児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

師弟関係の児童淫行罪で6/3起訴、7/18初公判結審(求刑4年)、8/28判決(2年6月実刑)(静岡地裁H31.8.28)

 あまり知られてませんが、師弟関係の児童淫行罪は6:4くらいで実刑の方が多いので、ちょっと争点作りながら罪体(余罪)を削って行かないと。

児童福祉法違反で元県立高教諭起訴-静岡地検
2019.07.05 静岡新聞
 静岡地検は4日までに、児童福祉法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で、元県立高教諭で30代の無職の男を静岡地裁に起訴した。
 起訴は6月3日付。起訴状などによると、男は高校教諭だった2018年12月ごろから19年3月ごろまでの間、10代の少女が18歳未満と知りながら複数回にわたり淫行させた上、携帯電話で動画を撮影し児童ポルノを製造したとされる。
 男は4月に県教委から懲戒免職処分を受け、5月に県警に逮捕された。地裁は匿名で公判を行うことを決めている。
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児童福祉法違反の元教諭に4年求刑 静岡地裁初公判
2019.07.18 静岡新聞
 勤務していた高校の生徒に淫行をさせるなどしたとして、児童福祉法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた元県立高教諭の30代の男=懲戒免職=の初公判が18日、静岡地裁(伊東顕裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認め、検察側が懲役4年を求刑、弁護側が執行猶予付き判決を求めて即日結審した。判決は8月28日。
 検察側は論告で「自ら生徒を誘い出し、自分の性欲を満たすために教員の立場を乱用した特に悪質な犯行」と指摘した。弁護側は「悪意はなかった」と酌量を求めた。
 起訴状などによると男は2018年12月ごろから19年3月ごろまでの間、勤務校の女子生徒が18歳未満と知りながら複数回淫行をさせた上、携帯電話で動画を撮影し児童ポルノを製造したとされる。
 公判は被害者が特定される可能性がある「被害者特定事項」として匿名で行われた。
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元教諭に実刑判決 児童福祉法違反 「卑劣な犯行」 静岡地裁
2019.08.28 静岡新聞
 勤務していた高校の女子生徒に淫行をさせるなどしたとして、児童福祉法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた元県立高教諭の30代の男=懲戒免職=に対し、静岡地裁は28日、懲役2年6月(求刑懲役3年6月)の実刑を言い渡した。
 伊東顕裁判官は判決理由で「青少年の健全な成長を促すべき立場の教師が被害者の未熟さに付け込んだ身勝手で卑劣な犯行」と非難。「反省の態度などを考慮しても刑の執行を猶予すべきではない」と実刑の理由を述べた。
 判決によると、男は2018年12月ごろから19年3月ごろまでの間、勤務校の女子生徒が18歳未満と知りながら県内で複数回淫行をさせ、携帯電話で動画を撮影し児童ポルノを製造した。

 検察側は初公判で懲役4年を求刑したが、動画の所有権放棄などの手続きを踏まえ、判決に先立ち求刑を懲役3年6月に変更した。公判は、被告の氏名について被害者が特定される可能性のある「被害者特定事項」と判断し、匿名で行った。

静岡地方裁判所
令和01年08月28日
 被告人に対する児童福祉法違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、検察官山根誠之、弁護人内田隼二各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役2年6月に処する。

理由
(犯罪事実)
第1 被告人は、●●●高等学校の教諭として、同校●●●部の顧問をしていたものであるが、同校の生徒であり、同部の部員である●●●(当時17歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、その立場を利用し、同児童が自己に好意を寄せていることに乗じ、
 1 平成30年12月11日午後4時55分頃から同日午後6時52分頃までの間に、静岡県●●●所在のホテル●●●において、同児童に自己を相手に性交させ、
 2 平成31年3月11日午後7時頃から同日午後7時43分頃までの間に、同県●●●所在の同校●●●において、同児童に自己を相手に性交させ、
 3 同月26日午後5時頃から同日午後5時15分頃までの間、同県●●●から北北東方向図測約177メートル先空き地に駐車中の自動車内において、同児童に自己を相手に性交させ、もって児童に淫行をさせる行為をした。
第2 被告人は、前記●●●(当時17歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、前記第1の1の日時、場所において、同児童に、その乳房、陰部を露出した姿態、被告人の陰茎を口淫する姿態及び被告人と性交する姿態をとらせ、これを撮影機能付き携帯電話機で撮影し、その動画データ1点をその携帯電話機本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した。
(証拠の標目) (カッコ内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)
 
(法令の適用)
  (1) 罰条
  (ア) 第1の行為 包括して、児童福祉法60条1項、34条1項6号
  (イ) 第2の行為 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項(2条3項1号、3号)、2項
  (2) 刑種の選択 いずれも懲役刑を選択
  (3) 併合罪加重 刑法45条前段、47条本文、ただし書、10条(重い判示第1の罪の刑に加重)
(量刑の事情)判示事実全部について
  1 被告人の公判供述、検察官調書(乙12)、警察官調書(乙7、8)
  2 ●●●の検察官調書(甲3)、警察官調書(甲1、2、9)
  3 警察官作成の実況見分調書(甲10)、捜査報告書(甲11、12、18)
 判示第1の事実について
  1 被告人の検察官調書(乙6、11)、警察官調書(乙5、9、10)
  2 ●●●の警察官調書(甲13)
  3 警察官作成の捜査報告書(甲5、6、8)、実況見分調書(甲7、14)、電話聴取書(甲15)
判示第2の事実について
  1 警察官作成の実況見分調書(甲19)、捜査報告書(甲20、16)
(法令の適用)
  (1) 罰条
  (ア) 第1の行為 包括して、児童福祉法60条1項、34条1項6号
  (イ) 第2の行為 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項(2条3項1号、3号)、2項
  (2) 刑種の選択 いずれも懲役刑を選択
  (3) 併合罪加重 刑法45条前段、47条本文、ただし書、10条(重い判示第1の罪の刑に加重)
 本件は、高校の教諭であった被告人が、顧問として指導していた部活動の部員で、当時17歳の被害者に対し、〈1〉自己を相手方として3回にわたり性交させて淫行した児童福祉法違反1件と、〈2〉その性行為等の場面を動画撮影して児童ポルノを作成した児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反1件の事案である。
 被告人は、悩みを抱えていた被害者をドライブに連れ出した際、被害者から「好きです。」などと告白され、被害者との交際を断れば、被害者の精神状態が悪化するなどと考え、交際を続け、本件各犯行に及んだというのであるが、仮にそのような事情があったとしても、妻子がいて被害者の好意に応じ難い立場である上、教諭として、また、部活動の顧問として、未成年者の健全な成長を促すべき立場にあるにもかかわらず本件犯行に及んだものであるから、本件は、被害児童を保護すべき立場の者が、逆に、被害児童の思慮分別の未熟さに付け込んだ身勝手で卑劣な犯行というべきであって、強い非難に値する。しかも、被告人が、判示のとおり児童ポルノの撮影に及んだほか、●●●あるいは、妻に被害者との関係が発覚した後もひそかに関係を続けるなどしていたことも考慮すると、被告人は、もっぱら自らの性欲を満たすため、被害者をもてあそんでいたといわざるを得ず、被害者の今後の成長に与える影響も憂慮される。被害者の家族が被告人の厳重処罰を求めるのも無理からぬものがある。
 そうすると、本件は、被害者を保護すべき立場の被告人が、被害者の情操を甚だしく害したという悪質な犯行というべきであって、以下のような被告人のために酌むべき事情を考慮しても、その刑の執行を猶予するのが相当であるとはいえない。
 すなわち、被告人が事実を認めて反省の態度を示していること、被害者の宥恕は得られなかったものの、賠償金として200万円を支払って示談したこと、当然のこととはいえ、●●●妻が情状証人として出廷し、被告人の更生を支援する旨証言していること、フォークリフトの免許を取るなど社会復帰を目指した取り組みを始めたことなど、被告人のために酌むべき事情も認められ、これらの事情を考慮すると、前記のとおり刑の執行を猶予するのは相当ではないものの、被告人を主文の刑に処するのが相当である。
(求刑-懲役3年6月)
刑事第1部
 (裁判官 伊東顕)

1998年東京都において「風俗店が未成年を使っていたんです。僕はそこに行った。サービスを受けました。もちろん未成年とは知りません。パンフレットには21歳と書いてあった」場合の刑事責任

 今なら児童買春罪(h11.5.26/法律第52号 施行平11.11.1)の年齢不知ということで、罪にならない。児童買春行為に青少年条例は適用されない。
 1998年(h10)だと児童買春罪施行前なので、各地の青少年条例違反が検討されるが、東京都は、当時こういう条文になってて、性交類似行為に至らないわいせつ行為や、青少年と知らない場合は罪にならないとされていた。
 仮に、青少年条例違反につき過失処罰する他府県でやれば処罰される危険があった。

東京都青少年健全育成関連条例の解説h10
東京都青少年の健全な育成に関する条例
改正平成9年10月16日条例第75号
(青少年に対する賀春等の禁止)
第18条の2
1 何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行つてはならない。
2 何人も、性交又は性交類似行為を行うことの周旋を受けて、青少年と性交文は性交類似行為を行つてはならない
(罰則)
第24条の3
第18条例第1項又は第2項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円円以下の罰金に処する
附則(平成9年10月16日条例第75号)
この条例は、公布の日から起算して2月を経過した日から施行する。

東国原 21年前の淫行疑惑「犯罪等ではない」 事あるごとに唾棄される
 元衆院議員でタレントの東国原英夫が3日、ツイッターで1998年の自身の淫行疑惑について「犯罪等では無い」と投稿した。
 この日は、テレビ東京の冤罪特集番組の収録に臨むとし「1998年10月の自身の風俗事件。未だに、事あるごとに、ネット上で『淫行』と唾棄される」と提起した。
 「恐らく、真実を知らない、知ろうともしない どちらかと言うと若年層による無思考な批判であろう」と指摘。「あの件は、抑、犯罪等では無いので、当然、冤罪では無いのだが、冤罪を被った方々のお気持ちは如何許りか」と記した。
 東国原は2日放送の読売テレビ「八方・陣内・方正の黄金列伝」でも、「淫行疑惑」について説明。「風俗店が未成年を使っていたんです。僕はそこに行った。サービスを受けました。もちろん未成年とは知りません。パンフレットには21歳と書いてあった」と回顧した。
 警察から秘密を守るとの約束で捜査協力を依頼され、これに応じたが、その店が摘発された際に「なお、そこに出入りしていた、お笑いで有名女優を妻に持つT軍団のそのまんまH」と報じられたと説明していた。

wiki
不祥事
1998年10月13日、東京都内のイメージクラブ店が未成年の従業員を使っていたことで、児童福祉法違反並びに東京都の青少年健全育成条例違反の容疑で経営者が逮捕された。その当時16歳であった従業員の少女が、性的なサービスをした客として東国原の名前を供述したことで、東国原も同容疑で警察から任意の事情聴取を1回受けたが、「18歳未満とは知らなかった」と釈明した。当時の妻のかとうもマスコミを通じ、謝罪の文書を発表した。以後芸能活動を5か月間自粛した。東国原自身は法的に問題なかったが、倫理的な性質の問題からマスコミでは「淫行事件」として大々的に報道され、社会の激しい批判を浴びることとなった[5]。その後も一部で「東国原は少女への淫行で逮捕された」と誤解されることがあるが、前述の通り、任意の事情聴取のみであるため逮捕と訴追の事実はなく実際は犯罪歴ではない。

「誘拐して自宅に連れ込んだ後,入浴を促し,入浴のために裸となったAを,そのまま風呂場から連れ出し,鎖付きの首輪を付けて,ガムテープで後ろ手に両手首を縛って,口淫をさせるとともに性交に及び,膣内に射精し,その際の状況を撮影した」などした未成年者誘拐,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,北海道青少年健全育成条例違反,児童福祉法違反被告事件の控訴事件(札幌高裁H30.11.4)

