児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

日刊ゲンダイが、掲載前に店舗が風俗営業の届け出をしているかを確認する義務

 広告主に確認する義務というのはなくて、広告主等の関係者から求められたら提示する義務(広告主には確認する権利)があるだけです。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111027k0000e040046000c.html
保安課によると、容疑者が広告を仲介していた新聞は日刊ゲンダイのみで、少なくとも違法風俗店7店舗の広告の掲載を仲介したという。同課は日刊ゲンダイの広告担当者らから、掲載前に店舗が風俗営業の届け出をしているかを確認したか事情を聴く方針。
 日刊現代総務部は「現在捜査中のためコメントできない」としている。
 警視庁は6月、マスコミ各社など約160社が加盟する「インターネット広告推進協議会」などにネット広告の掲載依頼があった場合は届け出の有無を確認するよう要請している

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第27条(営業等の届出)
店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、店舗型性風俗特殊営業の種別(第二条第六項各号に規定する店舗型性風俗特殊営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 営業所の名称及び所在地
三 店舗型性風俗特殊営業の種別
四 営業所の構造及び設備の概要
五 営業所における業務の実施を統括管理する者の氏名及び住所
2 前項の届出書を提出した者は、当該店舗型性風俗特殊営業を廃止したとき、又は同項各号(第三号を除く。)に掲げる事項(同項第二号に掲げる事項にあつては、営業所の名称に限る。)に変更があつたときは、公安委員会に、廃止又は変更に係る事項その他の内閣府令で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。
3 前二項の届出書には、営業の方法を記載した書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
4 公安委員会は、第一項又は第二項の届出書(同項の届出書にあつては、店舗型性風俗特殊営業を廃止した場合におけるものを除く。)の提出があつたときは、その旨を記載した書面を当該届出書を提出した者に交付しなければならない。ただし、当該届出書に係る営業所が第二十八条第一項の規定又は同条第二項の規定に基づく条例の規定により店舗型性風俗特殊営業を営んではならないこととされる区域又は地域にあるときは、この限りでない。
5 店舗型性風俗特殊営業を営む者は、前項の規定により交付された書面を営業所に備え付けるとともに、関係者から請求があつたときは、これを提示しなければならない。
第31条(標章のはり付け)
公安委員会は、前条第一項の規定により店舗型性風俗特殊営業の停止を命じたときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該命令に係る施設の出入口の見やすい場所に、内閣府令で定める様式の標章をはり付けるものとする。
2 前条第一項の規定による命令を受けた者は、次の各号に掲げる事由のいずれかがあるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、前項の規定により標章をはり付けられた施設について、標章を取り除くべきことを申請することができる。この場合において、公安委員会は、標章を取り除かなければならない。
一 当該施設を当該店舗型性風俗特殊営業(前条第三項の規定による停止の命令に係る営業を含む。)の用以外の用に供しようとするとき。
二 当該施設を取り壊そうとするとき。
三 当該施設を増築し、又は改築しようとする場合であつて、やむを得ないと認められる理由があるとき。
3 第一項の規定により標章をはり付けられた施設について、当該命令に係る店舗型性風俗特殊営業を営む者から当該施設を買い受けた者その他当該施設の使用について権原を有する第三者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、標章を取り除くべきことを申請することができる。この場合において、公安委員会は、標章を取り除かなければならない。
4 何人も、第一項の規定によりはり付けられた標章を破壊し、又は汚損してはならず、また、当該施設に係る前条第一項の命令の期間を経過した後でなければ、これを取り除いてはならない。

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この意味において、例えば、平成17年改正によって、既述のように、店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等営業の罰則が引き上げられ、かつ、無届で営業を営む者による広告・宣伝が全面禁止されましたが、この種違法行為について、法は、単に違反者が検挙されることはもとより、それが、そもそもこの種違法行為が行われないような環境づくりと連動することをも求めていると解されます。具体的には、平成17年改正により、届出確認書の提示義務が新設されたことの趣旨を、ビルオーナ一、不動産業、広告業の方々等の関係者が深く理解され、違法な営業を営む者を排除してゆくことに御協力されることを、求めているといえます。反面、残念ながら、積極的に違法な営業に加担する悪質なピルオーナ一、不動産業者、広告業者に対しては、共犯としての検挙等、厳格な姿勢で臨まなければならないものと解されます。
また例えば、これも既述のように、性風俗関連特殊営業のビラ等を人の住居に配るような違法な広告・宣伝について罰則が整備され、その行為者を取り締まることができることとなりましたが、これについても、法は、単に行為者が検挙されることはもとより、行為者にこの種違法行為をさせた営業を営む者に対して、確実に行政処分がなされ、もってその営業そのものが排除されることを求めているといえます。

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また、店舗型性風俗特殊営業届出確認書は、営業所に備え付けるとともに、関係者から請求があったときは、これを提示しなければなりません(法第27条第5項)。この場合において、「関係者」とは、警察職員、少年指導委員のほか、当該営業が適法に営まれているかどうかを確認する利益があると認められる者を広く含みます。具体的には、
(ア) 当該営業の営業所等の施設を提供している者
(イ) 当該営業に関する広告又は宣伝を作成し、又は掲載する者
(ウ) 当該営業の客又は従業者となろうとする者
等がこれに該当します(解釈運用基準第17  8(3 )。
店舗型性風俗特殊営業届出確認書は、営業所に備え付けなければなりませんから、営業所を訪れた者以外の「関係者」からこれの提示を求められたときは、これの写しを持参し、又は送付することにより提示すれば足りるものとされています(解釈運用基準第17  8 (2)。