児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

被害者に怒られても謝りに行くものですよ。

 こういうパターンはよくあります。

被告人「示談するお金はないが謝罪の手紙だけでも出したい」
国選弁護人「そんなことしたら被害感情が増して逆効果。出さない方がいい」
被告人質問「(被害者不在の法廷で)被害者にお詫びしたいと思います」

一審裁判所「なんら慰謝の措置を取っておらず、真剣に反省しているのか疑わしい」

控訴審で弁護人経由で謝罪の手紙
被害者から弁護人に「許さない」という返事→被告人へ

被告人質問「被害者が怒っていることがよくわかりました。取り返しが付かないことをしてしまったことを実感し反省している。」
控訴審裁判所「(被害感情は依然厳しいが)被害者に謝罪の手紙を出すなど、一定の努力をしたことが認められる。原判決後に反省を深めている」

刑期・未決勾留日数算入で考慮

 被告人が起案して弁護人が内容を添削して弁護人経由で送る場合はプラスに働くと考えています。マイナスに評価した判決を見たことがない。

 被害者から怒られるから謝罪もしないというのは、そういう辛い状況を体験したくないという被告人の思惑と、示談が成立しなければ報酬が加算されないという国選弁護人の思惑が相まった結果で、被告人には不利な対応だと思います。
 たいていの被告人は「国選弁護人から『そんなことしたら被害感情が増して逆効果。出さない方がいい』と言われたから」と弁解しますが、被告人も楽な方に流されています。
 往来で足を踏んだくらいでも謝るのに、犯罪の被害を与えておいて全然謝らないというのは、非常識ですね。
 特に、福祉犯の場合、見過ごされがちな「商業的性的虐待である」「被害児童の徳性を損なった」という罪の本質を被告人が学習・理解したことを示す重要な情状立証だと思います。
ということで、控訴審の弁護人は、被害者10人分くらいへの謝罪文を添削中です。どうせ清書してもらうので、PDFにして注釈つけていけば楽です。