児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

法務省刑事局付浅沼雄介「被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,行為者にその旨の認識があれば強制わいせつ罪の成立に欠けるところはなく、行為者の性的意図の有無は被害者の性的自由よという強制わいせつ罪め保護法益の侵害とは関係を有しない旨判示された事例東京高裁判決平26.2.13 (公刊物未登載。被告人上告中)」捜査研究759号 非傾向犯説

 傾向犯説の判例を提供しますので、関係者の方は奥村まで御連絡下さい。

 1審は東京地裁h25.9.9

 奥村が把握しているの最近の裁判例では
  千葉地裁八日市場H20.11.4 不要説
  東京高裁h21.3.23 必要説
  広島高裁岡山支部H22.12.15 必要説
  福岡高裁H26.10.15 必要説
となっています。


法務省刑事局付浅沼雄介「被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,行為者にその旨の認識があれば強制わいせつ罪の成立に欠けるところはなく、行為者の性的意図の有無は被害者の性的自由よという強制わいせつ罪め保護法益の侵害とは関係を有しない旨判示された事例東京高裁判決平26.2.13 (公刊物未登載。被告人上告中)」捜査研究759号
東京高裁h26.2.13
1 事実関係
被告人は,被害女性に対する自らの思いが拒絶され,自らが心血を注いでいたバンド活動も継続できなくなったことから,被害女性に対して復讐したいとの感情を抱くに至った。被告人は,平成24年12月15日午後7時18分頃から同日午後9時43分頃までの問,スタジオ内において,被害女性(当時24歳)に対し,その首を絞め,転倒した被害女性の上に乗り,その額をつかんで床に押し付け,両手首に手錠を掛け,口付近にテープを巻き付けて口を塞ぐなどの暴行を加え,その着衣を脱がせて乳房を採み,瞳内に手指及びパイプレーターを挿入し,その際,被害女性に全治まで約2週間を要する頭部打撲,頭部打撲等の傷害を負わせた(強制わいせつ致傷)。
被告人及び弁護人は,一審・控訴審ともに,本件は,被告人が,被害女性に対する報復を目的として被害女性が精神的に最も苦痛を抱くであろう性的手段によって暴行を加え,傷害を負わせた事案であって,犯行当時,被告人は性的意図は有していなかった旨主張し強制わいせつ致傷罪の成立を争った。

3 本判決の要旨
原判決に対し被告人側が控訴したが本判決は原判決が,主として本件犯行態様から被告人に性的意図があったことを推認し,被告人には性的意図とともに報復目的が併存していることを認定した上で,本件犯行態様は性的色彩が強く,執助かつ長時間に過ぎること等から弁護人の主張は採用できないと判断しているのは,いずれも経験則に適う合理的なものであって正当として是認できるとし,被告人が性的意図を有していた旨認定した原判決の判断に誤りはないとした。
その上で,本判決は,さらに,「なお,本罪の基本犯である強制わいせつ罪の保護法益は被害者の性的自由であると解されるところ.同罪はこれを侵害する行為を処罰するものであり,客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,行為者がその旨認識していれば,同罪の成立に欠けることはないというべきである。本件において,被告人の行為が被害者の性的自由を侵害するものであることは明らかであり被告人もその旨認識していたことも明らかであるから,強制わいせつ致傷罪が成立することは明白である。被告人の意図がいかなるものであれ本件犯行によって被害者の性的自由が侵害されたことに変わりはないのであり犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図の有無は上記のような法益侵害とは関係を有しないというべきである。そのような観点からしても,所論は失当である。」(下線筆者)と判示した。


2 本判決についての考察
以上のとおり,強制わいせつ罪における性的意図の必要性については,学説上対立があり,裁判例においても最高裁判決と下級審の判決とでその扱いを異にする状況が生じていた。
捜査実務においては,基本的には前記最高裁判決の立場,すなわち性的意図必要説に従った運用がなされてきたものと思われるところ,犯行が,客観的に見てわいせつな行為であることが明らかな場合については,性的意図の立証にはさほど苦労しないと思われる(本判決においても,主に犯行態様から,被告人に性的意図があったものと認定している。)ものの,客観的に見てわいせつな行為であることが明らかとまで言い切りにくい行為(例えば,単に接吻する行為や,裸体を写真撮影するに留まる行為などが考えられる。)については,性的意図の立証には,相応の苦労があったものと思われる。

