児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

起訴状は朗読されていなくてもok(大阪高裁h17.10.28)(弁護人怒りの上告+上告審としての事件受理申立)

 児童ポルノ販売罪のABの一部共犯事件で、
Aについては、

  • 1/1付 起訴状(宛先はAB連名。両名に送達)
  • 2/1付 訴因変更(宛先はAのみ。Aのみに送達。A関係の余罪追加。)

Bについては、

  • 1/1付 起訴状(宛先はAB連名。両名に送達)

となっていて

第1回、裁判所は

  • 2/1付 訴因変更請求書(A関係の余罪追加。)

だけ朗読するように指示して、検察官もそれだけ朗読した。
 訴因変更されても罰条に変更がないので、2/1付訴因変更請求書には罰条の記載がなく、罰条は全く朗読されていない。

 という被告人ABの共犯事件で、被告人Aのみに対する起訴状は朗読されたが、Bに対する起訴状は朗読されなかったという事案について、
   実際に朗読されたAの公訴事実には、Bの公訴事実も包含される関係にあって
   実質的には、公判廷で、Aの訴因変更請求書の朗読によって、Bの公訴事実も朗読されているから
   手続きに違法はない
と判断しました。


 判決書がきました。
 起訴状朗読は省略されていて、調書にもそう記載されていて、訴因変更請求書の朗読の有無が争われているのですが、
 その起訴状までも読んでいないけれど読んだことになる。という判断です。

阪高裁平成17年10月28日
被告人Bが控訴
その後の経過について,所論は,裁判官が「平成年月日付け訴因変更請求書を朗読してください。」と述べ,検察官は同訴因変更請求書のみを朗読したもので,同訴因変更請求書はAに対する訴因変更請求書であって被告人Bに対するそれではないから,被告人Bに対しては,起訴状及び訴因変更請求書のいずれも朗読されていない,というが,仮に,所論のいうように被告人Bに対する起訴状及び訴因変更請求書そのものの朗読がなされなかったとしても,上記Aに対する訴因変更請求書の記載内容が,被告人B及びA両名に対する各訴因を網羅した内容であったため,原審裁判所はそのことを検察官及び各弁護人に確認した後,公訴事実として,当該書面中の変更(追加)後の各訴因を検察官に朗読させることなどにより,被告B人及びAに対する起訴状及び各訴因変更請求書の朗読をしたものと認められる。なお,刑訴法291条によりいわゆる冒頭手続として検察官の起訴状朗読が要求されているのは,口頭主義,弁論主義の要請に基づき,公判廷において,まず審判の対象を上程させた上で,被告人の防御の目標を明らかにし,これを前提に実質的な審理を進行させようとするものであると解されるのであって,本件では,訴因変更請求書に変更後の訴因事実の全部が,しかもその明確性に何ら欠けるところがない程度に記載されているのであるから,人定質問の直後にこれが朗読されている以上,仮に,起訴状そのものの朗読が形式上なく,したがって罪名及び罰条の朗読がなかったとしても,判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反は存しない。論旨は理由がない。

 しかし、書面の送達だけではなく書面の朗読までさせるというのは、誰に対するどういう事実が何罪に当たるかというのを傍聴人も含めて公にするという意味だから、実質的にBにもわかるからいいじゃんということにはならないんじゃないですか?

