児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

0歳とか2歳とか6歳とかの裸って、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」って言いにくいですよね。

 判例では一般人も性欲を興奮させ又は刺激すると認定されてますが、アブノーマルな写真を取り締まろうというのに、一般人基準というのはいかにもまずいですよね。

第2条(定義)
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

阪高裁 平成14年9月10日
第4事実誤認ないし法令適用の誤り(控訴理由第9)及び事実誤認(控訴理由第10)の主張について
論旨は,①原判決は,本件ネガにつき,単なる裸体ではなく両脚を開かせ性器を露出させた露骨な描写をしており,一般人の性欲を興奮させ又は刺激すると判示しているが,被害児童は6歳であって,このような児童の姿態からは,どのようなポーズを取らせてみても,一般人の性欲を興奮させ又は刺激するものとは解されず,本件ネガが児童ポルノに当たるとはいえず(控訴理由第9),②被告人も,本件ネガが一般人の性欲を興奮又は刺激されるものであるとの認識はなかったから,被告人に故意があるとはいえないのに(控訴理由第10),本件ネガが児童ポルノに当り,被告人にもその認識があったとして児童ポルノ製造罪の成立を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認ないし法令適用の誤りがある,というものである。
しかしながら,捜査報告書(「差し押さえにかかる証拠品ネガフィルムの焼付けについて」,原審検甲5,6号証)によれば,被害児童は当時6歳の女児であるが,被告人によって撮影された被害児童の姿態は,幼女のあどけない自然な裸の姿ではなく,寝そべって両足を開いたり,足を立てて座ったりして,ことさら性器を露出するなど煽情的なポーズをとっており,これが鮮明に撮影されているものであるから,一般人の性欲を興奮又は刺激することのある態様のものと認められ,本件ネガが児童ポルノに当たることは明らかであり,また,上記のような被害児童のポーズを被告人がとらせたものであるから,これを撮影した被告人に児童ポルノ製造の故意があることも明らかであり,被告人に対し児童ポルノ製造罪の成立を認めた原判決に事実誤認ないし法令適用の誤りがあるとは認められない。論旨は理由がない。