 奥村がブログで紹介した判例を使ったような主張です。
 「その際その姿態を撮影し,動画データを記録させて保存した児童ポルノの製造の行為」というのは、4項製造罪で「姿態をとらせ」記載されてないんじゃないですか。理由不備ですけど。それは主張してないのかなあ。奥村に聞いてくれれば判例提供したのに。

未成年者誘拐,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,北海道青少年健全育成条例違反,児童福祉法違反被告事件
札幌高等裁判所平成30年11月14日
       主   文
 本件控訴を棄却する。
       理   由
 本件控訴の趣意は,弁護人加藤正佳(主任)及び同高嶋智共同作成の控訴趣意書及び「答弁書に対する反論書」に記載のとおりであり,これに対する答弁は,検察官藏重有紀作成の答弁書に記載のとおりである。論旨は,法令適用の誤り,事実誤認,理由齟齬,訴訟手続の法令違反及び量刑不当の主張である。
 第1 法令適用の誤りについて
 論旨は,「児童に淫行をさせる行為」を禁止した児童福祉法34条1項6号は,処罰範囲が広範に過ぎる上,「させる行為」の内容が不明確であるから,憲法31条に違反するのに,原判決は原判示第6の事実について,児童福祉法34条1項6号を適用しているから,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,児童福祉法36条1項6号にいう「淫行」とは,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいい,「させる行為」とは,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいう(最高裁判所昭和40年4月30日第二小法廷決定裁判集刑事155号595頁,同裁判所平成28年6月21日第一小法廷決定刑集70巻5号369頁参照)のであって,同号の処罰範囲が広範に過ぎるとも,構成要件が不明確ともいえない。論旨は理由がない。
 第2 事実誤認及び法令適用の誤りについて
 1 原判決は,罪となるべき事実第6において,以下の事実を認定している。すなわち,被告人はTwitter(以下「ツイッター」という。)上で家出をしたいと書き込んでいた被害者Aに対し,家出をして被告人の下に来るように誘惑し,平成29年11月16日午後7時44分頃,Aと合流して被告人方へ連れ去り,その頃から同月20日までの間,Aを被告人方に寝泊まりさせて自分の支配下に置いていたが,その立場を利用し,Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,①同月16日午後9時過ぎ頃と②同月17日午後5時過ぎ頃に,いずれも,被告人方で,Aに自分を相手に性交及び口淫をさせ,もって児童に淫行をさせる行為をした,というのである。
 これに対し,論旨は,「児童に淫行をさせる行為」をしたというためには,行為者と児童との間に,児童の全人格の形成に関わる一定の依存関係がなければならないと解されるが,原判決は被告人とAとの間にこのような依存関係がないのに,「淫行をさせる行為」をしたと認定して児童福祉法34条1項6号を適用しているから,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認及び法令適用の誤りがある,というのである。
 2 しかしながら,「児童に淫行をさせる行為」とは,前記のとおり,淫行(すなわち,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為)を児童がなすことを,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして助長し促進する行為をいうのであって,児童の心身の健全育成という児童福祉法の趣旨に照らせば,所論が主張するような依存関係がなければ「児童に淫行をさせる行為」をしたとはいえないと限定して解釈するのは相当ではない。所論は独自の見解を主張したものといわざるを得ず,採用できない。
 そして,「児童に淫行をさせる行為」に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である(最高裁判所平成28年6月21日第一小法廷決定刑集70巻5号369頁参照)。これを前提に,本件について検討すると,以下のとおりである。
 (1) 関係証拠によれば,以下の事実が認められる。すなわち,
 ア 当時34歳の被告人は。好みに合った女子児童を自宅に監禁して,ペットのように飼育,調教し,思うがまま性交等をして,奴隷のように支配したいとの願望を有していた。そこで,家出や自殺願望のある児童であれば簡単に自宅に連れ込めると考えて,ソーシャルネットワーキングサービスのツイッター上でそのような投稿をしているAを見付け,Aとの間でツイッター上でのやり取りを始めた。そして,女子児童を入れるための犬用のケージと拘束具をあらかじめ購入し,飼育成長を記録するためとして,室内にビデオカメラを設置するなどの準備を行った。
 イ Aは,当時13歳の中学生であったが,保護者との折り合いが悪いため,強い家出願望を有していた。しかし,所持金が3万円ほどしかなく,家出して被告人と合流した後は,被告人方に寝泊まりして生活を被告人に頼らざるを得ない状況にあった。Aは,性交の経験がなく,被告人と性交しなければならなくなるのが嫌であり被告人に犯されないか心配しているとか,自宅にいるくらいなら毎日口淫させられることも頑張るが,性交することは困るなどと伝えて,被告人の意図を確認しようとした。これに対し,被告人は,自分の意図を隠し,性交渉を持つつもりはない旨返答して,原判示第5の事実のとおり,Aの誘拐に及んだ。
 ウ 被告人は,平成29年11月16日,Aを誘拐して自宅に連れ込んだ後,入浴を促し,入浴のために裸となったAを,そのまま風呂場から連れ出し,鎖付きの首輪を付けて,ガムテープで後ろ手に両手首を縛って,口淫をさせるとともに性交に及び,膣内に射精し,その際の状況を撮影した(原判示第6の1及び第7の1の事実)。
 エ 被告人は,翌17日,Aの陰毛などの体毛を剃った上,やはり鎖付きの首輪を付けたまま,口淫をさせるとともに性交に及び,膣内に射精し,その際の状況を撮影した(原判示第6の2及び第7の2の事実)。被告人は,Aが首輪を外そうとすると,「Aを飼うために買った。」「悪いことをしたらケージに入れるからね。」などと言い,Aを5日間にわたり寝泊まりさせ,その後も複数回性交等に及んだ。
 (2) このように,被告人は,被告人に対して好意を抱いているわけでもなく,被告人との間で性交等をしたくないと考えていたAに対し,自分の倒錯した性的欲望を満たすだけのために性交等に及んでいる。これが,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあるものであることは明らかであり,Aの性交等は,「淫行」に該当するといえる。
 また,13歳という年齢や,強い家出願望を有するなどのAの状況からすれば,Aに自分の性行動に関する適切な判断能力がなかったことは明らかである。そして,被告人のAに対する性的行為は,被告人宅に寝泊まりして生活を被告人に頼らざるを得ないAの状況を利用したものである上,特に,原判示第6の1の事実の性交等については,特異な嗜好に基づく強力かつ直接的な態様のものであって,性交経験を有さず,被告人との性交を嫌がっていたAが自律的意思に基づいて応じたとはおよそ考えられないものであった。原判示第6の2の事実の性交等についても,Aが被告人を頼らざるを得ないことなど,その他の状況が変わっていないことや,原判示第6の1の事実の性交等が一旦行われた後のものであることや,それ自体陰毛を剃るなどの特異な嗜好に基づく行為がされていることなどからすれば,Aが自律的意思に基づいて応じたとはおよそ考えられない。以上によれば,本件は,判断能力に乏しい児童を狙って,これを自己の影響下に置き,その影響力を行使して,自己の倒錯した性的欲求を満足させようと計画した被告人が,実際に,その計画に従って,性交等を望んでいなかった児童を自分の影響下に置き,強い影響力を及ぼして,淫行を助長,促進した事案と評価できるのであって,被告人が,Aに「淫行をさせる行為をした」といえることは明らかである。
 したがって,被告人が「児童に淫行をさせる行為」をしたと認定した原判決は相当である。
 (3)ア これに対し,所論は,Aが被告人とのツイッター上のやり取りの中で,家出先で口淫することについては容認していたことや,小学6年生時に自分の裸の画像を見知らぬ者に送信したことがあるなど,不健全な性行動に親和的な生活を送っていたといえるから,被告人の行為が,Aに事実上の影響力を及ぼしてAが淫行をなすことを助長し促進する行為に当たるとはいえない旨主張する。
 しかし,13歳というAの年齢や心身の状態等に照らせば,Aが自分の性行動に関する十分な判断力を有していたとは認められない。前記の淫行に至る動機・経緯や当時のAの状況,被告人とAの関係,淫行に向けて及ぼした影響力の程度や態様等によれば,被告人がAに事実上の影響力を及ぼしてAが淫行をなすことを助長し促進させる行為を行っていたことは明らかである。
 イ 所論は,原判決が認定した最初の淫行は,被告人がAと合流してわずか1時間17分後にされたものであるから,Aが被告人に依存するといった関係性が生じていたとはいえないと主張する。
 しかし,上記のとおり,Aは13歳で,十分な判断力を備えておらず,強い家出願望を有していた。被告人は,このようなAを,安心させて家出をさせ,自宅に連れ込み,Aを被告人に頼らざるを得ない状況の下に置いた上で,前記のとおり;淫行に向けて直接的かつ強力な態様で影響力を及ぼしているのであるから,最初の淫行の時点でも,既にAに事実上の影響力を及ぼして,Aが淫行をなすことを助長し促進させる行為を行っていたといえる。
 (4) 所論の指摘するその他の点を検討しても,原判決に所論のような事実の誤認又は法令適用の誤りはない。論旨は理由がない。
 第3 理由齟齬について
 論旨は,原判決は「罪数に対する判断」の「3 未成年者誘拐罪,児童ポルノ製造罪及び児童福祉法違反の罪の関係について」の項で,「未成年者誘拐罪は,わいせつ目的がないことを前提とする」としながら,「量刑の理由」の項で,「性交等の相手にしようなどと考えて各犯行に及んだ」などとして,わいせつ目的があったことを前提に量刑判断をしており,理由に食い違いがある,というのである。
 しかし,原判決の「罪数に対する判断」の項の上記説示が未成年者誘拐罪の構成要件を説明したにすぎないものであるのに対し,「量刑の理由」の項の上記説示は,被告人が未成年者誘拐に及んだ動機を説明したものであって,両者は趣旨を異にしているから,理由に食い違いはない。論旨は理由がない。
 第4 訴訟手続の法令違反及び法令適用の誤りについて
 論旨は,Aに対する未成年者誘拐の事実(原判示第5の事実),児童に淫行をさせる行為をした事実(同第6の事実)及び児童ポルノを製造した事実(同第7の事実)については,検察官に釈明をするか,訴因変更を促すなどして,未成年者誘拐の事実をわいせつ目的誘拐と認定した上で,かすがい理論により,上記三つの罪を科刑上一罪として処理すべきであったのに,原判決はそのような釈明等をせずに,未成年者誘拐と認定して,いずれも併合罪の関係にあるとしているから,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反及び法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,検察官が未成年者誘拐として起訴したのに対し,原裁判所が,より法定刑の重いわいせつ目的誘拐に訴因変更するよう促さなかったからといって,これが訴訟手続の法令違反になるとは,およそ考えられない。未成年者誘拐罪の事実を認定した原判決の判断に誤りがあるとはいえない(なお,仮に,論旨が主張するように,誘拐の事実と児童に淫行をさせる行為をした事実と児童ポルノを製造した事実とが科刑上一罪になるという見解に立つとしても,処断刑の下限が重くなり,被告人に不利になるだけで,考慮すべき量刑事情に違いがあるわけではないから,明らかに判決に影響を及ぼすとはいえない。)。論旨は理由がない。
 第5 法令適用の誤りについて
 論旨は,当時18歳に満たない被害者Bや被害者Cに対し,それぞれ,性交又は性交類似行為をして淫行した北海道青少年健全育成条例違反の行為(原判示第1及び第3の事実)と,その際その姿態を撮影し,動画データを記録させて保存した児童ポルノの製造の行為(原判示第2及び第4の事実)は,被告人の1個の行為が2個の罪名に触れる観念的競合として1罪となるのに,原判決は併合罪の関係にあるとしており,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,被害児童と性交又は性交類似行為をして撮影し,これをもって児童ポルノを製造した場合,被告人の上記条例に触れる行為と児童ポルノ法7条4項に触れる行為とは,一部重なる点はあるものの,両行為が通常伴う関係にあるとはいえない。また,両行為の性質等に鑑みると,それぞれにおける行為者の動態は社会的見解上別個のものといえるから,両罪は,刑法54条1項前段の観念的競合の関係にはなく,同法45条前段の併合罪の関係にあるというべきである(児童福祉法の児童に淫行をさせる罪と児童ポルノ製造罪との罪数に係る最高裁判所平成21年10月21日第一小法廷決定刑集63巻8号1070頁を参照。なお,仮に,条例違反の行為と児童ポルノ製造の行為とが観念的競合の関係にあり,これを併合罪の関係にあると解することが誤りであるとの立場に立ったとしても,処断刑の範囲や考慮すべき量刑事情に差異を生じさせるものではないから,明らかに判決に影響を及ぼすとはいえない。)。論旨は理由がない。
 第6 量刑不当について
 論旨は,被告人を懲役4年に処した原判決の量刑が重過ぎて不当である,というのである。
 そこで検討すると,本件は,被告人が①(ア)当時15歳の児童であるBと3回にわたり性交して淫行をし(条例違反。原判示第1の事実),(イ)その際,Bの姿態を撮影して児童ポルノを製造し(同第2の事実),②(ア)当時16歳(3回目の行為時は17歳)の児童であるCと3回にわたり性交又は性交類似行為をして淫行をし(条例違反。同第3の事実),(イ)その際,Cの姿態を撮影して児童ポルノを製造し(同第4の事実),③(ア)当時13歳のAを誘拐した(未成年者誘拐。同第5の事実)上,(イ)Aに2回にわたり被告人を相手に性交及び口淫をさせて児童に淫行をさせる行為をし(児童福祉法違反。同第6の事実),(ウ)その際,Aの姿態を撮影して児童ポルノを製造した(同第7の事実)という事案である。原判決は,以下の諸事情を考慮して,量刑を行っている。すなわち,被告人は,家出願望のあったAを誘拐し,5日間にわたり被告人方に寝泊まりさせて,複数回性交等に及び,その姿態を撮影した。この一連の犯行は,保護すべき児童を性的に弄んだ卑劣かつ悪質な犯行であり,Aに与えた悪影響は大きい。B及びCに対する各犯行も,出会い系サイトで知り合った後,複数回性交等をし,その姿態を撮影して児童ポルノを製造したものであって,児童らに与えた悪影響は大きい。被告人には厳しい非難が向けられるべきである。他方で,Aに対し100万円とその遅延損害金を供託し,Aとその母に謝罪したことや,反省の態度を示し,性嗜好障害を治療する意向を有していること,親族が監督をする意向を表したこと,同種の前科がないことなどの被告人に有利な事情も認められるので,これらの事情も考慮し,懲役4年に処するのが相当である,というのである。この量刑判断は相当であり,是認できる。
 これに対し,所論は,以下のとおり主張する。すなわち,①Aが被告人方に寝泊まりをしていたのは5日間にすぎないこと,被告人方は,Aが独力で帰宅できる範囲内にあったこと,本件で問題とされたAに対する性交等は2回にすぎないこと,被告人は,100万円及びその遅延損害金をAに対する関係で供託しているとと,同種前科がないこと,反省し,性嗜好障害の治療を受け,再犯をしない旨誓っていることなどの事情からすると,原判決の量刑は,同種の事案と比較して,重きに失する。②原判決後,被告人が,A及びその親族との間で和解を成立させ,これに基づき上記供託金のほか200万円を支払ったこと,B及びCに対するしょく罪の趣旨で,合計40万円を法律援護基金に寄附したこと,性嗜好障害の通院治療を継続する必要性が認められること,反省を深めたことを考慮すべきである,というのである。
 しかし,①については,原判決も所論指摘の事情を考慮して量刑判断を行っている。被告人がB及びCに対する条例違反及び児童ポルノ製造にも及んでおり,複数の児童に対して同種の行為を常習的に繰り返した点をも踏まえると,原判決の量刑判断が,同種事案と比較して,重過ぎて不当とはいえない。②については,確かに,当審における事実取調べの結果,Aは親権者である母らと共に,刑事損害賠償命令を申し立てて,被告人に対して損害賠償の請求をしていたところ(その請求額は,証拠上明らかではない。この刑事損害賠償命令申立事件は,原裁判官が担当している。),原判決後の審尋期日において,被告人がAらに対し供託金101万8493円に加えて200万円を支払う旨の和解が成立し,被告人はこれを履行した事実が認められる。また,被告人がB及びCに対するしょく罪の趣旨で,原判決後に合計40万円寄附した事実も認められる。しかし,Aは被告人に対して刑事損害賠償命令を申し立てていたのであるから,原審の段階で,原判決後に,適当な賠償額で,被告人のAに対する賠償命令が出されるか,あるいは,和解が成立するかが,見込まれていたといえる。また,被告人の伯母であるDの原審証言や被告人の公判供述によれば,被告人がB及びCに対する賠償の趣旨でしょく罪金を支払うことを検討していたことや,被告人には賠償金を支払う資力はないが,伯母や両親の助力で賠償金を用意したことが認められる。そうすると,被告人にとって,Aに対する適当な賠償額で賠償金を支払うことや,B及びCに対するしょく罪の趣旨で寄附をすることは,原審の段階で実現可能であったといえるし,原判決も,原判決後にこれらのことが実現され得る可能性も一定程度踏まえて量刑判断をしたものと思料される。さらに,本件各犯行は児童らの心身の健全な成長や発達を害した犯行であり,各児童,特にAの心身に与えた影響の大きさ等の本件の犯情や各罪の保護法益を考慮すると,原判決後に金銭賠償された事実を量刑上大きく評価することはできない。以上によれば,所論指摘の各事情が認められるとしても,原判決を破棄しなければ明らかに正義に反するとまでは認められない。所論はいずれも採用できず,論旨は理由がない。
 第7 よって,刑事訴訟法396条により,主文のとおり判決する。
  平成30年10月29日
    札幌高等裁判所刑事部
        裁判長裁判官  登石郁朗
           裁判官  瀧岡俊文
           裁判官  深野英一