参考判例

高松高等裁判所昭和25年5月31日
       主   文
 原判決を破棄する。
 本件を高知地方裁判所に差戻す。
       理   由
 当裁判所が職権で調査するに、原審第一囘公判調書に徴すれば審理の冒頭において裁判官が被告人両名に対し氏名、年齢、職業、住居、本籍及び出生地等を質問した後刑事訴訟法第二百九十一条第二項所定の事項を告げた上被告人等及び弁護人に対し被告事件について陳述することがあるかどうかを尋ねた旨の記載があるのみで、検察官が起訴状の朗読をした旨の記載が存しないこと明かである。而して右公判調書全体を精査するも裁判官が被告人両名に対し「この事実はどうか」とて起訴状記載の公訴事実を読聞かせた旨の記載(記録第三三丁裏)が存するも、検察官が起訴状を朗読したことを窺うに足る記載は全然存しない。尚新刑事訴訟法第五十二条は旧刑事訴訟法第六十四条の規定と異り「公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは公判調書のみによつでこれを証明することができる」と規定し、公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されていない事項については公判調書以外の資料によつてこれを証明することを許しているのであるが本件記録を精査するも検察官が起訴状を朗読した事実を認めるに足る資料が何も存しない。
 而して新刑事訴訟法の下においては起訴状の記載方式は頗る厳格となりその記載は裁判所を拘束し且つ被告人に防禦の目藤を示すこととなるため、旧刑事訴訟法の如く検察官が被告事件の要旨を陳述するのみでは不充分なりとして新刑事訴訟法第二百九十一条第一項は検察官が必す起訴状を朗読すべきことを要求し、右起訴状の朗読に対しては裁判長は釈明を求めることができるし、被告人又は弁護人は裁判長に対し釈明のための発問を求めることができるのである(刑事訴訟規則第二百八条参照)。従て検察官による 訴状の朗読は当事者訴訟主義、公判中心主義の一段と強化した新刑事訴訟法の下においては公判審理の前提をなす極めて重要にして欠くべからざる手続であると謂わねばならない。今本件につき観るに前説示の如く検察官が起訴状を朗読したことを認めるに足る何等の資料が存しない以上結局原審は検察官の起訴状朗読なくして審理を進め判決をしたことに帰着し、かかる公判の審理は判決の基本となすことができないものであるから、右は判決に影 を及ぼす訴訟手続の法令の違反があるものと謂わなければならない。

名古屋高等裁判所昭和25年5月11日
 原判決中判示第一の各窃盗罪に関する部分を破棄し、本件を名古屋地方裁判所に差戻す。
 前記部分以外に対する本件控訴は之を棄却する。
 当審に於て生じた訴訟費用は被告人の負担とする。
       理   由
 先づ職権を以て調査するに原判決は(一)昭和二十四年十二月五日附起訴状、に同月十二日附追起訴状、(三)同月二十三日附追起訴状の各公訴事実につき裁判をしたものであることは明白である。ところが原審公判調書の記載によれば公判の審理に於て検察官が右(一)(二)の起訴状並に追起訴伏を朗読した旨の記載はあるが、(三)の追起訴伏については之を朗読した旨の記載がない。従つて原審公判に於ては右(三)の追起訴状記載の公訴事実に関する限り刑事訴訟法第二九一第一項所定の手読が履践せられなかつたと看る外ない。元來公判手読に於て検察官がまず起訴状を朗読しなければならない事は、刑事訴訟法が口頭弁論主義を採り判決は原則的に口頭弁論に基いてたされることを要することよりして、絶対必須の要件といわねばならない。ところで本件に於て原判示第一掲記の事実は右(三)の追起訴状に記載された公訴事実に該当することが明らかであるから原判決中判示第一の各窃盗罪に関する部分は到底破棄を免れない。

広島高等裁判所昭和25年10月4日
       主   文
原判決を破棄する。
本件を山口地方裁判所岩国支部に差戻す。
       理   由
ます職権をもつて本件記録を調査するに、原審一松判調書によれば、検察官は被告人に対する本件被告事件の公脈事実、罪名として起訴状を朗読した旨記載してある。しかしてその起訴状を見るに訴因として原判決の認定と同様の賍物故買の事実の外、「買受けた賍品であるドラム罐入重油百六十立位を、昭和二十四年六月十六日午前六時三十分頃、山口縣大島郡久賀町の被告人方附近の喫茶店すみれ道路地より自宅に運搬し、もつて賍物を運搬し」と記載し、その罪名として賍物故買の外賍物運搬、刑法第二百五十六條第二項と記載してあり、従つて検察官は被告人に対する本件公訴事実として、原判決認定の賍物故買の事実の外賍物運搬の事実に討ても公訴を提起したものと認めなければならぬ。もつとも本件記録中には、昭和二十四年十月十五日計検察創の訴因変更請求書が編綴せられてあり、その書面には、起訴状記載の訴因罪名を次のように変更するとして、原判決の認定と同様の賍物故買の訴因と罪名のみを記載し、起訴状に記載してあつた賍物運搬の訴因と罪名とを除外しあり、右書面の謄本は被告人に送達せられていることが認められるけれども、訴因の追加変更は、単にその旨の書面を裁判所に提出し、またその謄本を被告人に送達しただけでは、その効力なく、遅滞なく公判期日にむいてその書面を朗読しなければならないことは、刑事訴訟規則第二百九條第四項に規定してあるところであり、原審公判調書によれば、前記の如く検察官は単に起訴状のみを朗読しており、右訴因変更請求書は朗読しておらないのであるから、結局起訴状記載の訴因、罪名は変更がなかつたものと解しなければならない。しかるに原判決は、起訴状に記載してある訴因の中、賍物故買の訴因に付てのみ審判し、賍物運搬の訴因については、何等の判断をしてむらないから、審判の請求を受けた事件について判決をしなかつた違法がおるものともめざるを得ない。

