐待予防プログラムの受講等治療のための措置を受けることを義務付ける。
虐待対応の基本的考え方や一時保護,施設入所の判断基準について法律及びそれに根拠を有するガイドラインで規定する。
(児童ポルノ禁止法)
-児童ポルノの単純所持を罰則で禁止する。
(刑法)
刑法に特別の条文を設け,親等が繰り返しての虐待行為により子どもを死に至らしめた場合には「虐待致死罪」とするなど厳罰を科することとする。
強姦罪,強制わいせつ罪につき子どもが親から被害を受けた場合には起訴に際し告訴を不要とする。
(刑事訴訟法)
性的虐待を受けた子どもの事情聴取を子どもに負担をかけずに行うための方法を規定し,その録取記録に証拠能力を認める制度を設ける。
2 児童相談所,警察の子ども虐待防止に従事する人員を増員し,担当職員に対して必要な専門的知識の付与, トレーニングを実施する。
3 虐待を受けた子どもの身体的・精神的ケアのためのカウンセリング.治療を行うための施設・態勢を整備する。