PCSC協定の実施に関する法律で情報提供される対象について、国内法における罪名は決まってない

 「重大な犯罪を防止し,及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定」「重大な犯罪を防止し,及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律」についての相談があったので、調べてみました。
 警察庁にも問い合わせたんですが、日本法の罪名は決まってないようです。
 強制性交・強制わいせつ罪。児童ポルノ・児童買春は入るんでしょうが。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2014pdf/20140501035.pdf
具体的には、1)テロリズム又はテロリズムに関連する犯罪、2)拷問、3)殺人、傷害致死又は重過失致死、4)重大な傷害を加える意図をもって行う暴行又はそのような傷害をもたらす暴行、5)恐喝、6)贈収賄又は腐敗行為、7)横領、8)重罪に当たる盗取、9)住居侵入、10)偽証又は偽証教唆、11)人の取引又は密入国、12)児童の性的搾取又は児童ポルノに関連する犯罪、13)麻薬、マリファナその他の規制物質の不正な取引、頒布又は頒布を意図した所持、14)火器、弾薬、爆発物その他の武器の不正な取引又は火器に関連する犯罪、15)詐欺又は欺もう的行為を行う犯罪、16)税に関連する犯罪、17)犯罪収益の洗浄、18)通貨の偽造、19)コンピュータ犯罪、20)知的財産に係る犯罪又は製品の偽造若しくは違法な複製、21)身元関係事項の盗取又は情報のプライバシーの侵害、22)環境に係る犯罪、23)外国人の許可されていない入国・居住又は不適正な入国の助長、24)人の器官又は組織の不正な取引、25略取、誘拐、不法な拘束又は人質をとる行為、26)強盗、27)文化的な物品の不正な取引、28)偽造(行政官庁の文書(例えば、旅券及び旅行証明書)又は支払い手段の偽造を含む)、29)生物学的物質、科学的物質、核物質、放射性物質の不正な取引・使用又はこれらの不法な所持、30)盗取・偽造された物品又は盗取された若しくは不正な文書・支払手段の取引、31)強姦その他の重大な性的暴行、32)放火、33)航空機・船舶の不法な奪取又は公海における海賊行為、34)妨害行為、という犯罪等の 34 類型が附属書Ⅰにおいて規定されている。

[155/159] 186 - 参 - 内閣委員会 - 17号 平成26年05月27日
山本太郎君 新党と名のりながら独りぼっちの山本太郎です。新党ひとりひとり、山本太郎です。よろしくお願いします。
 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う、コンバットする上での協力の強化に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定と、PCSC協定の実施に関する法律案について御質問いたします。
 私は、このPCSC協定、日米指紋照合、情報提供システム協定は、何かこれ、同じ臭いがするものがあったなと思うんですよね。それ思い出したんですけれども、去年大変な問題となりました、多くの国民の反対の意思を押し切って成立してしまった、現在も多くの議論がある、そして私自身これは廃止するべきだと思っております特定秘密保護法と何か似ているところがあるんじゃないかなと思いました。行政機関が市民、国民のコントロールの利かないところで、市民、国民の自由と人権を侵害する協定、法律になるんじゃないかなと心配しております。
 日本弁護士連合会、日弁連ですね、この協定と法案の問題点を大きく分けて六つ挙げられておられます。第一に、日米捜査共助条約の運用状況から見て制度新設の必要性に疑問があること、第二に、自動照会システムであるため自動照会の要件を確認する仕組みとなっておらず、照会の濫用をチェックすることができないこと、第三に、対象犯罪が広範に過ぎると考えられること、第四に、対象となる指紋情報等の範囲が広過ぎること、第五に、提供された指紋情報等が本来の利用目的以外の目的で利用される可能性があること、第六に、提供される情報が将来拡大されるおそれがあること、以上の問題点が克服、解決されない限り本協定の締結は承認されるべきではないと、本実施法案は成立させるべきではないと日本弁護士連合会の意見書には書いてあります。僕もこれを読んだときに、ああ、同じ意見だなと思いました。
 そこで、まず外務省に質問したいと思います。
 この協定、法案は、重大な犯罪(特にテロリズム)を防止し、及びこれと戦うためのものということなんですけれども、この重大な犯罪(特にテロリズム)の中に特定秘密保護法違反、含まれていますか

○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定におきまして重大な犯罪というのを定義付けておるわけでございますけれども、それは二つのカテゴリーございますが、一つには、死刑、無期又は長期三年以上の拘禁刑に当たる犯罪、それと、もう一つのカテゴリーが長期三年未満一年超の拘禁刑に当たる犯罪であって附属書Ⅰに掲げる犯罪の類型に該当するものと、こういうふうに書いてあります。
 特定秘密保護法におきましては、特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処するなど、それ以外にも罰則規定はございますけれども、そういった罰則規定を置いておるものというふうに承知しております。
 このように、協定に定めます重大な犯罪の定義、長期三年以上の拘禁刑に当たる違反行為につきましては、この協定におきまして重大な犯罪に該当することになります。
 いずれにしましても、具体的な事案によりまして特定秘密保護法の違反に当たるのかどうか、またいかなる罰則が適用されることになるのかというのは、個別の事案に応じてしかるべく判断されていくことになるというふうに考えております。

山本太郎君 協定第一条、定義では、重大な犯罪とは、死刑又は無期若しくは長期一年を超える拘禁刑に処することとされている犯罪を構成する行為であってこの協定の不可分の一部を成す附属書Ⅰに規定されるもの、この附属書Ⅰには、犯罪又はこれらの犯罪の未遂、共謀、幇助、教唆若しくは予備と書いてあり、さらに、及び死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に処することとされている犯罪を構成するその他の行為と書いてあります。随分幅が広いなあって感じてしまうのは、これ、僕だけなんですかね。
 現在の日本の法律でこれらに該当する犯罪、幾つあるんでしょうか。法律の条文の数で答えていただけますか。

