児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

吉井隆平「不法目的の立入りと住居侵入罪」新実例刑法各論P408

甲は,銀行の現金自動預払機を利用する客の力一ドの暗証番号,名義人氏名,口座番号等を盗撮するだめ,現金自動預払機が設置されていて,行員の常駐していない銀行支店出張所に,その営業中,自動ドアのある出入口から,立ち入つた。甲の罪寅はどうか。
 男女共用トイレに盗撮カメラを仕掛けるために入る行為についても、思考方法は同じです。

論点の所在
設問は,建造物侵入罪の成否を問うものであり,甲の銀行支店出張所への立ち入りが同罪の「侵入」に当たるか否かが論点となる。換言すれば,建造物侵入罪の「侵入」とはどのような立入りかが問題である。すなわち,甲が立ち入った銀行支店出張所は,現金自動預払機を利用する銀行の顧客のために供された店舗であり,無人ではあるもののその出入口は自動ドアとされるなど支店長の事実上の支配下にあることが明らかであるから刑法130条前段の「人の看守する建造物」に該当すると解される。したがって,問題は,銀行の支店出張所は,その設置の目的や業務の性質上不特定多数の者が立ち入ることを予定されている店舗であるところ,設問のような違法な行為に及ぶ目的をもってそのような店舗に立ち入ることが建造物侵入罪の「侵入」に当たるか否かということにな
る。そこで,建造物侵入罪,ひいては住居侵入罪における「侵入」について,学説,判例上どのような議論がなされてきたかを概観し,その上で,設問に対する考え方を説明することにしたい。