児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

撮影型の強制わいせつ罪(懲役10年)を二つに書き分ければ処断刑期は懲役13年になる?

 さっきみた起訴状ですが、

被告人は
第1
平成21年11月l日ころ,大阪市北区所在の空き家敷地内において,児童(当時6年, 平成14年月 日生)に対し,同児が13歳未満であることを知りながら,口を開けさせ,その口中に自己の陰茎を挿入し,さらに, 同児に自己の陰茎を怒らせて手淫させるなどし,もって13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をし
第2
前記日時場所において,同児が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児に対し,自己の所有する携帯電話機の動画撮影機能を使用し,同児に前記手淫行為に係る児童の姿態をとらせて撮影し,その動画を同携帯電話機に装着した電磁的記録媒体であるミニSDカードに記録させ, もって児童に,児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものをとらせ, これを電磁的記録に係る記録媒体に描写する方法により,児童ポルノを製造したものである。

となっていて、併合罪だからこれだと処断刑期は13年。
 ところが

被告人は
平成21年11月l日ころ,大阪市北区所在の空き家敷地内において,児童(当時6年, 平成14年月 日生)に対し,同児が13歳未満であることを知りながら,口を開けさせ,その口中に自己の陰茎を挿入し,さらに, 同児に自己の陰茎を怒らせて手淫させるなどし、さらに、同児が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児に対し,自己の所有する携帯電話機の動画撮影機能を使用し,同児に前記手淫行為に係る児童の姿態をとらせて撮影し,その動画を同携帯電話機に装着した電磁的記録媒体であるミニSDカードに記録させ, もって13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をするとともに、児童に,児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものをとらせ, これを電磁的記録に係る記録媒体に描写する方法により,児童ポルノを製造したものである。

と書けば、観念的競合だから処断刑期は10年。
 判例

仙台高裁H21.3.3
なお,付言するに,各被害児童の陰部を撮影する行為は,強制わいせつ罪のわいせつな行為に当たるとともに,児童ポルノ製造罪の実行行為にほかならないから,両罪を観念的競合として処理した原判決に法令適用の誤りはなく,また,原審の訴訟手続に所論のいうような法令違反はない。

です。姿態をとらせるは実行行為でないとしても、撮影行為が製造罪と強制わいせつ罪の実行行為にあたるというのだから、観念的競合になります。