児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

Tバック中学生DVD発売中止、Vバック小学生DVD廃盤

 前から厳しいですけどね。
 最近緩んだのかと思ってました。知らないだけですね。
裁判官の定年は65歳(最高裁判事と簡裁判事は70歳)なので、かなり保守的です。

http://news.ameba.jp/2007/03/3711.php
以前に紹介し、コメント欄で賛否両論を巻き起こしたTバック中学生・泉明日香(14)。
 過激化が進むU−15界に硬派雑誌も反応。先日発売された『週刊文春』のU−15特集では、元最高検事が「摘発すべきだと思う」とコメントするなど、問題視されつつある。
 そんな世間の動きを気にしてか、ついにメーカー側が自主規制を始めたようだ。
 ぶんか社から3月30日に発売予定だった、Tバック中学生・芦田実沙寿のDVDが発売中止。また泉明日香を超える過激派、Vバック小学生・大西杏奈DVD『あんな12歳』、Vバック中学生・藤永あおいDVD『あおい13歳』、Tバック中学生・小池凛は『りん14歳〜悪戯』含む3本が廃止になったと、監修を務めるカメラマン・会田我路セレクトショップのHPで発表された。

京都地裁H12.7.17
 二 児童ポルノ法二条三項三号の解釈
 児童ポルノ法二条三項三号にいう児童ポルノ(以下「三号児童ポルノ」という。)とは、写真、ビデオテープその他の物であって、(1)衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって(2)性欲を興奮させ又は刺激するものを(3)視覚により認識することができる方法により描写したものに該当するものである(数字は条文にはないが便宜上付け加えた)。本件では、(1)、(3)は客観的に判断することができることから、特に(2)の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の意味内容が問題となる。
 そもそも児童ポルノの販売等が禁止され、さらに、これらの目的での児童ポルノの製造、所持等が禁止されているのは、これらの行為による児童に対する性的搾取及び性的虐待が、児童ポルノの対象となった児童の心身に有害な影響を与え続け、児童の権
利を著しく侵害するからに他ならない(児童ポルノ法一条参照)。
 このように、児童の権利を保護することの重要性にかんがみて、児童ポルノ法は、刑法におけるわいせつの定義、すなわち、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、幣通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」という最高裁判所判例最高裁昭和三二年三月一三日大法廷判決参照)によって確立されている定義とは異なった観点から児童ポルノの範囲を定め、性欲を興奮又は刺激せしめる点は必要であるが、しかし、「徒に」興奮又は刺激しなくても処罰の対象とし(この点で刑法よりも規制対象を拡大しているといえる。)、また、禁止される行為の範囲も業としての貸与、頒布等の目的での製造等にまで広げ、国内外を問わず処罰することとしたのである(同七条参照)。
 そうだとすると、問題となっている写真、ビデオテープ等が、ことさらに扇情的な表現方法であったり、過度に性的感情を刺激するような内容のものである場合などに限るなど、特別な限定をしなくても、性欲を興奮させ又は刺激するものと認められる以上は、三号児童ポルノに該当すると解すべきである。弁護人は、「性欲を興奮させ又は刺激する」との規定の意味を、児童のポーズが意味もなく局部を強調するものであったり、構図などから男女の性交を暗喩していると認められるような場合に限定すべきであると主張するが、そのように限定して解釈すべき理由はない。
 三 判断の方法
 そして、性欲を興奮させ又は刺激するものであるか否かの判断は、児童の姿態に過敏に性的に反応する者を基準として判断したのではあまりにも処罰範囲が拡大してしまうことから、前記のとおり、児童ポルノの定義から最高裁判所判例の掲げる「普通人の正常な性的羞恥心を害し」という要件が割愛されているとしても、法の一般原則からして、その名宛人としての「普通人」又は「一般人」を基準として判断するのが相当である。
 もっとも、三号児童ポルノの範囲が拡大すると、表現の自由や学問の自由等の憲法上の権利を制約することになりかねないという懸念もあろう。児童ポルノ法三条も、この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならないと定めているところである。
 そこで、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態(以下「児童の裸体等」という。)を描写した写真または映像に児童ポルノ法二条二項にいう」性器等」、すなわち、性器、肛門、乳首が描写されているか否か、児童の裸体等の描写が当該写真またはビテオテープ等ガ全体に占める割合(時間や枚数)等の客観的要素に加え、児童の裸体等の描写叙述方法(具体的には、(1)性器等の描写について、これらを大きく描写したり、長時間描写しているか、(2)着衣の一部をめくって性器等を描写するなどして性器等を強調していないか、3児童のとっているポーズや動作等に扇情的な要素がないか、(4)児童の発育過程を記録するために海水浴や水浴びの様子などを写真やホームビデオに収録する場合のように、児童の裸体等を撮影または録画する必然性ないし合理性があるか等)をも検討し、性欲を興奮させ又は刺激するものであるかどうかを一般通常人を基準として判断すべきである。そして、当該写真又はビデオテープ等全体から見て、ストーリー性や学術性、芸術性などを有するか、そのストーリー展開上や学術的、芸術的表現上などから児童の裸体等を描写する必要性や合理性が認められるかなどを考慮して、性的刺激が相当程度緩和されている場合には、性欲を興奮させ又は刺激するものと認められないことがあるというべきである。

