児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ該当性と芸術性(京都地裁H14.4.24、大阪高裁H14.9.12)

 児童ポルノ罪の成立要件において、芸術性をどう位置づけるかという問題なんですが、京都地裁児童ポルノ該当性判断のレベルではないということです。

京都地裁平成14年4月24日
6 弁護人は,前記「a」,「b」,「c」の各作品は芸術作品であるから児童ポルノに該当しないと主張する。
 しかしながら,芸術的価値のあるものであっても,これを児童ポルノに該当するものとすることは差し支えないから,弁護人の主張は,その余について判断するまでもなく理由がない。

 その控訴審(大阪高裁H14.9.12)では、
   ①表現方法に性器等を強調する傾向がない,
   ②性欲を興奮又は刺激する内容がない,
   ③児童のポーズに扇情的な要素がない,
   ④児童の純真さを表現するという撮影者の意図が明らかである,
   ⑤装丁も芸術作品に相応しいものである場合には
   児童ポルノに当たらない
という基準を示して、
芸術作品は児童ポルノに該当しないという判断を示しています。構成要件レベルの判断ですね。

阪高裁平成14年9月12日
所論は(2)本件各写真集はいずれも芸術作品であり,児童ポルノに当たらない・・・というのである
(2)の点についても,所論は,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響について,個々の写真ごとに検討すべきであるとの前提に立った上,本件各写真集は,いずれも,①表現方法に性器等を強調する傾向がない,②性欲を興奮又は刺激する内容がない,③児童のポーズに扇情的な要素がない,④児童の純真さを表現するという撮影者の意図が明らかである,⑤装丁も芸術作品に相応しいものであるから,児童ポルノに当たらないと主張する。しかしながら,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響については,本件各写真集をそれぞれ全体的に見て検討すべきである上,本件各写真集は,いずれも,全裸あるいは半裸姿の児童が乳房,陰部等を露出している写真が相当部分を占めており,上記①②及び④は妥当しないし,また,そのため,仮に,上記③及び⑤が妥当するとしても,本件各写真集が児童ポルノに当たらないとはいえない。

 さて、国会図書館さん、
   ①表現方法に性器等を強調する傾向がない,
   ②性欲を興奮又は刺激する内容がない,
   ③児童のポーズに扇情的な要素がない,
   ④児童の純真さを表現するという撮影者の意図が明らかである,
   ⑤装丁も芸術作品に相応しいものである
写真集は、児童ポルノじゃないから、非公開の理由がないですよ。
って、優しい図書館員に何判断させてるのかと思います。公的図書館が内容判断して閲覧止めると、検閲の問題になる。
 この際、立法的に、図書館は免責してあげないとだめですよ。