児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

佐藤淳検事「実在する児童の裸を撮影した写真を素材として作成したコンピュータグラフィックスの画像データに係る記録媒体を「児童ポルノ」と認定し,児童ポルノ製造罪及び児童ポルノ提供罪の成立を認めた事例(平成28年6月15日東京地裁判決・公刊物未登載)」研修818号

本判決は,平成26年改正前の事案についてのものであるが,実在する児童の裸を撮影した写真を素材として作成したコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)の画像データに係る記録媒体を「児童ポルノ」と認定し,児童ポルノ製造罪及び児童ポルノ提供罪の成立を認めたものであり,今後同種事案の処理の参考になると思われることから,ここに紹介する次第である。
本件における争点は多岐にわたっているが,紙幅の都合もあり,本稿においては, CGの画像データに係る記録媒体の「児童ポルノ」性に関する判示内容を中心に紹介することとしたい。もとより,本稿中,意見にわたる部分は私見である。
なお,本判決に対し,被告人側が控訴したため,本件は,現在,控訴審に係属中である
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第5おわりに
我が国の捜査機関としては, まさしく本件のように,過去に製造された児童ポルノがインターネット上に流通し続けている実態をも直視し,被害児童の人定が特定できない場合を含め, この種事犯に関しては,鋭意捜査を尽くし,事案の真相を解明するとともに,厳正な処罰を実現することが期待されているというべきであろう。
前記のとおり,本判決は,今後の同種事案における証拠収集や立証の在り方等について,貴重な示唆を与えるものであり,今後,捜査機関等としては,本判決の指摘等をも踏まえて,事件処理に当たることが期待される。