児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

法律時報増刊 判例回顧と展望2009 2010年 05月号

http://www.nippyo.co.jp/book/5322.html



 奥村事件は5つ紹介されています。

今年度の特徴
性犯罪については、刑法上のわいせつ物であるとともに児童ポルノにも当たる物の提供・販売と所持がなされた場合の罪数処理につき判断した児童ポルノ法違反に関する最高裁判例のほか、迷惑防止条例に存在する「卑わいな言動」の意義およびその明確性につき最高裁として初めて判断した最高裁判例を得た。

p55
⑮東京高判平問・日・6(高検速報三三六九・三五二。原判決般東・確定)〔←特⑩〕は、被告人が、児童二名に現金等を供与して性交し、その場面を撮影して児童ポルノを製造した事案について(1)「児童に現金等を供与して性交等をする児童買春罪と、その機会に提供日的で性交等の場面を動画撮影や写真撮影の方法で記録しDVDやネガフィルムを作成する」児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律「七条二項の児童ポルノ製造罪とは、自然的観察の下で社会的見解上一個の行為とみることはできず、併合罪関係と解される」、(2)「被告人がいずれも収入を得る目的で児童との性交等の場面を記録して複数の児童ポルノを製造していたとしても、二つの製造行為の間が九か月余りも離れていて、犯行場所、被害児童、記録媒体も異なっているので包括一罪とすべきではなく併合罪と解すべきである」と判示し、併合罪処理した原
判決に法令適用の誤りはないとした。なお、東京高判平17.12.26(判時一九一八・122)が、六件の児童ポルノ製造罪を包括一罪とし、そのうち性交等に係る姿態を揃影した三件についてはそれ自体が児童淫行罪(児童福祉法三四条一項六号・六〇条一項)にも該当し、両者は観念的競合の関係にあるとしていることから、本判決の検討が必要であろう

p56
⑩最二小決平引・7・7(刑集六三・六・五〇七、判タ1311・八七。上告棄却)〔←各38・特15〕は、被告人が、前後16回にわたり、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童ポルノ法)二条三項にいう児童ポルノであると同時に刑法一七五条にいうわいせつ図画にも当たるDVDおよびわいせつ岡画であるDVDを不特定または多数の者に販売して提供し、また、'自宅で児童ポルノかつわいせつ凶両であるDVDおよびわいせつ図画であるDVDを不特定もしくは多数の者に提供または版売する日的で所持した事案につき、罪数判断を不した。本決定は、児童の権利を擁護する児童ポルノ法の立法趣旨に照らし、児童ポルノ提供罪(7条4項)と児童ポルノ提供目的所持罪(七条五項)とは併合罪の関係にあるが、児童ポルノ、かつ刑法一七五条のわいせつ物である物を、他のわいせつ物である物も含め、不特定または多数の者に販売して提供するとともに、不特定または多数の者に販売して提供する目的で所持した場合は、包括一罪の関係にあるわいせつ物販売と同販売目的所持との一部であるわいせつ物販売と児童ポルノ提供、また、わいせつ物販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持とがそれぞれ社会的、自然的事象としては同一の行為であって観念的競合の関係に立つから、全体が一罪となるとした。刑法一七五条のわいせつ物販売罪とわいせつ物販売目的所持罪とは包括して一罪を構成するというのが、従来の判例の立場である。これに対し、本決定が、児童ポルノ提供罪と児童ポルノ提供日的所持罪とは併合罪の関係にあるとした点、刑法上のわいせつ物であるとともに児童ポルノにも当たる物の提供・販売と所持がなされた場合の罪数処理につき、いわゆるかすがい理論の適用により一罪処理をした点で、重要な意義を有する。

p57
51最一小決平21.10.21(裁時一四九四・三。上告棄却)は、被告人が、二OMにわたり被害児童に被告人を相手に性交等をさせ、そのうち一三回の淫行の機会に性交等に係る姿態をビデオカメラで撮影し児童ポルノを製造した事案において、児童福祉法三四条一項六号違反の罪と児宜ポルノ法七条三項違反の罪との罪数関係につき、両行為は一部重なる点はあるものの、両行為が通常伴う関係にあるとはいえないことや、両行為の性質等にかんがみると、それぞれにおける行為等の動態は社会的見解上別個のものといえるから、両罪は、刑法五四条一項前段の観念的競合ではなく、刑法四五条前段の併合罪の関係にある」とした。

p72
①最三小決平20.11.4(刑集六二・一〇・二八一一、判時二〇二五・一五八、判タ一二八五・八〇。上告棄却)は、児童ポルノであるDVDを作成し、インターネット上で不特定の客に販売する際、代金を前払いで被待人の管則する口座に振込入金させたという事案である。最高裁は、組織的犯罪処罰法二条二項にいう「犯罪行為により得た財産」は、当該犯罪行為によって取得した財産であればよく、その取得時期が当該犯罪成立時の前であると後であるとを問わないと解すべきであるから、犯罪収益を生じる前提となる犯罪(本件では、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律七条四項前段の児童ポルノ提供罪)の実行に着手する前に取得した前払い代金等であっても、後に前提犯罪が成立する限り犯罪行為により得た財産として犯罪収益に該当し、その取得につき事実を仮装すれば同法一O条一項前段の犯罪収益取得事実仮装罪が成立すると判示した。