○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定に規定します重大な犯罪というのは、今委員から御指摘ありました長期三年以上というのと、それから長期一年から三年ということに分かれておりますけれども、附属書Ⅰにおきまして、その長期一年から三年につきましては三十四の類型というものを掲げてございます。
 この三十四の類型という書き方になっておりますのは、それはアメリカにおける規定の仕方と日本における規定の仕方、法律の規定の仕方というのが必ずしも一致していないことから、あるいはアメリカにおきましては州と連邦においても違うと。そのような事情もあって逐一、一対一でその法律と対応させるということは極めて煩雑といいますか、非常に膨大な作業になるということもありまして、この犯罪の類型という格好で掲げたものでございます。
 この三十四の犯罪類型というのは我が国の法令における罪名と一対一に対応しているものではございません。この犯罪類型に該当する具体的な事案というのが我が国の法令においていかなる罪名に該当することになるのかというのは、それぞれの個々別々の具体的な事実関係を踏まえて個々の事案ごとに判断されることになるということになります。
 具体的な事案を離れまして、一般論として附属書Ⅰの犯罪類型が我が国においてどのような犯罪に該当するのかとか、あるいは該当する犯罪の数について包括的にお答えをすることは、申し訳ございませんが、困難でございます。

山本太郎君 条文の数は答えられないという一言で終わるような話だったと思うんですけれども、随分と丁寧に御説明ありがとうございました。
 とにかく、一年以上、三十四の犯罪の類型。一年以上というところ、三十四の類型と、そしてそれ以外にも三年以上という部分をくくりにしてざっくり切っているだけだと、その一つ一つの犯罪、どういうものに当たるのかということはまだ一度も数えたことがないんだという話ですよね。
 それでは、条文の数とその法律の条文の一覧表というのを資料請求したいんですけれども、提出していただけますか。

○委員長(水岡俊一君) 河野参事官、質問に答えてください。


○政府参考人(河野章君) 申し訳ございません。
 ただいま申し上げましたとおり、この類型として書いております犯罪につきまして、逐一該当する国内の犯罪というのは何であるかという条文を特定するというのはちょっと困難でございますので、今御指摘いただきましたその一覧表というものを作ることはちょっと困難かと思います。

山本太郎君 まあ面倒くさいということだけなんだと思うんですけれども、そうですか、残念ですね、本当にね。
 協定の附属書なんですけれども、Ⅰには三十四の犯罪類型、先ほどから言っております、というのが示されているんですけれども、日本の法律でどういう犯罪になるのかというのがよく分からないものありますよね。例えば、二番目にある拷問であったり、十九番にあるコンピューター犯罪であったり、三十四番目にある妨害行為、サボタージュ、これ日本ではそれぞれどんな犯罪に当たるのかという部分を説明していただきたいんです。手短にお願いします。

○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 全般的な前提は先ほど申し上げておりますので繰り返しませんけれども、今御指摘ありました拷問ということにつきましては、あえて一般論として申し上げれば、傷害罪、刑法で申し上げれば第二百四条、あるいは暴行罪、刑法第二百八条などが該当するのではないかというふうに思われます。それから、コンピューター犯罪につきましては、不正指令電磁的記録作成罪、これは刑法第百六十八条の二でございます。あるいは、不正指令電磁的記録取得罪、刑法第百六十八条の三などがこれに該当し得るだろうというふうに考えております。それから、妨害行為、サボタージュでございますが、これにつきましては建造物損壊罪、刑法第二百六十条、あるいは器物損壊罪、刑法第二百六十一条等に該当する可能性があるというふうに考えております。
 ただ、いずれにしましても、個別具体的な事実関係を踏まえて、個々の事案ごとに該当、何であるかというのを判断することになると考えております。

女性を加害者,男性を被害者とする性器結合の事例

 量刑が知りたいなあ

 法制審議会
刑事法(性犯罪関係)部会
第1回会議 議事録
第1 日 時 平成27年11月2日(月) 自 午前 9時15分
至 午前11時41分
第2 場 所 法務省第一会議室

資料番号15は女性が加害者,男性が被害者となった性交の事例に関する資料であります。事務当局において把握できた範囲ですが,平成26年1月から12月までの1年間に公判請求された事案で,女性を加害者,男性を被害者とする性交の事例について把握できたものが2件ございました。

議 事
○東山参事官 皆様おそろいのようでございますので,性犯罪の罰則に関する検討会の第8回会合を開会させていただきます。
・・・
資料44は,加害者を女性,被害者を男性とする,いわゆる性器結合の事例に関する資料でございます。事務当局において把握できた範囲で,女性を加害者,男性を被害者とする性器結合の事例は2件ございました。いずれも,実母が実の息子に対して性交をさせた事案でありますが,番号1は,被害者が7歳及び8歳のときの犯行であり,強制わいせつ罪で処罰されております。番号2は,参考事項欄に記載しておりますとおり,被害者が10歳の頃から継続的に繰り返されていた事案ですが,公訴事実の犯行時は被害者が17歳であり,児童福祉法違反で処罰されているものでございます。
http://www.moj.go.jp/content/001143833.pdf

神元隆賢〈刑事判例研究〉16歳の被害者に対し、事実上の養父が自己の立場を利用して性交した事案につ監護者性交等罪に児童福祉法違反が吸収され法条競合となるとした事例札幌地裁小樽支部平成29年12月13日判決(事件番号不明・監護者性交等、児童福祉法違反被告事件) (判例集未登載)+堀田さつき検事「監護者性交等罪と,児童福祉法における自己を相手方として淫行をさせる行為とが,法条競合の関係にあり,監護者性交等罪のみが成立するとされた事案(平成29年12月13日札幌地裁小樽支部判決(確定))」研修843号

神元隆賢〈刑事判例研究〉16歳の被害者に対し、事実上の養父が自己の立場を利用して性交した事案につ監護者性交等罪に児童福祉法違反が吸収され法条競合となるとした事例札幌地裁小樽支部平成29年12月13日判決(事件番号不明・監護者性交等、児童福祉法違反被告事件) (判例集未登載)

堀田さつき検事「監護者性交等罪と,児童福祉法における自己を相手方として淫行をさせる行為とが,法条競合の関係にあり,監護者性交等罪のみが成立するとされた事案(平成29年12月13日札幌地裁小樽支部判決(確定))」研修843号

 両方併せると判決が再現できます。

 検察官は、監護者性交罪と児童淫行罪の観念的競合として、控訴事実第1と第2を起訴して、児童淫行罪は包括一罪になるけど、監護者性交が伴う場合には、かすがい現象は生じず、併合罪になると主張しています。ややこしいこと言わずに、児童淫行罪起訴しなきゃいいじゃん。
 法条競合もおかしいなあ。児童淫行罪の保護法益と監護者性交罪の保護法益は違うから、重い監護者性交罪で評価され尽くしてない。全く同じ罪であれば、監護者性交罪の立法事実はなかったことになる。児童淫行罪の法定刑を引き上げれば済んだ。


>>
【事実の概要】
被告人は、平成21年頃から、内縁の妻(以下「被害者の母親」)及びその娘(当時小学二年生、以下「被害者」)らの居宅に同居し、被害者らの生活費を相当程度負担し、被害者の身の回りの世話をし、被害者の母親に代わって被害者の話を聞くなどして被害者を精神的に支え、時には被害者に対して生活上の指導をするなどして、事実上の養父として被害者を現に監護していたところ、平成26年頃から被害者に対し性的虐待を繰り返した末、平成29年7月17日午後九時頃、上記居宅において、被害者(当時一六歳)を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて被害者と性交等をし(以下「第一行為」)、
同月20日午前五時頃にも同様に性交等をした(以下「第二行為」)
・・・・・・・・
2 罪数について
(1)検察官の主張
ア 監護者性交罪と児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)の構成要件及び保護法益は異なるから ある行為が監護者性交罪と児童淫行罪のそれぞれの構成要件を充足する場合には両罪が成立し観念的競合となる
 本件では第1行為及び第2行為のいずれについてもそれぞれ監護者性交と児童淫行罪が成立して両者は観念的競合となる
イ 第1項の監護者性交と第2行為の監護者性交との罪数を検討すると、監護者性交の保護法益である個別の性交等についての性的自由ないし性的自己決定権は、性交等の都度侵害される性質者であること、本件では両行為の間に2日間もの間隔があり、その間被告人及びひがいしゃは勤務先や学校に出かけるなどしていたことなどに照らせば、第2行為の監護者性交罪は、第1行為の監護者性交罪とは別個の犯意に基づく別個の法益侵害であるから、両者は二個の行為であり両者は併合罪となる
ウ 第1行為にかかる児童淫行罪と第2行為に掛かる児童淫行罪は、同一の児童に対し, 同一の支配関係を利用して, 同一の意思の下に行ったものであるから,包括一罪となる
ところで、監護者性交等罪及び児童福祉法違反は観念的競合の関係なるが(上記ア)、次の通り、児童福祉法違反を「かすがい」として第1,第2行為全体が科刑上一罪となることはない。
すなわち、
そもそも「かすがい理論」には,新たな犯罪が加わるのに処断刑が下がるという逆転現象が生じ,一事不再理効の範囲が不当に拡張されるという不合理があり、この不合理は,格段に重い罪数罪(監護者性交等罪)が比較的軽い罪(児童福祉法違反)をかすがいとして科刑上一罪とされることにより,その不合理が極めて顕著なものとなるところ、本来併合罪である二件の監護者性交を法定刑の格段に低い児童福祉法違反をかすがいとして科刑上一罪とすればまさに上記不合理をもたらすことになる。よって本件では第1行為全体と第2行為全体はかすがい理論により科刑上一罪となることはなく併合罪になるというべきである

警察官による児童淫行罪で実刑(長野地裁h31.1.30)

 児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)の「淫行させる」については、最決が基準を示したんですが、支配とかではなく「影響関係」というようにかなり弱い関係でも成立します。法定刑も罰金1万円から懲役10年と幅広くなっています。
 大雑把に言うと、親族とか師弟とか補導とかの上下関係がベースにあると、「させる」と評価されます。
 否認すると「被告人には自己の行為の意味や被害児童に与える深刻な影響等について深く考え、自己の行為を真摯に顧みようとする姿勢は見られない。」と評価されることもあるので、弁護人が見極める必要があります。


児童福祉法
第三四条[禁止行為]
 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫いん行をさせる行為
第六十条 
1第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

■28270606
長野地方裁判所
平成31年01月30日
上記の者に対する児童福祉法違反被告事件について、当裁判所は、検察官髙橋俊介及び同笹村美智子並びに私選弁護人青木寛文(主任)、同愛川直秀及び同唐木沢正晃各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役3年6月に処する。
未決勾留日数中120日をその刑に算入する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、平成26年3月20日から平成29年3月16日までは、長野県H警察署生活安全課生活安全係主任として、同月17日以降は、同県L警察署生活安全第一課生活安全少年係主任として勤務し、長野県警察少年警察活動に関する訓令に基づき、前記H警察署長が継続補導対象者に選定したA(当時●●●歳。以下「被害児童」という。)に対する補導等の職務に従事していた者であるが、被害児童が18歳に満たない児童であることを知りながら、補導等の職務に従事する警察官としての立場を利用し、別表記載のとおり、平成28年11月22日から平成29年3月17日までの間に、4回にわたり、Eほか3か所において、被害児童に被告人を相手に性交させ、もって児童に淫行をさせる行為をしたものである。
(証拠の標目)