 判決速報が出ていました。

速報番号3519号
備考
もっぱら報復目的であったとして性的意図の有無が争われた事案である。
本件は,強制わいせつ罪については,行為者告身の性欲を刺激しp あるいは満足させるという性的意図の下iこなされることを要するとするのが多数説とされ,判例も,もっぱら報復,侮辱または虐待の目的であるときはF 同罪を構成しないとする(最判昭和45年1月29日 .刑集24巻1号1頁)が,個人の性的自由の侵害という点からみても,行為者の性的意図の有無は可罰性の有無自体を左右するほど重要な要素となり得ずF性的意図を必要とすると解するとしても,自己の行為が被害者に対する性的侵害になる性質の行為であることを認識すれば足りるとする反対説もある(大コンメンタール刑法(第二版) 63ページ以下〉。本件で,原判決は3 わいせつ行為の態様から,報復目的のほかに性的意図が併存していたと認定して強制わいせつ罪の成立を認めたが,本判決は,被告人に性的意図があったとする原判決の事実認定を是認した上で,さらに上記のとおり判示したもので,参考となろう。

刑事確定訴訟記録法で判決書を閲覧しました

東京高裁h26.2.13
論旨は,要するに,本件は,被告人が,一緒に活動していた○○を辞めた被害者に対する報復を目的として,被害者が精神的にもつとも苦痛を抱くであろう性的手段によって被害者に暴行を加え,傷害を負わせた事案であって,被告人には性的意図は全くなかったにもかかわらず,被告人に性的意図があったと認定し,強制わいせつ致傷罪が成立すると判断した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。
 そこで検討すると,原判決は,本件の争点を,本件犯行当時,被告人が性的意図を有していたか否かであると整理した上で,主として,本件犯行態様から,被告人に性的意図があったことを推認し,強制わいせつ致傷罪の成立を認めているところ,その認定,判断は,「事実認定の補足説明」の項で説示するところも含めて正当として是認することができる。
すなわち,原判決は,被告人が,被害者の着衣を脱がせて直接○を操み,○を指で弄んだ上,○○に指を入れて動かし,その後2種類の○○を1本ずつへ 挿入して振動させるなどし,更に○○を露わにされた被害者の姿や,○○を挿入された被害者の○を写真撮影し,これらの行為が八十から九十分間に及んだことを認定した上で,本件犯行態様は,それ自体強い性的意味を有するものであり,本件犯行当時,被告人が性的意図を有していたことを強く推認させると判断している(なお,原判決は,被告人が,本件以前から,被害者に異性として好意を寄せていたことが認められ,この点も上記推認を補強するとしている。)。そして被告人が被害者と○しようとしていないことや,解放されたい一心で,被害者が○ならしてもよい旨述べた際に被告人が特段の反応を示さなかったことについては,被告人がこれらの行為に及ばなかったことについては様々な理由が考えられるのであり,そのよう欠けるところはないというべきである。本件において,被告人の行為が被害者の性的自由を侵害するものであることは明らかであり,被告人もその旨認識していたことも明らかであるから,強制わいせつ致傷罪が成立することは明白である。被告人の意図がいかなるものであれ,本件犯行によって,被害者の性的自由が侵害されたことに変わりはないのであり,犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図の有無は,上記のような法益侵害とは関係を有しないものというべきである。そのような観点からしても,所論は失当である。
論旨は理由がない。

