児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

過去上映DVD、児童ポルノと判断…ネット競売男逮捕

(読売新聞) - 9月30日14時44分更新
 京都地裁では、市販の写真集の販売罪の事例がありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040930-00000307-yom-soci
思春の森」は1977年に製作された映画

 芸術性は争点になるでしょうが、
 輸入の動機は、芸術だからなのか、国内で禁止されている児童ポルノだからか。

 はてなのキーワードらしいね
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BB%D7%BD%D5%A4%CE%BF%B9

 犯罪阻却を主張するとして、犯罪要件のどこで切るかは難しい。
 性欲刺激要件か、違法性か、故意か。
 この点については、京都地裁判決が2つある。

古川判決だと絶望的

京都地裁H14.4.24
6 弁護人は,前記「A」,「B」,「c」の各作品は芸術作品であるから児童ポルノに該当しないと主張する。
 しかしながら,芸術的価値のあるものであっても,これを児童ポルノに該当するものとすることは差し支えないから,弁護人の主張は,その余について判断するまでもなく理由がない。
7 弁護人は本件各写真集につき,被害者(被撮影者)の同意があると主張する。
  しかしながら,児童ポルノ法の制定趣旨は,性的搾取及び性的虐待から児童の権利の保護を目的とするものであり,加えて,当該児童を保護し,関係者を処罰することによって,ひいては児童一般を保護しようとしている趣旨も間接的に含まれているのであるから,当該児童の同意があったとしても,これをもって,構成要件該当性あるいは違法性を阻却する事由とはなり得ないと解するのが相当である。したがって,弁護人の主張は理由がない。
(法令の適用)
罰       条
 別紙一覧表の各番号ごとにいずれも(なお,同番号4については,各写真集ごとに包括して)児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条1項,2条3項3号

観念的競合の処理  前記番号4につき,刑法54条1項前,段、10条(犯情の重い児童ポルノ写真集「k」の販売の罪で処断。)

刑 種 の 選 択 いずれも懲役刑を選択

併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い前記番号4の罪の刑に法定の加重。)

刑 の 執行猶予 刑法25条1項
(量刑の理由)

(求刑 懲役 年)
平成14年4月24日
京都地方裁判所第1刑事部
裁判官
古 川    博

こんな高裁判決もあります。基準が出てますから使えそうです。

阪高裁平成14年9月12日(公刊物未掲載)
第5控訴趣意中,事実誤認の主張について
論旨は,・・・(2)本件各写真集はいずれも芸術作品であり,児童ポルノに当たらない,というのである。そこで,記録を調査して検討するに,・・・(2)の点についても,所論は,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響について,個々の写真ごとに検討すべきであるとの前提に立った上,本件各写真集は,いずれも,①表現方法に性器等を強調する傾向がない,②性欲を興奮又は刺激する内容がない,③児童のポーズに扇情的な要素がない,④児童の純真さを表現するという撮影者の意図が明らかである,⑤装丁も芸術作品に相応しいものであるから,児童ポルノに当たらないと主張する。しかしながら,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響については,本件各写真集をそれぞれ全体的に見て検討すべきである上,本件各写真集は,いずれも,全裸あるいは半裸姿の児童が乳房,陰部等を露出している写真が相当部分を占めており,上記①②及び④は妥当しないし,また,そのため,仮に,上記③及び⑤が妥当するとしても,本件各写真集が児童ポルノに当たらないとはいえない。したがって,所論は採用できない。