ドットコムの先生は「偽計」だとされていますが、機械を止めてしまうのは、普通は「威力」で処理されると思います。
第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130411-00000302-bengocom-soci
報道によると、学生は昨年3月から今年3月にかけて、急流を下るアトラクションでわざとボートを傾けて水に落ちるなど、迷惑行為を繰り返していた。その回数は計8回に及び、USJでは安全点検をおこなうため、アトラクションを一時休止することもあったという。このほか、同志社大学の学生もUSJで迷惑行為をおこなっていたことが発覚し、大学がお詫びのコメントを発表している。このように、テーマパークの乗り物から飛び降りるなどして、故意に迷惑行為をおこなった場合、犯罪となることはないのだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。
●USJで迷惑行為を行った神戸大学生は「偽計業務妨害罪」に問われる可能性がある
「本件のような行為は、人をあざむく策略、つまり『偽計』でもって、USJの『業務』を妨害したといえ、その行為は偽計業務妨害罪(刑法233条後段)にあたると考えます。法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。
また、アトラクションのボートなどを壊していれば、器物損壊罪(刑法261条、法定刑3年以下の懲役または30万円以下の罰金、科料)が成立すると考えます」
大和弁護士はこのように端的に解説する。つまり、USJで迷惑行為を行った神戸大学の学生の件では、刑法上の犯罪となる可能性があるということだ。
裁判例コンメンタール刑法第2巻P113
(2)判例
解雇された工員が人のいない工場のモータ一室内の配電盤スイッチを切り、折から運転中のモーターを停止させ、織機320 台の運転を停止させた(大阪高判昭26 ・10 ・2 高刑集) 。
タクシー会社の労働争議に際して、営業用乗用自動車のタイヤの空気を抜いたり、車検を取り上げた(宇和島支判昭43 ・6 ・12)
線路内の列車在線検知機の配線を切断し、これに連動する列車信号機に停止信号を表示させ、列車4本を停止させた(東京地八王子支判平9.7.18)(3) 検討
威力の定義自体については、偽計と異なり、説が分れていない。偽言と威力とは、障害物が目にみえる状態にあったかどうか、犯行が隠密に行われたか公然と行われたかなどにより以別される
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威力による業務妨害については、相手方に直接心理的な圧迫を加えることによって業務の遂行を妨げる場合と物的施設に妨害行為をしてそれにより目に見えて生じた物理的な状況が相手方の業務の遂行を妨げる場合がある。後者の場合、行為自体の公然性ではなく、行為の結果としての状況の公然性が区別のポイントとなる。右の状況が目に見えないため、相手方に支障がないものと誤信させた場合には、偽計による業務妨害罪が成立する。マジックホン(233 条)や電力量計の事案も外形上はシステムが支障なく運行されている場合であるから、偽計と解することができよう