阪高裁H14.9.12
論旨は,,(2)本件各写真集はいずれも芸術作品であり,児童ポルノに当たらない,(3)本件各譲渡は,いずれも児童ポルノ愛好家という特定の者に対するもので,その数も4名と少ないから,本罪の「販売」には当たらないとした上で,それにもかかわらず,被告人を有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。
そこで,記録を調査して検討するに,原判決が,その挙示する証拠によって,被告人を本件各児童ポルノ販売の事実につき有罪としたのは正当であり,また,その「争点に対する判断」の項において,上記(1汲び(2)と同旨の原審弁護人の主張を排斥するところも,相当として是認できるのであって,当審における事実取調べの結果によっても,この認定,判断は動かない。
(2)の点についても,所論は,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響について,個々の写真ごとに検討すべきで奉るとの前提に立った上,本件各写真集は,いずれも,①表現方法に性器等を強調する僚向がない,②性欲を興奮又は刺激する内容がない,③児童のポーズに扇情的な要素がない,④児童の純真さを表現するという撮影者の意図が明らかである,⑤装丁も芸術作品に相応しいものであるから,児童ポルノに当たらないと主張する。しかしながら,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響については,本件各写真集をそれぞれ全体的に見て検討すべきである上,本件各写真集は,いずれも,全裸あるいは半裸姿の児童が乳房,陰部等を露出している写真が相当部分を占めており,上記①②及び④は妥当しないし,また,そのため,仮に,上記③及び⑤が妥当するとしても,本件各写真集が児童ポルノに当たらないとはいえない。したがって,所論は採用できない。さらに,(3)の点については,販売とは不特定又は多数人に対する有償の譲渡行為をいうのであって,本件各譲渡がこれに当たることは明らかである。この論旨も理由がない。
第6控訴趣意中,事実誤認及び法令の解釈適用の誤りの主張について
論旨はまず,(1)「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の判断は,一般人を基準とし,(2)これに当たるには,その内容が「露骨な描写」であることを要するとする原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の解釈適用の誤りがある,というのである。しかしながら,(1)の点については,原判決の基準は正当である。つまり,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」と感じる者が多数いると考えられれば,それで足りる。また,(2)の点については,原判決は本件各写真集が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たる旨判示したにとどまり,所論のようなものであることを要するとはしていない。次いで,論旨は,被撮影者には五,六歳の児童もおり,このような児童の姿態は,どのようなポーズをとっても,一般人を基準とする限り,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たらないのに,これを肯課した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。しかしながら,本件各写真集に掲載された写真のうち,原判決が児童ポルノの要件を満たすと判断したものは,一般人を基準としても,いずれも「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といえる。これらの論旨も理由がない。