 傾向犯説の判決を紹介しておきます。

 広島高裁岡山支部H22.12.15
(1)前記控訴理由第3について
 そもそも訴因制度を採用した現行法の下では,裁判所としては,訴因の制約の下において,訴因に表れた事実について犯罪の成否を判断すれば足り,これにより実体的真実との乖離が甚だしく,これを放置することが正義感情に反すると思われる特段の事情のある場合に,釈明,訴因変更の勧告,訴因変更命令等の措置を取るべきは別として,そのような例外的な場合に該当しない限り,訴因外の事実をも(罪となるべき事実)として認定し別罪の成否を審理・判断する義務はないというべきである(最高裁判所昭和58年(あ)第909号同59年1月27日第1小法廷決定・刑集38巻1号136頁参照)。
 ところで,原判示第3の事実は,被告人が,当時16歳の被害者Aを脅迫し,同人に乳房及び陰部を露出した姿態等をとらせ,これをカメラ機能付き携帯電話機で撮影させたなどの,強制わいせつ罪に該当し得る客観的事実を包含しているが,強制わいせつ罪の成立には犯人が性的意図を有していることが必要であるところ,原判示第3の事実に,被告人が上記性的意図を有している事実が明示されてはいない。
 また,原判示第3の事実にかかる起訴状には,原判示第3の事実と同旨の公訴事実が記載され,その罰条として,3項製造罪のほか,「強要 刑法223条」と記載されているのみであるから,検察官において,上記性的意図を有していることも含めて訴因を設定する意思があったとは認められず,原判決が,被告人が上記性的意図を有していることも含めた訴因であることを前提に原判示第3の事実を認定したとも認められない。なお,所論は,原判決が上記性的意図を認定している旨も指摘するが,原判決は,(量刑の理由)欄において被告人に性的欲望を満たすためという動機があった旨説示しているにすぎず,(罪となるべき事実)として性的意図の存在を認定したものではないから,原判決の上記説示が上記結論を左右するものではない。
 そうすると,原判示第3の事実だけでも強制わいせつ罪が成立するとは解されず,所論は前提を欠いており,原判示第3の事実中,強要の点に刑法223条を適用して強要罪の成立を認めた原判決に法令適用の誤りがあるとは認められない。
 なお,所論は,法条競合という実体法上の問題であるから,訴訟法上の問題は無関係であり,強制わいせつ罪を構成する事実が認定された場合には強要罪は成立しない旨も主張するが,独自の見解といわざるを得ない上,原審記録を精査しても上記特段の事情があるとは認められないから,所論は失当である。所論引用の大審院判例及び高裁判例は,いずれも訴因制度が採用される以前の旧法下の事案であるか,訴因として恐喝未遂罪と強要罪が設定されている事案又は強要罪として掲げられた訴因中に恐喝罪若しくは逮捕罪に該当する事実がすべて掲げられている事案であって,本件はその射程外の事案である。

東京高裁h21.3.23(原審千葉地裁八日市場支部H20.11.4)
 最高裁S45.1.29 の多数説は傾向犯説である
 しかし最高裁S45は対象としている事案が通常の強制わいせつ罪事案とはことなる。専ら侮辱虐待のために行われたとされる特異性ある事案である しかも強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪とは構成要件の内容がことなり 関連する事象でも差異が生じる 例えば S45最高では判決文中でも強要罪等の成立のあり得ることが指摘されているが、準強要罪といった犯罪はそもそも存在しないし、本件のような事案では準強制わいせつ罪が否定されてても強要罪が成立するといったことにはならないからS45判決は本件の先例となる判例には該当しないと解される
そのため原判決はS45判決を専ら前提として検討を展開しているのが適切であるかはともかく 性的な意図が認められる事案であるのに それが要件として不要としつつも準強制わいせつ罪準強制わいせつ自体の成立を認めていることになるから、その誤りは判例に反した判断をしたことにはならず、それだけでは判決に影響はない
 罪となるべき事実には性的意図の明示はないものの 抵抗できない状態にあることに乗じてわいせつ行為した」旨の説示があり準強制わいせつ罪の成立を認めているから 性的な意図が認定できた前提でもその趣旨は示されていると解することが可能な者といえ、性的意図を成立要件とするとの前提でも、理由不備にもならない
第7刑事部


 最近では東京高裁自身「脅迫して同女を畏怖させ,同女をして,その乳房,性器等を撮影させるという,強制わいせつ罪の構成要件の一部となり得る事実を含むものの,その成立に必要な性的意図は含まれておらず」「本件起訴状に記載された罪名及び罰条の記載が強制わいせつ罪を示すものでないことに加え,公訴事実に性的意図を示す記載もないことからすれば,本件において,強制わいせつ罪に該当する事実が起訴されていないのは明らかであるところ,原審においても,その限りで事実を認定しているのであるから,その認定に係る事実は,性的意図を含むものとはいえない。」と判示しています。

