児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

裁判に遅刻と特急を止める副検事(共同通信)

 奥村も和歌山地裁田辺支部の事件で白浜まで乗り過ごして戻ったことがありますが、裁判所に事前にそう言って謝りました。
 今度、豊橋支部の事件で「裁判に間に合わない。電車を止めてほしい」と申し出て、豊橋駅に「のぞみ」を停めていいですか?

http://newsflash.nifty.com/news/ts/ts__kyodo_2008012801000328.htm
裁判に遅刻と特急を止める(共同通信)
 長野県のJR篠ノ井線で、長野地検松本支部管内の40代の男性副検事が、特急しなの9号(大阪発長野行き)で松本駅を乗り過ごし、「裁判に間に合わない。電車を止めてほしい」と申し出て、通過駅で特急を緊急停車させていたことが28日分かった。JR東日本などによると、副検事は10日昼すぎ、午後1時半からの長野地裁松本支部での裁判に出廷するため、木曽福島駅から特急に乗った。

 通常の訴訟なら、遅刻したことが致命的なミスになることはありませんよね。遅刻を詫びれば済むことが多いです。
 身柄事件だと、護送の職員もからんで大人数に影響がありますけど。
 謝って済むことと済まないことがありますが、この場合は謝って済むことです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080128-00000079-san-soci
JR東日本などによると、副検事は10日昼すぎ、午後1時半からの長野地裁松本支部での裁判に出廷するため、木曽福島駅から特急に乗った。松本駅には1時ごろに到着したが、副検事は降りずに約10分後、車掌を通じて本来は通過駅の田沢駅で特急を止めて降車した。裁判には間に合ったという。
 同社によると、病人などのほか、受験生など事情を聴いた上で指令が緊急と判断すれば、特急を通過駅で止めることもあるという。
 緊急停車による遅れはなく、約100人の乗客から、苦情はでなかった。
 長野地検の高森高徳次席検事は「事実の確認中で処遇などは決めていない」と話している。

 旅程を考えてあげるとタクシーで引き返して14:46松本支部着となるが、13:00に遅刻がわかるから、連絡さえしておけば、法廷に出てこなくて、休憩しているということになります。

12:22 木曽福島
12:59 松本着
13:39 篠ノ井
13:40 篠ノ井
59.2Km タクシー料金 \18,530 (注意)
14:46 長野地方裁判所松本支部(丸の内)

 もっとも、そうやって遅刻しておいて「被告人の規範意識の欠如は顕著である」なんていうと、意地の悪い弁護人から「開廷時間を守れない検察官が『規範』『規範』と言っても説得力がない」なんてやり返されそうです。

 続報がありますね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080129-00000111-sph-soci
車掌は、すぐに同支社の輸送指令室に連絡し、通過するはずだった田沢駅(安曇野市)で臨時停車した。副検事は同駅からタクシーで裁判所に直行し、無事公判には間に合ったという。
 緊急停車した田沢駅は、松本駅の次の駅だった。ダイヤ通りなら、次の停車駅は篠ノ井駅長野市)で、午後1時39分到着予定だったため、裁判には大遅刻するはずだった。
 緊急停車による遅れはなく、約100人の乗客がいたが、苦情などは出なかったという。

 旅程ソフトでみると、田沢駅で降りて引き返しても、13:30には間に合わないですね。

13:00松本駅 
13:08田沢駅
13:10田沢
 9.3Kmタクシー料金 \2,960 (注意)
13:35 長野地方裁判所松本支部(丸の内)

 遅刻してもしなくても、検察官が来ても来なくても、事件の本筋にはなんの影響もないと思いますが、奥村が弁護人なら、裁判所に止められるまで

 公共交通機関の100人の乗客の迷惑が窃盗事件の公判の開始が1時間遅れることによる関係者数人の迷惑と比べものにならないほど大きいことが明白であり、そのために特急を田沢に臨時停止させるとはまことに身勝手である
 寝過ごしたという言い訳も結局は自分の不注意であって、それを多数の乗客への迷惑をかえりみずに隠蔽しようとしたことはきわめて自己中心的であって斟酌する余地が全くない。
 次席検事に謝らせておいて自分は謝らないというのは、反省の態度が微塵もうかがえない。
 特急で先を急ぐ約100人の乗客に迷惑をかけて、社会的影響も大きい。
 実害を生じているかもしれない。被害者は厳重処罰を望んでいるに違いない。もうこんな副検事が乗っている特急には乗りたくないなどと述べているかもしれない。

とぶつぶつ言い続けるかもしれません。
 だいたい、検事は罪人に謝らせるばっかりで謝ることに慣れていない。