(争点に対する判断)
1 争点
  被告人が、判示の日時・場所において、被害児童と4回にわたり性交した事実に争いはない。本件の争点は、(1)児童福祉法34条1項6号が憲法31条に違反するか、また、本件に児童福祉法34条1項6号を適用することが憲法31条に違反するか、(2)判示の各性交(以下「本件各性交」という。)が、児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」及び「させる行為」に該当するか、また、被告人にその故意が認められるかである。
2 争点(1)(憲法違反の主張)について
 (1) 弁護人は、児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」及び「させる行為」が憲法31条の要請する明確性を欠いており違憲無効であると主張するが、児童福祉法1条の基本理念に照らせば、同法34条1項6号は、淫行をさせる行為が児童の徳性や情操を傷つけ、その健全な育成を阻害する程度が著しく高いのでこれを規制する趣旨であると解され、そうすると、同号にいう「淫行」及び「させる行為」とは、それぞれ、「児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為」及び「直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」をいうと解するのが相当である(最高裁判所平成28年6月21日第一小法廷決定参照)。そして、同法の前記基本理念及び趣旨等に鑑みれば、このような解釈は、一般人において理解可能で、かつ対象となる行為が犯罪行為に当たるか否かも区別が可能といえる。よって、同法34条1項6号にいう「淫行」及び「させる行為」が憲法31条の要請する明確性を欠くとはいえない。したがって、弁護人の主張は採用できない。
 (2) また、弁護人は、被告人自らが淫行の直接の相手方になった場合である本件に児童福祉法34条1項6号を適用することが、法文の明確性を失わせるとして憲法31条に違反する旨主張する。しかし、同号の文言が淫行の相手方を限定しておらず、その淫行の相手方に行為者自身がなるか第三者がなるかによって、児童の心身に与える有害性の点で本質的な差異はないことは明らかであるから、「淫行をさせる行為」とは、行為者が児童をして行為者自身と淫行をさせる場合を含むと解したとしても、法文の明確性を失わせるものとはいえない。よって、弁護人の主張は採用できない。
  また、弁護人は、同号が、淫行条例(「長野県子どもを性被害から守るための条例」)違反等より重い刑罰を定めていること等から、同号の「させる行為」については、淫行条例に定められた威迫等を超えた、継続的な支配的依存的関係性に基づく影響下での淫行がある場合に限って該当すると解すべきところ、威迫等すらない本件に同号を適用することは憲法31条に違反する旨主張する。しかし、同号の前記趣旨や法文等に照らせば、上記の場合だけに限定しなければならない理由はなく、後記のとおり、被告人に「児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為」が認められる。よって、この点に関する弁護人の主張も採用できない。
3 争点(2)(本件各性交が児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」及び「させる行為」に該当するか、また、被告人にその故意が認められるか)について
 (1) この点、弁護人は、〈1〉被告人が被害児童に対する補導ないし立ち直り支援活動に従事していたことを争うとともに、〈2〉本件各性交は、被告人と被害児童が相互に恋い慕う関係に基づいて行われたもので、被害児童の健全な育成を阻害するおそれはないから、「淫行」及び「させる行為」には該当しない旨主張する。
 (2) 〈1〉(被告人が被害児童に対する補導ないし立ち直り支援活動に従事していたか)について
  ア 関係証拠によれば、次の事実が認められる。
  (ア) 被告人は、平成26年3月20日から平成29年3月16日までは、長野県H警察署(以下「H警察署」という。)生活安全課生活安全係主任として、同月17日以降は、同県L警察署生活安全第一課生活安全少年係主任として勤務していた。H警察署生活安全課は、同課C課長(以下「C課長」という。)を除き課員6人であり、同課の所掌事務として、犯罪の予防や少年非行の防止等の事務を取り扱い、被告人は、主として許認可事務を担当していたが、同人の扱う事務は、同課の所掌事務全般に及んでいた(なお、被告人の事務が同課の所掌事務の全てに及んでいたこと(したがって被告人の事務が許認可事務に限定されないこと)に関するC課長の供述は、同課の課員が少人数であり、垣根を越えて対応する必要がある場合も考えられること、長野県警察の組織に関する規則(甲2)において、例えば、警察本部には、組織上、生活安全企画課に許可事務担当室が置かれているが、各警察署はそのような組織構成になっていないことなどに照らし納得できるものであり、H警察署生活安全課においては、被告人の不在時に他の課員が被告人の許認可事務の一部を行うこともあったことや、後記のとおり、被告人が当直員として少年である被害児童を指導したこと、同課生活安全係長らが被害児童の立ち直り支援活動に参加していたことなどの事実と整合的であって、信用できる。)。
  (イ) 被害児童は本件各性交当時●●●歳で、たびたび家出や、深夜徘徊をし、多数の男性と不純異性交遊していた。平成28年8月20日頃、同課は、被害児童の親から、被害児童が行方不明となり、連絡がとれない、男性とともに行動している旨の相談を受理し、その日当直勤務をしていた被告人は、来署した被害児童と前記男性から事情聴取し、被害児童に対し、家出や深夜徘徊を慎むように指導するなどした。しかし、その後も、被害児童は家出や深夜徘徊等を繰り返していた。同年9月25日、被害児童は、家出をして強制わいせつ被害に遭ったことで同課で事情聴取を受けた。その際、被告人は、被害児童からFのIDを聞き出し、Fを通じて被害児童とやりとりをするようになった。
  (ウ) 同年10月3日、同課生活安全係であり、少年サポートセンターに配置されていたD巡査(以下「D巡査」という。)の提案を契機に、H警察署長は、被害児童を継続補導対象少年に選定し、D巡査がその実施担当者に指定された。その頃、C課長は、課員に対し、被害児童に対する継続補導活動について、担当者のD巡査だけでなく、課員全員で情報共有し、D巡査に協力して継続補導活動をするように指示した。
  (エ) D巡査は、同年10月25日、被害児童から気分が落ちている旨の連絡を受け、被告人に同行を求めて一緒に被害児童方に被害児童を迎えに行き、話を聞くなどして助言、指導した。
  (オ) D巡査は被害児童に対する継続補導活動の一環として、農業体験やボランティア活動といった立ち直り支援活動を生活安全課の他の課員(生活安全係長ら)や他警察署関係者とともに行ったが、被告人は、D巡査らの立ち直り支援活動が十分でないとして非難することもあった。
  (カ) D巡査は、継続補導活動の内容を立ち直り支援活動簿に月毎に記載して同課内で回覧し、被害児童の精神状態や問題行動等について同課内で情報共有しており、被告人も同活動簿に目を通したこともあった。そして、被告人も、被害児童に精神疾患があることを認識しており、被害児童の精神的安定を図るため、被害児童と会って話をするなどしていた。
  (キ) 被告人は、前記L警察署に異動後、平成29年5月、被害児童に対する継続補導実施担当者として追加指定された。
  イ 以上の事実に鑑みると、被告人は、少年非行の防止等を扱う生活安全課の一員であり、同課内における主な担当事務が許認可事務であったとしても、職務上、同課の一員として、少年に対する補導等を行う立場にあったと認められ、加えて、被害児童が継続補導対象少年に選定されて以降は、被告人も他の課員と同様、D巡査に協力して被害児童の補導及び立ち直り支援活動に従事する立場にあったと認められる(なお、被害児童も被告人が被害児童の補導等に関わっているとの認識を有していたことは被害児童のスマートフォンにおけるFの記載(甲35の画像第99号)からもうかがえる。)。そして、被告人が前記L警察署において被害児童に対する継続補導実施担当者に追加指定されたのは、被告人がH警察署において被害児童に対する補導及び立ち直り支援活動に従事しており、被害児童が被告人を頼っていたという実質があったからこそと考えられる。
  この点について、D巡査は、自分が被害児童に対する継続補導活動の責任者であるものの、1人で被害児童に対応することは困難であり、他の課員と一緒に行っていて、被告人も同課の課員として、被害児童に対する補導及び立ち直り支援活動に従事していた旨供述するが、前記の認定事実(特に被害児童が家出や深夜徘徊等を繰り返していたこと)及び客観的証拠(甲62)に照らし、自然かつ合理的で信用できる。
  ウ これに対し、弁護人は、少年警察活動規則第8条第3項によれば、少年サポートセンターに配置されたD巡査以外は継続補導の業務を担当できないこと、前記のとおり、D巡査が被告人に同行を求めて被害児童方に赴く際、C課長の了解を求めていて、D巡査自身も自分の業務であるという認識を有していたことから、被告人がD巡査や他の課員と被害児童に対する補導等を共同実施したとするD巡査の供述は信用できず、そのような事実は認められない旨主張する。しかしながら、D巡査の供述が信用できることは前記のとおりであり、また、D巡査は、被害児童に対する継続補導の実施担当者(責任者)ではあるが、同課の課員と少年サポートセンターの職員とを兼務しており、同規則上も、担当者以外の他の警察官が担当者の継続補導活動に協力することを否定するものとは考え難い(同第3項によれば、やむを得ない理由がある場合には、少年サポートセンターの指導の下、少年警察部門に属するその他の警察職員が実施するものとされている。)から、同規則と齟齬するとは認められない。さらに、D巡査がC課長の了解を求めた点については、被害児童に対する補導等の活動が被告人の第一次的な業務ではないと考えたことによるものであり、合理的な理由によるものといえる。したがって、弁護人の主張は採用できない。
 (3) 〈2〉(本件各性交が「淫行」及び「させる行為」に該当するか)について
  ア 前記認定事実に加えて、関係証拠によれば、次の事実が認められる。
  (ア) 被告人は、本件各性交当時42歳であった。被告人には、妻と子供2人がおり、前記3(2)ア(ア)の期間中、単身赴任していたが、妻ら家族との間で不和はなかった。また、被告人は、被害児童と本件各性交をしたことはもちろん、被害児童と会っていることも同僚や家族など周囲の者に隠していた。
  (イ) 被害児童は、本件各性交当時●●●歳で結婚不適年齢であった。被害児童は、幻聴や妄想気分があり、精神的不安等から他人(とりわけ男性)に依存する症状があり、前記のとおり、家出や深夜徘徊をしたり、出会い系サイトを使って男性と会うなどの衝動的行動を繰り返していて、平成28年9月28日には初期の統合失調症と診断された。また、被害児童は、平成29年1月6日から同年2月14日までの間及び同年8月22日以降、精神症状が悪化して家出や深夜徘徊をしたり、自傷行為をするなどしたことから入院したが、退院後も幻聴や妄想が続き、深夜徘徊等を繰り返していた。
  (ウ) 被告人が被害児童とFでやりとりをするようになってから間もなく、被告人は、勤務時間の内外を問わず、警察車両や被告人自身の車で被害児童に会いに行き、被害児童と話をしたり、食事をするようになった。
  (エ) 平成28年10月11日、被告人は、被告人運転車両の後部座席に被害児童と並んで座っていた際、「もう無理。」と言い、被害児童に覆いかぶさるようにして、その胸や陰部を触るなどした。
  (オ) それから間もなくして、被告人は、被害児童と、被告人が運転してきた車の中で、被害児童の了解を得て性交し、その後、被告人は、被害児童と、週に二、三回位性交を繰り返していて、会う時はほぼ毎回性交しており、勤務時間中に警察車両を利用して性交したこともあった。こうした被告人と被害児童との性交は、平成29年7月頃まで続いた(本件各性交もこれに含まれる。)。また、被告人は、被害児童と避妊具を使わずに性交したことも複数回あった。また、被告人が被害児童と会う時間は、約15分から長くて1時間程度であったが、被告人は性交してすぐ帰ることもあった。
