児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

弁護人による示談額は高い

 被疑者・被告人からも被害者からも聞かれます。
 性犯罪・福祉犯で、金銭賠償が行われることがありますが、一般的傾向としては、民事訴訟等で認容される金額よりは、刑事訴訟係属中の弁償額の方が高いと思います。
 短期間で終結してしまう刑事事件で早期に有利な情状を作ろうとするからです。
 
 性犯罪で、刑事訴訟係属中の交渉では被害者の800万円の請求に対して被告人が200万円を提示して示談が成立しませんでしたが(一部の弁償としても受領を拒絶され)執行猶予判決となり、後日民事訴訟になって裁判所の認容額が110万円だったことがあります。
 被告人サイドとしては、民事裁判の認容額は裁判例から推測できるのですが、示談できなかった場合の実刑の危険性を分析した上、早期解決して刑事訴訟の材料になるのならということで、払う金額を決めます。
 量刑相場的に、被害弁償しなくても執行猶予というのであれば、上記の例で「後日民事訴訟になっても認容額は110万円だ」ということも考慮した上で、早期解決のために200〜300万円なら払うという選択肢もありますし、無理してまで払わないという選択肢も出てきます。
 量刑相場的に、示談しても実刑確実(刑期の問題)とか示談しないと実刑という事件の場合は、親族からお金を集めて被害者の請求を丸呑みすることも検討します。上の例でいえば、「認容額がだいたい110万円だから・・・」なんて悠長なことは言ってられなくて、「(分割するとか工面するとかして)総額800万円を払いますから今示談してください。」と言わざるを得ないこともあります。
 結局、量刑の把握が重要な要素となります。