児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「コンピュータグラフィックスの画像データが記録された記録媒体が平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項の「児童ポルノ」に該当するなどとされた事例 東京地判平28.3.15公刊物未登載」警察重要実務裁判例h28

 1審判決はwestlawに掲載されています

解説
児童ポルノ処罰法における「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって,同法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう(同法2条3項)。
そして,児童ポルノ処罰法が児童ポルノを規制対象とするのは,それが児童を性の対象とする風潮を助長することになるのみならず,描写の対象となった児童の人権を害することになるためであることから,ここでいう「児童」とは,実在する18歳未満の者をいうとされ,絵であっても,実在の児童を描写したものである場合には「児童ポルノ」に該当し得るとされている(森山慎弓,野田聖子編著「よくわかる改正児童買春・児童ポルノ禁止法」〔ぎょうせい〕77頁以下参照)。
本判決もこうした理解を前提に, CGについても,実在の児童の姿態を忠実に描写したものと認められる場合(CGで描かれた児童と実在の児童とが同一であると判断できる場合)には,「児童ポルノ」に該当し得る旨判示した。
もっとも,本判決は. CGについては現在のコンピュータソフト等の技術を前提とすると,モデルとした実在する児童の姿態の一部の加工.修正が容易であること等の事情が存することを踏まえ,その甚となった写真との同一性を判断するに当たっては,慎重な検討が必要であるとした上,本件CGの一部について,その基となった写真の画像データのみが存在し,その出典が不明であるものについては,阿画像データ作成の過程において改変がなされるなど.実在する人物を撮影した写真そのものとは異なるものになっている可能性が否定できないなどとして.前記?の児童の実在性を否定した。
また,本判決は.本件CG集の画像データのうち?を満たした3点が「性欲を興奮させ又は刺激する」に該当するか否かの判断方法については.性器,肛門,乳首が描写されているか否か,児童の裸体等の描写が当該写真等の全体に占める割合等の客観的要素に加え,児童の裸体等の描写方法を,一般人を基準に判断すべきである旨判示し,過去の裁判例(京都地判平12.7.17)同様の判断基準を示した上,前記3点のCGの画像データについては,女性の陰部や下半身裸の状態が描かれていること,明らかに性欲をかき立てる表現を盛り込んでいる他のアニメーション等の作品と同列に販売されることを前提に出品され,現に販売されていたこと,性的刺激を緩和するような思想性や芸術性等が認められないこと等の事実を認定した上.「性欲を典奮させ又は刺激するもの」に該当するとした。
本判決は. CGの画像データについての児童ポルノ該当性を判断するに際し,基本的に従来どおりの判断枠組みを踏襲しており.特段新たな判断を示したものではないものの.事実認定に当たっては.改変が容易であるなどのCGの画像データの特殊性を踏まえた検討をしており.今後の同種事案の証拠収集及び立証の在り方等の実務の参考になるものと考えられる。