東京高裁平成28年2月19日
弁護人奥村徹控訴趣意は,訴訟手続の法令違反,法令適用の誤り及び量刑
うものである。
不当の主張であり,検察官の答弁は,控訴趣意にはいずれも理由がない,とい
1 法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反の主張について
論旨は,要するに,原判決が強要罪に該当するとして認定した事実は,それだけでも強制わいせつ罪を構成するから,強要罪が成立することはないにもかかわらず,これを強要罪であるとして刑法223条を適用して有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり,また,原判決が平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項の罪(以下「3項製造罪」という。)に該当するとして認定した事実も,実質的には強制わいせつ罪に当たり,以上の実質的に強制わいせつ罪に該当する各事実について,告訴がないまま起訴することは,親告罪の趣旨を潜脱し,違法であるから,公訴棄却とすべ
きであるのに,実体判断を行った原審には,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,というものであると解される。
(1)強要罪が成立しないとの主張について
記録によれば,原判決は,公訴事実と同旨の事実を認定したが,その要旨は,被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら,同女に対し,要求に応じなければその名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して,乳房,性器等を撮影してその画像データをインターネットアプリケーション「LINE」を使用して送信するよう要求し,畏怖した被害者にその撮影をさせた上,「LINE」を使用して画像データの送信をさせ,被告人使用の携帯電話機でこれを受信・記録し,もって被害者に義務のないことを行わせるとともに,児童ポルノを製造した,というものである。
すなわち,原判決が認定した事実には,被害者に対し,その名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して同女を畏怖させ,同女をして,その乳房,性器等を撮影させるという,強制わいせつ罪の構成要件の一部となり得る事実を含むものの,その成立に必要な性的意図は含まれておらず,さらに,撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させるという,それ自体はわいせつな行為に当たらない行為までを含んだものとして構成されており,強要罪に該当する事実とみるほかないものである。
弁護人は,①被害者(女子児童)の裸の写真を撮る場合,わいせつな意図で行われるのが通常であるから,格別に性的意図が記されていなくても,その要件に欠けるところはない,②原判決は,量刑の理由の部分で性的意図を認定している,③被害者をして撮影させた乳房,性器等の画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させる行為もわいせつな行為に当たる,などと主張する。
しかしながら,①については,本件起訴状に記載された罪名及び罰条の記載が強制わいせつ罪を示すものでないことに加え,公訴事実に性的意図を示す記載もないことからすれば,本件において,強制わいせつ罪に該当する事実が起訴されていないのは明らかであるところ,原審においても,その限りで事実を認定しているのであるから,その認定に係る事実は,性的意図を含むものとはいえない。
また,②については,量刑の理由は,犯罪事実の認定ではなく,弁護人の主張は失当である。
そして,③については,画像データを送信させる行為をもって,わいせつな行為とすることはできない。
以上のとおり,原判決が認定した事実は,強制わいせつ罪の成立要件を欠くものである上,わいせつな行為に当たらず強要行為に該当するとみるほかない
行為をも含む事実で構成されており,強制わいせつ罪に包摂されて別途強要罪が成立しないというような関係にはないから,法条競合により強要罪は成立しないとの弁護人の主張は失当である。
(2)公訴棄却にすべきとの主張について
以上のとおり,本件は,強要罪に該当するとみるほかない事実につき公訴提起され,そのとおり認定されたもので,強制わいせつ罪に包摂される事実が強要罪として公訴提起され,認定されたものではない。
また,原判決の認定に係る事実は,前記(1)のとおり,強制わいせつ罪の構成要件を充足しないものである上,被害者撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機で受信・記録するというわいせつな行為に当たらない行為を含んだものとして構成され,これにより3項製造罪の犯罪構成要件を充足しているもので,強制わいせつ罪に包摂されるとはいえないし,実質的に同罪に当たると
もいえない。
・・・
検察官答弁書
なお,控訴趣意書18頁記載の東京高判平成26年2月13日東京高刑裁速報3519号は,確かに,なお書きとして,強制わいせつ罪の成立に性的意図は不要であるかのような説示をしている。
しかし,当該事件は,まさに同事件の被告人が犯行当時性的意図を有していたか否かが争点であり,同事件の第一審判決は,同事件が性的意図を欠いた報復目的で行われたとする同事件の第一審弁護人の主張を排斥し,同事件の被告人に性的意図と共に報復目的が併存していたことを認定しているところ,控訴審たる-4東京高等裁判所判決も,同事件が報復目的のみで行われたとする同事件の控訴審弁護人の主張を排斥して,第一審の判断を支持し,同事件の被告人に性的意図と共に報復目的が併存していたことを明確に認定した上,更に,なお書きで,上記の説示をし,弁護人の控訴を棄却したのである。
そこで,上告審弁護人は,上告趣意として,同東京高判が最判昭和45年1月29日刑集24巻1号1頁に反していると主張したが,最高裁判所第二小法廷は,当該判例違反の論旨は原判決に影響のないことが明らかな事項に関する判例違反の主張であって刑訴法第405条の上告理由に当たらない旨判示して,決定で上告を棄却し,同事件の被告人からの異議申立てをも決定で棄却したのである。
よって,上記東京高判の存在にもかかわらず,最判昭和45年1月29日刑集24巻1号1頁は,判例として変更されてはいないことになる。