児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

路上で他人のポニーテールを切る行為の刑責

 判例によれば暴行罪。

条解刑法
判例は.生理機能障害説に立っているものといわれている。この点,皮膚の表皮剥脱,中毒症状・めまい・堰吐,病毒の感染,意識障害・筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状,歯根の炎症,陰毛の毛根からの脱取,皮下結締織炎、胸部の廃痛(外見の打撲痕なし),腰部の圧痛,失神,処女膜の裂傷を生じさせた場合などが傷害とされている。他方剃刀による毛髪の根元からの切断は傷害に当たらないされている(大判明45・6・20録18-896。これに対し,東京地判昭38・3・23判タ147-92は.傷害に当たるとしている)。

暴行(予備的に傷害)、傷害被告事件
東京地方裁判所判昭和38年3月23日
女性の頭髪の根元からの切除、裁断と傷害罪の成否
判例タイムズ147号92頁

       判 決 理 由

 被告人が本件被害者の頭髪を切除、裁断したことをもつて刑法二〇四条にいう傷害にあたるかどうかについて考えるに、同条にいう傷害とは、人の生活機能を障害すること即ち人の健康状態を不良に変更する場合のほか、人の身体の完全性を侵害する場合をもこれに含まれるものと解すべきところ、頭髪は人体の中枢をなす頭脳を外力から防護する生活機能をもつているほか、これにより身体の完全性が保持されているものということができる。ここに身体の完全性を侵害する場合というのは、もとよと、わが国古来の風俗、習慣、性別による観念の差異等社会観念と刑罰法令とを綜合的に考察して決すべき価値概念であるが、女性の頭髪は、前記のごとき生活機能をもつほか、女性の社会生活上重要な要素を占めている女性の容姿にとつて、まさに生命ともいうべきものとして古くから大切に扱われてきているところであつて、本件のように女性を虐待し、その自由意思によらないで頭髪の全部を根本からしかも不整形に切除、裁断するような行為は、刑法二〇八条の単純暴行の罪に止まるものではなく、進んで同法二〇四条の傷害の罪にあたるものと解すべきである。

http://www.sankei.com/west/news/141204/wst1412040023-n1.html
4日午前6時35分ごろ、大阪府泉大津市豊中町で、路上を歩いていた市内の10代の女子中学生が後ろから近づいてきた男に、ポニーテールに束ねていた髪を約20センチにわたり刃物で切り取られた。男はそのまま逃走。髪の毛は持ち去ったとみられる。府警泉大津署は傷害容疑で捜査を始めた。

 同署によると、男は「ちょっと待て」と声を掛け、女子生徒が振り向いたところで髪をつかんだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141204-00050055-yom-soci
4日午前6時35分頃、大阪府泉大津市の路上で、通学途中の女子中学生が、後ろから歩いて近づいてきた男に「ちょっと待て」と声をかけられ、ポニーテールにしていた髪の毛約20センチを刃物のようなもので切られた。
 男はそのまま髪の毛を持って逃走した。府警泉大津署が傷害容疑で調べている。
 発表によると、男は身長約1メートル80で、30歳代とみられ、黒色ニット帽に白マスク、黒色半袖Tシャツに紺色ジーパン姿だったという