実務家は条文の体裁の類似性もみてるんですよ。
そんで、児童ポルノ罪もわいせつ図画と同じだと誤解した。
植村立郎判事退官記念論文集 第1巻 p61
エ 最決平成21年7月7日(刑集63巻6号507頁。平成21年7月決定) 1
平成21年7月決定Iは,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法)2条3項にいう児童ポルノを不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数について判断を示した判例である。
事案は,被告人が,児童ポルノであり,かつ,わいせつ図画であるDVDと,児童ポルノには当たらないがわいせつ図画に当たるDVDを多数回にわたり販売するとともに,同様の多数のDVDを所持したというものである。
児童ポルノ提供等の罪37) とわいせつ図画販売等の罪38) とは構成要件の立て方が似ているところ,わいせつ図画販売等の罪については,複数のわいせつ図画の販売が同ーの意思の下に行われる限り包括一罪とするのが判例,通説39)であり,これと販売目的所持とが同ーの意思の下に行われる場合も包括ー罪であると解されてきた40)。しかも,児童ポルノを不特定又は多数の者に対して提供する行為と提供目的で所持する行為との関係についても,包括ー罪とする裁判例41)や学説42) があったこともあり,児童ポルノ提供の罪と同提供目的所持の罪との罪数が争点とされたものである。
37) 児童ポルノ法7条4項は,児童ポルノを不特定又は多数の者に提供し又は公然と棟列すること等を,同条5項は,上記目的で児童ポルノを所持すること等を構成要件とする(なお,平成16年法律第106号による改正前の同法は, 7条1項が,児童ポルノを頒布し,販売し,業として貸与し又は公然と陳列することを,同条2項が,上記目的で児童ポルノを所持すること等を構成要件としており,刑法175条の規定の仕方により近かったともいえる)。