業務妨害罪の適用もあり得る事件です。
http://www.police.pref.osaka.jp/jyoho/03.html
6月24日(金)掲載
軽犯罪法(警察官に対して虚構の犯罪を申告した)違反被疑者の検挙
5月19日(木)未明、被疑者は、「大阪府警の近くに爆弾を仕掛けた」と虚偽の110番通報をし、通報を受けた東警察署員が爆弾を捜索しましたが、発見に至りませんでした。その後、捜査の結果、被疑者が判明したため検挙し、6月23日(木)に、軽犯罪法(警察官に対して虚構の犯罪を申告した)違反被疑者として、大阪区検察庁に書類送検したものです。
国選弁護人としてこんな判例を作ったことがあります。
法条競合で軽犯罪法のみが成立すると主張したんですね。
信用毀損罪なんて誰もやったことがないので、残りくじとして回ってきた事件でした。
最近行かないのですが、大阪高裁の第1刑事部ではいろいろ勉強させてもらいました。
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/WebView2/3FDA5339A86D26BA49256CFA0006EDBB/?OpenDocument
H14. 6.13 大阪高裁 平成14う52 信用毀損,業務妨害,窃盗被告事件
事件番号 :平成14う52
事件名 :信用毀損,業務妨害,窃盗被告事件
裁判年月日 :H14. 6.13
裁判所名 :大阪高裁
部 :第1刑事部
結果 :棄却
判示事項 :
1 刑法233条の虚偽の風説の「流布」に当たるとされた事例
2 刑法233条の信用毀損,業務妨害罪と軽犯罪法1条16号の関係
裁判要旨 :
1 警察官に対し,コンビニエンスストアで購入したジュースに異物が混入していた旨虚偽の申告をする行為が,刑法233条の虚偽の風説の「流布」に当たるとされた事例
2 警察官に虚偽の申告をして虚偽の風説を流布し,業務を妨害した場合には,軽犯罪法1条16号の虚構申告罪が成立するほか,刑法233条の信用毀損罪及び業務妨害罪も成立する。
4 【要旨2】軽犯罪法1条16号との関係について
所論は,虚構の犯罪を申告する場合,軽犯罪法1条16号の虚構申告罪は刑法233条の信用毀損罪及び業務妨害罪の特別法と解すべきであるから,被告人の原判示第1の所為については軽犯罪法を適用すべきである旨主張する。
しかしながら,軽犯罪法1条16号は,異常な事態に対処すべき公共の機関が無駄な活動を余儀なくされ,ひいては公共の利益を害することになるおそれのある行為を防止する趣旨で規定されたものであるのに対し,刑法233条の信用毀損罪等は,人の経済的面における社会活動に対する侵害を内容とする犯罪で,信用や業務の安全を保護するものであり,このような軽犯罪法の立法趣旨,両罪の罪質,保護法益の相違等を考え併せると,両罪が特別法と一般法の関係にあるとはいえない。したがって,捜査機関に虚偽の申告をし,これが公表されて人の信用等が害された場合は,軽犯罪法1条16号の虚構申告罪が成立するほか,刑法233条の信用毀損罪等も成立すると解するのが相当であり,これと見解を異にする所論は採用できない。