児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

愛知県青少年保護育成条例と性犯罪

 「競合する」となっているので、両方成立して罪数処理ということでしょうか。13歳未満の場合はどうなのかが知りたいのですがそこは沈黙。

愛知県青少年保護育成条例の解説H21
(いん行、わいせつ行為の禁止)
第14条何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
〔解説〕
1 本条は、青少年に対していん行又はわいせつ行為をし、又はそれらの行為を故意に教えたり、見せたりするなど直接的に青少年の福祉を阻害する背徳行為を禁止し、青少年の健全育成を図ろうと
するものである。
2 「いん行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺悶し又は困惑させる等、その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為として限定解釈する。
「性交類似行為」とは、手淫、口淫(尺八)、触淫、(素股)等の各行為をも含む。
3 「わいせつ行為」とは、いたずらに性欲を刺激興奮せしめたりその露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し、性的に差恥嫌悪の情をおこさせる行為をいう。
具体的には
 陰部に対する弄、押し当て
 乳房に対する弄
 接吻
 裸にして写真を撮る
等、その部位態様はかなり狭く解する。
4 「てはならない」とは、青少年を相手方として、いん行又はわいせつ行為を行うことを一切禁止しているのであり、相手方の同意、承諾の有無及び対価の授受の有無は問わない。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律は、「対償を供与し、又はその供与の約束をして」と規定し、経済的対価が前提とされていることから、経済的対価がない場合は、本条が適用される。
13歳以上の男女に対する暴行脅迫による姦淫(いん行)及びわいせつ行為については、刑法第177条(強姦)又は第176条(強制わいせつ)の条項と競合する。
児童福祉法第34条では、「児童にいんこうさせる行為」を対象としているが「児童にいん行させる行為とは、行為者が児童をして第3者といん行をさせる行為のみならず、行為者が児童をして行為者自身といん行させる行為をも含むと解する。Jとの最高裁決定がなされたことにより、行為者も児童福祉法の処罰の対象となり、本条の行為者自らが青少年を相手方としていん行することを禁止した内容と競合することになるが、「いん行させる行為」の内容が個々の場合で判断されることから、適用に当たっては個々の内容により判断されることとなる。