児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

市議会議員であった被告人が,コロナ禍における市民サービス改善のため,市役所職員を叱咤激励するためとして,市役所に爆破予告文書を送り,市役所職員の業務を妨害した威力業務妨害被告事件(岐阜地裁r02.10.23)

市議会議員であった被告人が,コロナ禍における市民サービス改善のため,市役所職員を叱咤激励するためとして,市役所に爆破予告文書を送り,市役所職員の業務を妨害した威力業務妨害被告事件(岐阜地裁r02.10.23)
 同機はそのまま認定されたようです

威力業務妨害被告事件
岐阜地方裁判所令和2年10月23日
       主   文

被告人を懲役1年に処する。
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。


       理   由

【罪となるべき事実】
 被告人は,
第1 令和2年4月30日午前9時23分頃,岐阜県関市若草通3丁目1番地関市役所設置の市長公室及び秘書課宛ての新聞紙専用ポストに「5/1午前中ニシヤクショ2カショデ バクダンガ シカケテアリマス ケイサツニ レンラクシテ ハヤクシマツシナイト タイヘンナコトにナリマスヨ」などと記載した文書在中の封書1通を投函し,同年5月1日,同市役所秘書課長bらにその内容を閲覧させ,同日午前8時50分頃から同日午前9時35分頃までの間,同市役所職員らに,同市役所及びその周辺の不審物等の検索,警戒,警察への相談等の措置をとることを余儀なくさせ,同市役所職員らの正常な業務の遂行に支障を生じさせ,
第2 令和2年5月2日頃,岐阜県関市α×番×号に設置された郵便ポストから,「ショデハ,○○○○ △△△ □□ノ、タイオウガ マッタクキノウシテオリマセンヨ、コノママホッテオクト センジツノヨウナバクダンジケンガコノGW中にシカケラレ、5/7、8アタリデ □□ ○○○ ホンチョウアタリデ バクダンサワギガ、キットオキまスヨ」などと記載した文書在中の封書1通を同市β×××××番地c事務所宛てに郵送し,同月7日,同封書1通を同事務所に到達させた上,同事務所所長dらにその内容を閲覧させ,同日午後2時50分頃から同日午後4時40分頃までの間,関市役所職員らに,同事務所ほか3か所及びその周辺の不審物等の検索,警戒,警察への相談等の措置を執ることを余儀なくさせ,同市役所職員らの正常な業務の遂行に支障を生じさせ,
もっていずれも威力を用いて人の業務を妨害した。
【証拠の標目】《略》
【法令の適用】
罰条 判示第1及び第2につき,いずれも刑法234条,233条
刑種の選択 いずれも懲役刑
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の重い判示第2の罪の刑に法定の加重)
刑の全部執行猶予 刑法25条1項
訴訟費用 刑事訴訟法181条1項本文(全部負担)
【量刑の理由】
 本件は,当時現職の市議会議員であった被告人が,コロナ禍における市民サービス改善のため,市役所職員を叱咤激励するためとして,市役所に爆破予告文書を送り,市役所職員の業務を妨害したというものである。たとえ目的が被告人の供述するとおりであったとしても,被告人のとった対応が誤りであるのは明らかで,動機・経緯に酌み得る点があるとはいえない。また,これにより相当数の職員が対応を余儀なくされており,結果も相応に大きい。被告人の刑責は軽くない。 
 もっとも,事実を認め反省の弁を述べていることや,被告人の長男が公判廷で被告人の監督を申し出ていること,前科前歴がないことなど,被告人に酌み得る事情も認められる。これらも踏まえると,被告人については,主文の懲役刑を科した上で,その全部の執行を猶予するのが相当である。
(求刑 懲役1年)
(検察官森川奈津,弁護人中山敬規各出席)
令和2年10月23日
岐阜地方裁判所刑事部
裁判官 守屋尚志