  (カ) 被告人は、被害児童に対し、被告人と会っていることや性交していることを他人に言わないように口止めするとともに、被告人とのFのやりとりをこまめに削除するように指示した。
  (キ) 被告人は、被害児童が被告人以外の男性と交際し、性交していることを知っていたが、被害児童に対し、自分も妻がいるから対等であると言っていた。
  イ 被害児童の供述の信用性
  前記ア(ウ)ないし(キ)の事実は主に被害児童の供述によって認定したが、被害児童は、H警察署生活安全課の警察官から問い詰められて被告人と性交した事実を認めたもので、そのことにより被告人の身を案じ、警察官に話したこと自体を後悔する気持ちを有している上、期日外尋問において、被告人に対して感謝している旨を述べていることなどに照らすと、あえて被告人に不利な供述をするだけの動機はない上、供述内容は具体的であり、特に被告人から突然胸などを触られたこと、初めての性交の際、被告人の方から了解を求められたこと、短時間の性交でも受け入れていたことについては、胸などを触られて驚いて手をつかんだことや、拒絶した場合にはFをしてくれないと思ったこと、初めて性交を求められた際、被告人が警察官で妻帯者であったことから迷ったが、了解したのは被告人が会ってくれなぐなったり、Fをしてくれなくなると思ったからであること、たとえ性交目的だけだったとしても被告人に会いに来て欲しいと思ったため、被告人に性交目的かを聞かなかったことなど、自身の心情を交えて供述していて、供述内容全体を通じて特に不自然、不合理なところはない。また、被害児童は、被告人を自らホテルに誘ったことなど自分にとって不利益なことも話しており、明確に記憶しているところとそうでないところを区別して供述するなど供述態度は真摯である。したがって、弁護人の指摘する点を踏まえても、被害児童の供述は信用できる。また、被害児童は、被告人と性交していた理由について、拒絶すると被告人がFをしてくれなくなったり、会ってくれなくなると思ったとも供述するが、被害児童が精神的に不安定で、他人(とりわけ男性)に依存する傾向にあるという被害児童の精神状態や被害児童が特に性行為を求めていたわけではなく、相手から求められれば応じてしまうとする医師の供述(甲28)等とも整合的で信用できる。
  これに対し、被告人は、(エ)に関して、「もう無理。」とは言っておらず、後部座席で横並びになっている際に灰皿を取ろうとして被害児童と手が触れ、手をつなぐような形になって、抱き合い、キスして胸などを触った旨供述するが、被告人は、初めて性的な行為をした日が被害児童と恋人としての交際が始まった特別な日であると認識しながらも、当初は抱き合っただけであると述べるなどの供述経過、性的行為の内容について曖昧な供述をしていることや、被害児童が被告人と会うようになってから間がないのに、被告人が述べる経過で性的行為に及ぶことは、医師が述べる被害児童の性格に照らしても唐突で不自然であり、捜査段階からの被告人の供述経過等を踏まえると、この点に関する被告人の供述は信用できない。同様に、被告人は、(オ)の初めての性交についても、自然とそうなった旨供述するが、前記と同様、曖昧であることなどに照らして信用できない。
  ウ 本件各性交が「淫行」に当たるか及び被告人にその故意があるか
  (ア) 弁護人は、本件各性交は、被告人と被害児童の相互に恋い慕う関係に基づいて行われたものであるので、児童福祉法34条1項6号の「淫行」には該当しない旨主張し、その根拠として、被告人と被害児童のFによる親密なやりとり(甲35)や、被告人と被害児童が2人で警察官と女子高生との真摯な恋愛を描いた映画を見に行き、その際、被害児童が「私たちみたいだね」と言ったこと、お互いの愛称の呼び方、被害児童が期日外尋問において被告人に感謝していると述べたこと、最初の性的行為からその後の性交について、被害児童が拒絶することなく自然になされたことなどの事情を指摘する。
  確かに、これらの事情に鑑みると、被害児童に被告人を慕う気持ちがあったことは否定しがたいが、前記のとおり、被害児童は、被告人と性交した目的について、Fで連絡してもらうためや会ってもらうためであったと明言しており、これが信用できることは前記のとおりである上、前記3(2)ア及び(3)アで認定した、被告人及び被害児童の年齢、特に被害児童が●●●歳で心身及び判断力が未熟であり、自己の性的行為の意味を十分に理解していなかった上、結婚不適年齢であったこと、被告人と被害児童との関係及びそれぞれが置かれた状況、特に、被告人が警察官として被害児童に対する継続補導活動に従事していたことや、被告人が妻帯者であったこと、被害児童が精神的に不安定で不純異性交遊を繰り返すなど他人(とりわけ男性)に依存する傾向があり、被告人と性行為をしている期間中も他の男性と交際し、性交していたこと、そのことを認識した際の被告人の前記発言、被告人の方から被害児童のFのIDを聞き出して被告人とFで連絡を取り合うようになり、それから間もなく被告人の方から被害児童に性的な行為を求めたこと、その後間もなく被告人が被害児童と性交し、以降、頻繁に性交を繰り返す中で本件各性交に及んだもので、避妊具を使用しないことも複数回あったことや、被害児童が統合失調症で入院し、退院した後も性交を繰り返していたこと、被告人が被害児童と会っていることや性交していることを同僚や家族を含む周囲の者に隠すとともに、被害児童に対しても、口止めやFのやりとりの削除を指示していたもので、被害児童との性的関係が職場や家族に露見することを恐れていたと考えられる行動をとっていることなどからすれば、被告人が被害児童の心身に配慮し、被害児童との将来も考えて真剣に交際していたとは到底認められないことなどに照らすと、被告人と被害児童との間の性交が、相互に恋い慕う関係に基づいてなされたものとは認められず、被告人もそのことは当然に認識した上で、被害児童を自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っていたと認められ、本件各性交が被害児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあることは明らかである(なお、弁護人は、被害児童が入院している間や被害児童の気分が落ちている時には性行為をしなかったこと、避妊具を用いなかったのは被害児童の希望によるものであったことを指摘するが、性的欲望の対象として扱っていたとしても、入院中や気分が落ちている時など通常性交ができないあるいは嫌がると考えられる時に性交をしないことは不自然なことではないし、被害児童が避妊具を用いないよう希望したことがあったとしても、被害児童はそもそも判断力が未熟であり、自己の行為の意味や結果を正しく理解して求めていたものとはいえないから、その点が前記の判断を左右するものとはいえない。)。したがって、本件各性交は、同号の「淫行」に該当する。その他の弁護人が指摘する点を踏まえても判断は左右されない。
  (イ) また、被告人が前記の被告人と被害児童との関係や置かれた状況、本件各性交に至る経緯や性交の態様等の客観的な事情の認識を欠いていたとみることはできず、その故意にも欠けるところはないというべきである。
  エ 本件各性交が「させる行為」に当たるか及び被告人にその故意があるか
  (ア) 前記2(1)のとおり、同号の「させる行為」とは直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうと解するのが相当である。そして、「させる行為」に該当するかどうかは、行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断すべきである(前記最高裁決定参照)。
  この点、弁護人は、被告人と被害児童との間に支配的関係ないし保護責任者的地位がなければ、よほど助長・促進行為が強度であるなどの例外的事情がない限り、児童福祉法34条1項6号の「させる行為」には該当しないとして、被告人は被害児童の処遇の決定に影響力を有する支配的立場ではないこと、合意の上性交しており淫行の助長・促進行為は微弱であることなどの諸事情を根拠として挙げ、被告人は相互に恋い慕う関係に基づき被害児童の性交の相手になったにすぎず、同号の「させる行為」に当たらない旨主張する。
  (イ) しかしながら、本件各性交が被告人と被害児童との相互に恋い慕う関係に基づいてなされたものと認められないことは前記のとおりである。そして、前記のとおり、被告人は、警察官として、被害児童の処遇の決定に影響力があるとはいえないとしても、継続補導実施担当者のD巡査に協力して被害児童に対する補導及び立ち直り支援活動に従事する者として、被害児童に対して、性的逸脱行動を含め、その心身の健全な育成を阻害するおそれのある行動をしないよう指導する立場であり、かつ、被告人の前記活動を通じて、判断力が未熟で、精神的にも不安定で他人(とりわけ男性)を頼りやすい被害児童が被告人を精神的に頼っていたことから、被告人は、被害児童に対して影響力を有する立場にあったといえる。そして、被告人は、そのような立場や被害児童との関係性を利用し、前記のとおり、被害児童を自分の性的欲望を満足させる対象として扱い、被害児童と性交を重ねる中で本件各性交に至ったものである。これらの事情に鑑みると、被告人が被害児童に本件各性交を強く持ち掛けたことがないことや、被害児童が性交を拒絶していないことなどの事情を踏まえても、被告人が被害児童に対する事実上の影響力を及ぼして被害児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたものと認められる。したがって、本件各性交は、同号の「させる行為」に該当する。弁護人の前記主張は採用できず、その他、弁護人が指摘する点を踏まえても判断は左右されない。また、前記と同様、この点に関する被告人の故意に欠けるところもない。
(法令の適用)
 被告人の判示所為は包括して児童福祉法60条1項、34条1項6号に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役3年6月に処し、刑法21条を適用して未決勾留日数中120日をその刑に算入することとし、訴訟費用は、刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
 被告人は、警察官として被害児童を補導し、立ち直らせるための支援活動に従事する立場であり、それを通じて被害児童が被告人を精神的に頼っていたことに乗じて、判断力が未熟であり、かつ、精神疾患の影響もあり精神的に不安定であった被害児童に対する本件犯行に及んだもので、警察官としてあるまじき卑劣な犯行である。被告人が被害児童の求めに応じて会うなどしてその精神的安定を図ろうとしていた面もあったことは否定できず、被害児童は、期日外尋問において、被告人に対する感謝の気持ちを述べ、処罰を求める気持ちはないとしているが、そもそも被害児童は心身ともに未熟であり、判断力も未熟である上、精神疾患の影響もあって精神的に不安定な状態であったもので、現在は、被告人と性交したことは良くなかった旨述べており、前記の態様で被告人と多数回の性交を続けていた一環として本件各性交を行った被害児童の今後の心身の健全な育成への悪影響が懸念され、被害児童の母親は、被告人に対して強い憤りを抱いている。加えて、被告人には自己の行為の意味や被害児童に与える深刻な影響等について深く考え、自己の行為を真摯に顧みようとする姿勢は見られない。
 そうすると、被告人の刑事責任は軽視できるものではなく、本件により被告人が懲戒免職されたことや、離婚したことなど一定の社会的制裁を受けていること、これまで前科前歴がないことなどの被告人に有利な事情を十分に併せ考慮しても、被告人は主文の刑を免れない。
(求刑 懲役4年)
刑事部
 (裁判長裁判官 室橋雅仁 裁判官 荒木精一 裁判官 風間直樹
別表(省略)

