児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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再審請求人により選任された弁護人が,再審請求のための記録確認を目的として,当該再審請求がされた刑事被告事件に係る保管記録の閲覧を請求した場合には,同弁護人は,刑事確定訴訟記録法4条2項ただし書にいう「閲覧につき正当な理由があると認められる者」に該当し,保管検察官は,同項5号の事由の有無にかかわらず,保管記録を閲覧させなければならない(最決H21.9.29)

 当たり前のことが通らないんですよね。
 名古屋地検の保管検察官は、昔、被告人名がわからないと事件が特定できないといい、最近は、被告人名だけでは事件が特定できないと言ったりします。いずれにしても特定できないという結論になる。

 これは5条の再審保存記録としてではなく、4条で閲覧請求したんですね。
 被告人も、再審の相談をしているけれども、確定するまでに記録を謄写していないということですね。

検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
裁判年月日 平成21年09月29日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
裁判種別 決定
結果 破棄自判
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091002090647.pdf
名古屋地方検察庁検察官が,本件保管記録中,被告人の戸籍,関係人の身上,被告人の姉名義の口座の番号及び現在高等に係る部分(以下,併せて「本件記録部分」という。)について,法4条2項5号に当たるとして,閲覧を不許可とした(以下「本件閲覧一部不許可処分」という。)ので,申立人が準抗告を申し立てたという事案である。
原決定は,本件記録部分につき同号所定の閲覧制限事由が認められるとした上で,申立人は,法4条2項ただし書にいう「訴訟関係人」にも「閲覧につき正当な理由があると認められる者」にも該当しないとして,準抗告の申立てを棄却した。
しかしながら,再審請求人により選任された弁護人が,再審請求のための記録確認を目的として,当該再審請求がされた刑事被告事件に係る保管記録の閲覧を請求した場合には,同弁護人は,法4条2項ただし書にいう「閲覧につき正当な理由があると認められる者」に該当するというべきであり,保管検察官は,同項5号の事由の有無にかかわらず,保管記録を閲覧させなければならない。そうすると,原裁判所は,本件閲覧一部不許可処分を取り消し,本件記録部分を申立人に閲覧させるよう命ずる裁判をすべきであったのであり,原決定には決定に影響を及ぼすべき法令の解釈適用の誤りがあって,これを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる

第4条(保管記録の閲覧)
保管検察官は、請求があつたときは、保管記録(刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録に限る。次項において同じ。)を閲覧させなければならない。ただし、同条第一項ただし書に規定する事由がある場合は、この限りでない。
2 保管検察官は、保管記録が刑事訴訟法第五十三条第三項に規定する事件のものである場合を除き、次に掲げる場合には、保管記録(第二号の場合にあつては、終局裁判の裁判書を除く。)を閲覧させないものとする。ただし、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合については、この限りでない。
一 保管記録が弁論の公開を禁止した事件のものであるとき。
二 保管記録に係る被告事件が終結した後三年を経過したとき。
三 保管記録を閲覧させることが公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれがあると認められるとき。
四 保管記録を閲覧させることが犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなるおそれがあると認められるとき。
五 保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなるおそれがあると認められるとき。
六 保管記録を閲覧させることが裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員又は裁判員候補者の個人を特定させることとなるおそれがあると認められるとき。〔本号の施行は、五年内政令日〕
3 第一項の規定は、刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録以外の保管記録について、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合に準用する。
4 保管検察官は、保管記録を閲覧させる場合において、その保存のため適当と認めるときは、原本の閲覧が必要である場合を除き、その謄本を閲覧させることができる。

第5条(再審保存記録の閲覧)
保管検察官は、第三条第二項に規定する者から請求があつたときは、再審保存記録を閲覧させなければならない。
2 前条第一項ただし書及び第四項の規定は、前項の請求があつた場合に準用する。
3 保管検察官は、学術研究のため必要があると認める場合その他法務省令で定める場合には、申出により、再審保存記録を閲覧させることができる。この場合においては、前条第四項の規定を準用する。