児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

家畜伝染病予防法違反被告事件

 一回結審の割りには、量刑理由が詳細に述べられています。

http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/c1eea0afce437e4949256b510052d736/359d8779c79972f249256f1c002984f6?OpenDocument
◆H16. 8.10 京都地方裁判所 平成16(わ)516 家畜伝染病予防法違反被告事件

事件番号  :平成16(わ)516
事件名   :家畜伝染病予防法違反被告事件
裁判年月日 :H16. 8.10
裁判所名  :京都地方裁判所
部     :第1刑事部
結果    :Aにつき、罰金50万円。Bにつき、懲役1年・3年間執行猶予。
原審裁判所名:京都地方裁判所
原審事件番号:平成16(わ)516
原審結果  :
Aにつき、罰金50万円。Bにつき、懲役1年・3年間執行猶予。

判示事項の要旨:
被告人会社の所有する採卵鶏が高病原性鳥インフルエンザの擬似患畜となった事案につき、改正前の家畜伝染病予防法による届出義務違反を認めた事例


平成16年8月10日宣告
平成16年(わ)第516号 家畜伝染病予防法違反被告事件
主文
被告人有限会社Aを罰金50万円に,被告人Bを懲役1年に処する。
被告人Bに対し,この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人有限会社Aは,兵庫県姫路市a町b番地に本店を置き,養鶏の飼育販売等を営むもの,被告人Bは,同社代表取締役社長として,その業務全般を統括掌理するものであるが,被告人Bは,被告人会社の業務に関し,同社代表取締役会長であるCらと共謀の上,法定の除外事由がないのに,平成16年2月22日ころ,京都府船井郡c町d番eほか6筆,同f番ほか8筆,同g番ほか3筆に所在する同社経営のD農場において,同社が所有する家畜である採卵鶏が高病原性鳥インフルエンザの擬似患畜となったことを発見したにもかかわらず,農林水産省令で定める手続に従い,遅滞なく,京都府知事から委任を受けたE家畜保健衛生所長にその旨を届け出なかったものである。

弁護人の主張

ところで,弁護人は,①鳥インフルエンザの対策としては,鶏にワクチンを接種してその感染を防止するという効果的な対応策があり,国内の養鶏各社やワクチンメーカーはワクチン接種等を農林水産省に再三求めていたのに,同省がこれを放置し,ワクチン接種という根本的な対策を採らなかったもので,そのことが本件の大きな要因となっている,また,②養鶏業を営んでいた場合,もし,鳥インフルエンザに罹患したことが発覚すると,政府から保護のない現状では,即倒産を余儀なくされ,会社のみならず,会社経営者の個人の資産をも全て失ってしまう結果になるのであるから,そのような中で,鳥インフルエンザに罹患したことをすぐに届け出ることを義務付けても,実際に届け出ることができる者はほとんどおらず,したがって,被告人においても,届出義務を行う期待可能性は極めて乏しかった旨主張する。

 この辺は、ここまで追い込まれる前に、弁護士が対応してやれよという感じがしますが。

本件の発覚後,連日のように多数の抗議の電話等や報道機関による取材攻勢を受ける中,最愛の両親である会長夫妻が自殺し,また,その同じ日に子供の将来を考えて妻とも離婚し,家族と別居せざるを得ない状況に追い込まれるなど,被告人は,これまで築き上げてきた平和な家庭をわずか10日間の出来事によって失ってしまったこと,