児童淫行罪の行為否認・淫行の際のひそかに製造罪(広島高裁h29.9.5) 

児童淫行罪の行為否認(広島高裁h29.9.5)
 児童ポルノが押収されているので、「被告人の面前で着衣を脱いで両乳房を露出させることに抵抗がない状態にあったのであるから,滞在中に性交があったと推認するのが自然である。」という評価になっています。


 なお、原判示第3の児童淫行罪の機会に3号ポルノを撮影した(原判示第2)のはひそかに製造罪ではないと思います。そういう判例だとすれば、判例違反でした。

1審判決
 第2 同月21日午前7時14分頃,同市〈以下省略〉「cホテル」117号室において,ひそかに,就寝中のAの胸部が露出した姿態を自己の使用するタブレット型端末機のカメラ機能で静止画として撮影し,その静止画データ1点を同タブレット型端末機本体の内蔵記録装置又は同タブレット型端末機に装着されたマイクロSDカードに記録させて保存し,もってひそかに衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
 第3 同日午前1時10分頃から同日午前10時19分頃までの間,前記「cホテル」117号室において,Aに,被告人を相手に性交させ,もって児童に淫行をさせる行為をした。

TKC
【文献番号】25546995
広島高等裁判所
平成29年9月5日第1部判決
       判   決
       主   文
本件控訴を棄却する。
       理   由
1 控訴の趣意
 本件控訴の趣意は,主任弁護人佐々木和宏及び弁護人我妻正規共同作成の控訴趣意書に記載されているとおりであるから,これを引用する。
 原判決は,定時制の県立高校(以下「B高校」という。)の教頭として,当時16歳の女子生徒(以下「A」という。)から相談を受けるなどしていた被告人が,平成28年(以下の日付は,特記しない限りいずれも同年のものを指す。)2月13日午前4時12分頃,ラブホテル「C」の客室で,ひそかに就寝中のAの胸部及び陰部等が露出した姿態を撮影・保存して児童ポルノを製造し(原判示第1),同月21日午前1時10分頃(入室)から同日午前10時19分頃(退室)までの間に,ラブホテル「D」の客室で,Aに被告人を相手に性交させて児童に淫行させる行為をするとともに,その間の午前7時14分頃,ひそかに就寝中のAの胸部が露出した姿態を撮影・保存して児童ポルノを製造した旨認定している(原判示第2,第3)。
 これに対し,論旨は,原判示第3の児童淫行罪(児童福祉法60条1項,34条1項6号)に関し,被告人が原判示の日時場所でAといた際,被告人とAが性交した旨のA供述は信用できないから,性交の事実を認めた原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるというものと解される。
2 原判断の要旨
 原判決は,(事実認定の補足説明)の項で,論旨に関し,要旨,おおむね次のとおり説示している。 
(1)前提となる事実関係等
 Aは,B高校に在籍していたが,教室で授業に出席することなく,職員室で過ごしたり,校外に遊びに出たり,粗暴な言動に及んだりするなどの逸脱行動を繰り返しており,被告人を含めた教員がその指導に当たっていた。Aは,解離性障害に罹患し,精神的に不安定な状態にある中で,人間関係の悩み等について相談に乗ってくれた被告人に好意を示すようになった。Aは,平成27年12月10日未明にB高校に電話を掛けて自殺をほのめかした際に,対応した被告人から携帯電話の番号を教わって以降,深夜早朝を問わず繰り返し被告人に電話をかけるなどして被告人に対する依存を強め,長電話をしたり,被告人に車で迎えに来てもらって校外で会ったりするようになった。被告人は,Aと外食やカラオケに行き,化粧品,服,携帯音楽プレーヤーを買い与えるといったAの依存を助長する不健全な行動に及んだ。Aは,2月中旬頃,被告人に対し電話で,「子供が欲しい。今度はゴム着けんでね」などと言った。
 被告人とAは,本件の際(2月12日から翌13日まで,同月21日)に原判示の各ホテルに滞在した以外にも,1月10日から2月14日にかけて,4回にわたり,Dの客室に滞在した。また,1月30日未明から翌31日にかけて山口県内に出掛けた際には,ラブホテル及び被告人が予約したビジネスホテルの同じ部屋(ダブルベッド1台)に滞在した。これら本件を含めた合計8回の滞在(本件は6回目と8回目)のうち,3回目以降の滞在当時,Aは精神科に任意入院中であった。被告人は,5回目の滞在の際,Aの露出した乳房と指で左右に広げた状態の陰部の静止画を撮影した。6回目の滞在(原判示第1)の際,被告人は,客室備付の性玩具の自動販売機でローションを購入した。
 6回目の滞在時に撮影された原判示第1の静止画は,ほぼ全裸の状態のAが,両乳房及び陰部を露出させて寝ている姿を,膝の上から頭までが写るように撮影したもので,中央に陰部が位置している。8回目の滞在時に撮影された原判示第2の静止画は,ガウンの胸部が開かれて両乳房が露出した状態で寝ているAの上半身をほぼ正面から撮影したもので,中央やや左寄りに乳房が位置している。各静止画は,Aの露出した陰部や乳房が目立つように意図的に撮影したものであると認められる。
(2)性交の有無について
 被告人は,性交が行われることが通常予定されているラブホテルに,Aと約9時間滞在する最中に,自己の性欲を興奮させる意図をもって原判示第2の静止画を撮影しており,Aは,被告人の面前で着衣を脱いで両乳房を露出させることに抵抗がない状態にあったのであるから,滞在中に性交があったと推認するのが自然である。加えて,この8回目の滞在に至る経緯として,被告人が,自分に対して好意を示して依存を強めるAとの関係にのめり込み,恋人のように特別扱いして繰り返しラブホテルに行き,乳房や陰部の静止画を撮影し性玩具の自動販売機を利用するという,性欲の興奮に向けられた行動をとっていた事実があり,Aが被告人との性交経験を前提とした発言をしていたという事実もある。これらの事実を併せれば,被告人が性的に不能であったといった特段の事情のない限り,原判示第3の滞在の際に被告人とAとの間で性交があったと強く推認される。
 本件に至る経緯や被告人に対する当時の心情に関するAの供述を全面的に信用することはできないが,原判示第3の滞在の際に被告人と性交したという核心部分(証人尋問調書239,242項等)については,前記推認によって裏付けられており,信用することができる。
 これに対し,被告人は,何度もラブホテルに行っていたのはAと話をしたり仮眠をとったりするためであり,Aに対する性欲はなく,疲弊していたため,Aと性交したことは一度もないなどと供述するが,性欲を興奮させる意図で児童ポルノを製造していることと整合しない不自然極まりない内容であって,信用できない。Aとの性交を妨げる特段の事情も見当たらない。
3 検討
 以上の原判断には,被告人とAが滞在していたホテルの特定に関し,後記(1)のような問題点はあるものの,その他の部分に論理則,経験則等に照らして不合理な点は見当たらず,性交があったとする結論に誤りはない。
(1)所論は,前提事実の認定に関し,原判決(5頁(5))は,被告人とAが,2月13日午後9時39分から翌14日午前9時59分までの間,D×××号室に滞在したと認定しているが,被告人らは2月14日午前2時4分から同日午前4時47分までの間Cに滞在していたから,原判断は誤っていると主張する。
 確かに,原判決の滞在時刻認定の根拠となった甲9号証を見ると,D×××号室の客室利用伝票(41丁)と,同室滞在者の特定根拠であるノートの記載内容(42丁)が整合しておらず(同伝票には原判決の認定する日時が印字されているが,ノートには2月15日の欄の末尾午後11時20分から午前9時38分までの利用者の車両として被告人の車のナンバーが記載されている。),「業務が忙しくて車両番号をすぐに確認できなかったので,末尾に付け足すような感じで書き込んでいる」旨の同ホテル従業員の説明はこの齟齬を十分に説明できているとはいい難い。一方,甲18号証及び甲19号証(172,179丁)によれば,被告人とAが同伝票記載の時間帯と重なる時間帯にC×××号室に滞在していた可能性は否定できず(ただし,同室滞在者特定の根拠となった車両番号記載のファイルの宿泊日は2月13日とされている。),滞在したのはCであり,2月13日から翌14日にかけて一旦Dに入った後中抜けしてCに行き,またDに戻ったことはない旨の被告人の原審公判供述を排斥することはできない。したがって,この点に関する原判決の認定は不合理であるといわざるを得ないが,原判決が認定する日時頃に被告人とAがラブホテルに滞在した事実には変わりがないから,A供述の信用性判断を左右するような問題点ではなく,所論のいうような予断偏見の表れとみることもできない。
(2)所論は,被告人供述に依拠して,〔1〕被告人がAと繰り返しラブホテルに行っていたのは,落ち着いてAの話を聞くためであり,性的関係を持つことなく就寝していた,〔2〕原判示第2の静止画は,被告人がいたずら心から寝相の悪いAがガウンのはだけた状態で眠っている姿を撮影したにすぎない,〔3〕被告人が性玩具の自動販売機を利用したのは,ローションを見付けたAがこれは何かと執拗に尋ねてきたからであり,性交のためではないとして,これらは性交の事実を推認させるものではないと主張する。
 しかし,ラブホテルに行った経緯,ローション購入等に関する被告人供述は,Aが被告人に対して好意を抱き,依存を強めていたことを前提としても,Aが被告人に話を聞いてもらうためだけのためにラブホテルに行くことを望んだという点や,Aを教育すべき教頭の立場にある被告人が,話を聞くだけの目的でラブホテルという場を選び続け,使うつもりもないのに千円を支払って性行為に用いられるローションを購入したなどの点で,不自然・不合理であり,信用できない。被告人とAが通常性行為を目的として利用される場所であるラブホテル等に8回にわたり滞在していた事実は,本件を含む各滞在時に性交等の性行為があったことを推認させる事情であり,6回目の滞在時に被告人がローションを購入した事実は,その時点で既に被告人とAが性交にまで至り得る関係にあったことを示している。8回目の滞在時に撮影された原判示第2の静止画の両乳房の露出状態は,寝ている間に偶々はだけてしまったものとは考え難く,意図的に作出されたとみるのが自然である。被告人がそれ以前の5回目及び6回目の滞在時に撮影した静止画の内容からしても,被告人の性欲がAに向けられていたことは明らかであって,原判示第3の滞在中に性交があったとの推認を補強している。原判決の推認力判断が不合理とはいえない。
(3)所論は,2月中旬頃のAの被告人に対する電話での前記発言に関し,Aの証言によれば,実際の発言の趣旨は原判決の認定とは異なっており,被告人との性交体験がなくても言える内容で,Aが被告人の歓心を買うためにした作り話の可能性があるとして,性交の事実を推認することはできないと主張する。
 しかし,電話口でのAの発言を聞いた母親の証言(74項)に基づき発言内容を認定し,それが被告人との性交体験を前提とするとみた原判断に不合理な点はない。仮にA自身が証言(195項)するように「コンドームを着けんでやってほしい。子供が欲しい」という内容であったとしても,発言以前の性交体験を推認させるものであることに変わりなく,所論指摘のA証言も同事実を前提としている。このAの発言に,前記(2)の推認を併せれば,原判示第3の滞在の際に被告人と性交したというA供述の核心部分の信用性を補強するに十分である。
(4)その他所論に鑑み検討を加えても,原判決に事実誤認はなく,論旨は理由がない。
 なお,原判決は,原判示第3の児童淫行罪の罪となるべき事実中で,「もって児童に淫行をさせる行為をした」との法的評価を基礎付ける事実として,被告人とAがB高校の教頭と生徒という関係にあったこと,被告人がAから相談を受ける「など」していたこと,Aの年齢,ホテルで被告人を相手に性交させたことを摘示している(訴因も同様である。)。これらの事実からは,被告人が教頭という立場を利用し,相談に乗ってくれる被告人に信頼を寄せていたAに事実上の影響力を及ぼし,淫行をなすことを助長し促進する行為をした事実が推知できる。また,冒頭陳述や原判決の(事実認定の補足説明)の項における説示等も併せ考慮すれば,前記「など」には,被告人が,Aから相談を受けるという名目やAの家庭環境を熟知しているのに乗じて,精神的に不安定な状態にあったAをA方や入院先から自車で連れ出し,校外で外食したり,ラブホテルに行って性交したりすることを繰り返していたといった働きかけの経緯が含まれていると解される。そうすると,原判示第3の罪となるべき事実の記載は,児童淫行罪の構成要件該当事実の摘示として不十分であるとまではいえず,理由不備又は訴訟手続の法令違反はない。
4 結論
 よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。
平成29年9月5日
広島高等裁判所第1部
裁判長裁判官 多和田隆史 裁判官 杉本正則 裁判官 内藤恵美

「本罪におけるわいせつ概念を単純に「性的性質を有する一定の重大な侵襲」と理解し、さらに、判例のように、社会通念に照らして客観的に「性的意味」や「その性的な意味合いの強さ」を判断するとした場合であっても、その具体的な判断方法が問われざるをえない」  嘉門優「法益論」 

 定義ではなくて、要素で説明を試みる感じ。
 精液掛けるとか、児童に撮影送信させるとかはどうでしょうか?