 大阪高裁S50.11.28という大甘な判決の存在は知っていたのですが、大阪高裁H17.10.28は、大阪高裁S50.11.28を前提にして引用して、さらに、罰条の朗読が全くない場合でも適法としています。
 罰条読まなかったら、何罪かわかりませんがな。

大阪高等裁判所判決昭和50年11月28日
次に、所論は、原裁判所は、原審第一回公判期日において検察官に起訴状を朗読させず、訴因罰条の変更請求書を朗読させたのであるが、第一回公判期日前に訴因罰条の変更があつた場合でも、検察官に起訴状を朗読させるべきであり、これをせずに訴因罰条変更の書面を朗読することは許されないのであるから、原裁判所の右訴訟手続には法令の違反がある、と主張するので判断するに、形事訴訟法二九一条によりいわゆる冒頭手続として検察官の起訴状朗読が要求されているのは、口頭主義、弁論主義の要請に基づき、公判廷において、まず審判の対象を上程させたうえで、これを前提に実質的な審理を進行させようとするものであり、したがつて、起訴状は必ずしもその全部が朗読されなくとも実体に関する公訴事実(訴因)および罪名(罪条)の記載部分が朗読されれば足りること、および訴因罰条の変更は第一回公判期日前においても許されていることにかんがみると、冒頭手続の起訴状朗読前にすでに訴因罰条の変更が許され、その訴因罰条変更の書面に変更後の訴因罰条の全部が記載されている場合には、起訴状を朗読せず、直接訴因罰条変更の書面に基づき変更後の訴因罰条を朗読すれば足りると解するのが相当であるところ、記録によれば、本件は、昭和五〇年三月一日付起訴状により窃盗被告事件につき、同年四月一一日付起訴状により同被告事件につき各公訴の提起がなされ、さらに同日付訴因罰条の変更請求書により右両起訴状記載の訴因罰条全部についての変更請求がなされたこと、右変更請求書には変更後の訴因罰条(常習累犯窃盗)の全部が記載されていること、原裁判所は、原審第一回公判期日において、検察官の右訴因罰条の変更請求を許可したうえ、検察官に右両起訴状の朗読をさせることなく、直接右変更請求書を朗読させたことが認められるのであつて、右事実に照らせば、原裁判所が原審第一回公判期日において検察官に起訴状を朗読させず、訴因罰条の変更請求書を朗読させたことは正当であつて、何ら違法はないといわなければならない。


[不正アクセス] 楽天市場出店店舗の情報流出事件、容疑者は出店店舗の元従業員
 有効な他人の識別符号を盗用する場合は1号不正アクセス罪。
 利用権者でないのにPASSだけ有効になっていた場合は、2号不正アクセス罪。
 利用権の抹消もされていない場合は、犯罪不成立。

 このパターンはIDでだれのアクセスかわかっちゃいますね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051027-00000003-imp-sci
不正アクセスに利用したユーザー名とパスワードは、楽天が「利用権者」としてセンターロードに付与したものだった。

逐条解説不正アクセスP75
入力されるものは 「識別符号」でなければならない。識別符号についての解説 (第二条第二項の解説②ウ、エ) で述べたように、識別符号と同種の情報であっても、利用権者等でなくなった者のID・パスワードでアクセス管理者がパスワードファイルから消去し忘れていたものや、ハッカー等がアクセス管理者に無断でパスワードファイルに追
加したID・パスワード (裏口) は、識別符号には該当せず、これらの情報を入力する行為は、本号に該当しない。これらの情報は、第三条第二項第二号の 「アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報」 に該当する。

第3条(不正アクセス行為の禁止)
2 前項に規定する不正アクセス行為とは、次の各号の一に該当する行為をいう。
一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
二 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
三 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為