児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

損害賠償命令制度で東京地裁初公判 手続き迅速

http://ca.c.yimg.jp/news/20090207233352/img.news.yahoo.co.jp/images/20090207/san/20090207-00000572-san-soci-view-000.jpg
という流れで、刑事判決後に命令されるので、被告人からすれば、量刑面でいいことないですよね。そういう制度です。刑事和解とは違う。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090207-00000572-san-soci
 東京地裁で申し立てがあった傷害事件は、女性が昨年11月、東京都世田谷区内の駅前で、無職の男(43)から顔などを殴られ、約1週間のけがを負ったというもの。被害者代理人の佐藤文彦弁護士によると、男は一部を否認し、賠償の示談が成立しなかったため5日、慰謝料や治療費など計約60万円の支払いを求めて同制度を申し立てた。
 9日の初公判では、被害者参加制度に基づき、女性も立ち会う予定。有罪判決が出れば、即座に賠償請求の審理に進むことになる。
 広島地裁では、強制わいせつ事件で既に、被害者が被告に慰謝料など約2300万円を請求する申し立てを行った。
 被告側は示談を持ちかけているものの不調という。被告の代理人からは「先に示談が成立すると、刑事裁判の判決で量刑が軽くなるおそれがあるからだろう。本来の趣旨と違うのでは」との声が漏れる。

 そもそも被害者は示談に応じる義務はなくて、性犯罪では、思い出すことすら嫌だとして弁護人からの接触を拒否される確率も高いので、金額交渉ができるだけでも幸運だと思いますけどね。
 とすると、弁護人としては、刑事手続が終結するまでに被害者の請求額に近づける努力をするしかないです。

追記
 こういう記事も出ていますが、刑事事件係属中は、被告人自身ではなく、被告人の関係者(家族・親族)が資金を用立てている事が多く、そこから弁償金とか保釈保証金が出ているのですが、民事責任を追及するとなると、被告人のみが責任主体になるので、無資力のために、命令にしても判決にしても実現できないということもありえます。
 被害者側もそういうことも理解して示談に応じるか、損害賠償命令を申し立てるか、訴訟にするか、を決める必要があります。意外に被害者側の弁護士でも気付かない人がいます。

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20090208-567-OYT1T00540.html
 出所した男は新しい生活をスタートさせ、支払える額は月2万円。損害賠償全額を支払い終えるのは2100年過ぎの計算だ。最初の訴訟にかかった弁護士費用の回収にもほど遠い。父親は「結局は誰も助けてくれない。お金が欲しいわけじゃないけど、親としてできることは、これしかない」と無力感をにじませる。

 有罪判決が下された被告に対し、損害賠償請求を簡便に申し立てられる損害賠償命令制度は昨年12月、裁判への被害者参加制度と同時に始まった。しかし「犯罪被害者が損害賠償を勝ち取ってもほとんどの加害者は服役中で支払いは難しい」(県警犯罪被害者支援室)という。

 いばらき被害者支援センター事務局長の照山美知子さんは「加害者に財産がなかったり、居場所がわからなくなったりするケースもあり、被害者は泣き寝入りするしかない。制度がどう運用されていくのか、見守っていかなければならない」と指摘する。(渡辺加奈)