第四章 強制わいせつ罪におけるわいせつ概念について…252
第一節 問題の所在
第二節 強制わいせつ罪におけるわいせつ概念について
1 わいせつ概念(253)
2 重大な性的侵襄性(254)
3 暴行・脅迫要件との関係(255)
第三節 わいせつ行為の類型化
第四節 わいせつ行為の判断基準
1 性的部位への接触型(260)
2非性的部位への接触型(261)
3被害者に触らせる行為(263)
4非接触型(264)
第五節 おわりに
・・・
2 重大な性的侵襄性
しかし、現在、以上のような伝統的な定義は放棄されるべきだといわれている276。なぜなら、「性欲を刺激・興奮させ」や「性的蓋恥心を害する」という表現は、幼児など性的蓋恥心・判断力を持たない者に対する保護が及ばないかのような誤った印象を与えるからだというのである277。そのため、わいせつな行為を単純に「性的性質を有する一定の重大な侵襲」と定義すべきだと主張されている278.以上の批判に加えて、前述のとおり、最高裁判例変更を行い、性的意図は不要だとし、わいせつ行為の判断について、「社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断」すべきだとした(最大判平成29年11月29日刑集71巻9号467頁)。このようにわいせつ概念の変更の要請が現在非常に高まっているといいうる。
ただし、仮に、本罪におけるわいせつ概念を単純に「性的性質を有する一定の重大な侵襲」と理解し、さらに、判例のように、社会通念に照らして客観的に「性的意味」や「その性的な意味合いの強さ」を判断するとした場合であっても、その具体的な判断方法が問われざるをえない。学説上、判断に当たっては、
( i )関係する部位、
( ii )接触の有無・方法、
(iii)継続性、
(iv)強度、
(v)性的意図、
(vi)その他の状況
が、総合的に考慮されなければならないといわれている279.本稿もこの結論に同意するものであるが、なぜこれらの要素が考慮対象とされるべきなのか、さらには、それぞれの要素が性的侵襲の「重大性」判断にどうかかわるのかという点についてさらに検討する必要があると思われる。
この検討に当たって、保護法益や性的侵害の内実について抽象論を繰り広げても、望ましい解答がえられるとは考えにくい。そこで、強制わいせつ罪については多くの裁判例がこれまで集積されてきていることから、次節において、本罪が認められた裁判例をその行為態様ごとに類型化し、その性的侵害の内実を分析するという手法を採用することとしたい。

師弟関係の児童淫行罪(性交類似行為)1+児童ポルノ製造罪1で懲役3年執行猶予5年(岐阜地裁H30.7.5)

 師弟関係の児童淫行罪は、実刑の方がやや多くなっています。
 1件だけなのに「教師と生徒の関係にあることの影響力により性交類似行為の相手をさせ,その際に試験問題を事前に渡すという行動まで伴っていて,教師という児童を保護すべき立場にあることも勘案すると,本件は,児童福祉法違反の事案の中でも悪質な部類に属する。」という評価になっています。

裁判年月日 平成30年 7月 5日 裁判所名 岐阜地裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(わ)118号
事件名 児童福祉法違反、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
文献番号 2018WLJPCA07056005
主文
 被告人を懲役3年に処する。
 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
 訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
 【罪となるべき事実】
 被告人は,a高等学校に常勤講師として勤務していたものであるが,当時被告人が授業を担当していた生徒であるA(当時16歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,
 第1 教師としての立場を利用し,平成30年3月11日午前8時32分頃から同日午前8時49分頃までの間,岐阜県関市〈以下省略〉所在の株式会社bの経営するcホテル401号室において,同児童に被告人を相手に口淫等の性交類似行為の相手をさせ,もって児童に淫行をさせる行為をした。
 第2 前記日時場所において,同児童に,被告人の陰茎を口淫させる姿態,被告人の陰茎を触らせる姿態及び同児童の乳房を露出した姿態をとらせ,これを被告人が使用するカメラ機能付き携帯電話機で動画撮影し,同月18日午後零時50分頃,岐阜市〈以下省略〉所在のdアパート101号室の被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータに内蔵された記録装置に記録して保存し,もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態,児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
 【証拠の標目】
 【法令の適用】
 1 罰条 判示第1の行為は児童福祉法60条1項,34条1項6号
 判示第2の行為は児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項1号,2号,3号
 2 刑種の選択 いずれも懲役刑を選択
 3 併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重)
 4 執行猶予 刑法25条1項
 5 訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文
 【量刑の理由】
 児童福祉法違反の点は,教師と生徒の関係にあることの影響力により性交類似行為の相手をさせ,その際に試験問題を事前に渡すという行動まで伴っていて,教師という児童を保護すべき立場にあることも勘案すると,本件は,児童福祉法違反の事案の中でも悪質な部類に属する。児童ポルノ製造の点は,もとよりその動機にしん酌し得るものはなく,その後,児童から画像の消去を求められながら,なおもこれを保存する措置を講じた点もよくない。以上によれば被告人の刑事責任には重いものがある。
 他方,被告人は,両親の協力を得て,示談を成立させ,被害弁償をしていること,本件各犯行を反省し,今後,岐阜県を離れて居住し,教師等の職業に就かない旨を述べていること,被告人の更生を支えようとする家族がいること,前科前歴がないことなどの被告人のためにしん酌することのできる事情もある。
 そこで,以上の諸事情を勘案し,被告人を主文のとおりの刑に処するものの,その刑の執行を猶予するのを相当と判断した。
 (求刑 懲役3年)
 岐阜地方裁判所刑事部
 (裁判官 鈴木芳胤)

監護者性交罪について「被告人は、父親の援助の下、被害者の母親との合意に基づいて損害賠償金として300万円を支払っており、このことは、被告人に有利な事情として斟酌されるが、性犯罪の性質上、被害者の苦痛がどの程度和らいだといえるか、すなわち、宥恕の有無は重要な考慮要素になるところ、親権者である被害者の母親は宥恕の意思を表明しているわけではないから、この事情によっても、被告人の刑を大きく減じることはできない。」という判示(鹿児島地裁H30.8.7)

監護者性交罪について「被告人は、父親の援助の下、被害者の母親との合意に基づいて損害賠償金として300万円を支払っており、このことは、被告人に有利な事情として斟酌されるが、性犯罪の性質上、被害者の苦痛がどの程度和らいだといえるか、すなわち、宥恕の有無は重要な考慮要素になるところ、親権者である被害者の母親は宥恕の意思を表明しているわけではないから、この事情によっても、被告人の刑を大きく減じることはできない。」という判示(鹿児島地裁H30.8.7)
 児童淫行罪と同様、訴因外の過去の性交が考慮されています。そこなんとか防御できないかなあ。
 

判例ID】 28263953
【裁判年月日等】 平成30年8月7日/鹿児島地方裁判所刑事部/判決/平成30年(わ)75号
【事件名】 監護者性交等被告事件
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 岩田光生 恒光直樹 西木文香
【出典】 D1-Law.com判例体系
【重要度】 -


■28263953
鹿児島地方裁判所
平成30年(わ)第75号
平成30年08月07日
被告人 A
 上記の者に対する監護者性交等被告事件について、当裁判所は、検察官渡邉かおり及び弁護人寺田玲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役5年6月に処する。
未決勾留日数中20日をその刑に算入する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、当時の内縁の妻の娘である被害者B(当時15歳)と同居してその寝食の世話をし、その指導・監督をするなどして、同人を現に監護していた者であるが、同人が18歳未満の者であることを知りながら、同人と性交をしようと考え、平成29年11月5日頃、鹿児島県内において、前記被害者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて同人と性交をしたものである。
(法令の適用)
 被告人の判示所為は刑法179条2項、177条前段に該当するので、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役5年6月に処し、刑法21条を適用して未決勾留日数中20日をその刑に算入し、訴訟費用は、刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
 被告人は、かつての内妻及びその娘の被害者らと、被害者が小学校低学年の頃から同居し、生活費の一部を負担するなどして被害者の監護、養育を行っていたものである。こうした状況下において、被告人は被害者に対する性的欲求を募らせるようになり、他方、被害者は被告人に逆らえないと感じ、嫌われないよう振る舞っていた。被告人は、このような被害者の気持ちに配慮せず、明確に嫌がっていないから同意しているなどと安易に考えて本件犯行に及んだ。監護者としての影響力に乗じた卑劣な犯行であり、自己中心的な動機に酌量の余地はない。加えて、被告人は、被害者が小学6年生であった頃から被害者にわいせつな行為を行うようになり、被害者が中学1年生であった頃から3年以上にわたって被害者と性交を繰り返す中で本件犯行に及んでおり、本件犯行は、常習的犯行として態様悪質といえる。被害者の受けた精神的苦痛は甚だしく、その日常生活に今もなお深刻な影響を与えている。被害者や、その母親が被告人の厳重処罰を求めているのは十分理解できる。
 他方、被告人は、父親の援助の下、被害者の母親との合意に基づいて損害賠償金として300万円を支払っており、このことは、被告人に有利な事情として斟酌されるが、性犯罪の性質上、被害者の苦痛がどの程度和らいだといえるか、すなわち、宥恕の有無は重要な考慮要素になるところ、親権者である被害者の母親は宥恕の意思を表明しているわけではないから、この事情によっても、被告人の刑を大きく減じることはできない。
 以上によれば、被告人が本件犯行を認め、公判廷において被告人なりの反省の弁を口にしていること、被告人には罰金前科のほかに前科がないこと、被告人の父や妻が被告人を支援していく旨述べていることなど、その余の被告人に有利な事情を併せ考慮しても、被告人の刑事責任は非常に重く、酌量減軽をして法定刑の下限を下回る刑を言い渡すことは相当ではなく、主文の刑が相当と判断した。
(求刑 懲役6年)
刑事部
 (裁判長裁判官 岩田光生 裁判官 恒光直樹 裁判官 西木文香)

児童を使った美人局の被害に遭ったときは、まず、経験がある弁護士に相談して淫行について逮捕を回避してから、恐喝の被害申告をしないと、逮捕されてしまいます。

 真実児童であった場合、客は、青少年条例違反とか児童買春罪になって、相手は、恐喝とか児童淫行罪とかになります。
 児童でなかった場合は、客に罪はなく、相手は、恐喝とか売春周旋罪とかになります。
 当初は10万20万であっても、払うと思えばatmで引き出せとか、サラ金で借り来いとか言われて結構高額な被害になります。
 最初の要求を拒んで、弁護士に相談して、生活安全課に淫行について自首して逮捕を回避していて、あとは、お金の受け渡しについて刑事課と相談して張り込んでもらって、恐喝未遂の現行犯で逮捕してもらえば、恐喝は止むのです。
 切羽詰まってから「恐喝されてます」と警察署に行くと、刑事課が対応してくれますが、自首の機会を失い、逮捕されることがあるのです。
 黙って払い続けてた人もいますが、他の恐喝被害者が被害申告することで、芋づる式に児童買春罪等で逮捕されることもあります。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190208-00000582-san-soci
元教え子へのみだら行為ネタに男性恐喝 10代男女3人を容疑で逮捕
2/8(金) 17:48配信 産経新聞
 栃木県警少年課と那須塩原署は8日、男性を脅して現金数百万円を脅し取ったとして、恐喝の疑いで、宇都宮市の無職少年(19)と、鹿沼市の会社員の少年(19)、県内在住の10代の少女の計3人を逮捕、宇都宮地検に送検したと明らかにした。
 逮捕・送検容疑は、3人で共謀して1月中旬ごろ、那須塩原市の無職男性(26)=県青少年健全育成条例違反容疑で逮捕後、釈放=から現金数百万円を脅し取ったとしている。
 男性は臨時教員として那須塩原市の市立中学校に勤務していたが、元教え子の少女にみだらな行為をしたとして1月に逮捕され、その後、懲戒免職になった。
 同署によると、元教え子の少女が知人を通じて知り合った少年2人と共謀し、男性に現金を要求した。
 男性が逮捕後の取り調べで恐喝被害を受けたことを供述、県警が調べていた。

警察官による児童淫行事件につき、真剣交際を主張して懲役3年6月(長野地裁H31.1.30)

 児童淫行罪だと、師弟とか親族とかいうベースとなる影響関係があるので、多少、恋愛関係があっても、影響関係を払拭できない。
 最近のこういう判例で考慮要素が分析されていますが、児童と担当した警察官という関係もなかなか払拭できないでしょう。
 児童淫行罪については公開されているものも少ないし、売春事案以外の児童淫行罪は稀なので弁護士にも経験がないんですが、判例・裁判例をよく検討してから主張して下さい。

裁判年月日 平成28年 6月21日 裁判所名 最高裁第一小法廷 裁判区分 決定
事件番号 平26(あ)1546号
事件名 児童福祉法違反被告事件
裁判結果 上告棄却 文献番号 2016WLJPCA06219001
所論に鑑み,職権で判断する。
 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは,同法の趣旨(同法1条1項)に照らし,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいうと解するのが相当であり,児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は,同号にいう「淫行」に含まれる。
 そして,同号にいう「させる行為」とは,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうが(最高裁昭和39年(あ)第2816号同40年4月30日第二小法廷決定・裁判集刑事155号595頁参照),そのような行為に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である。
 これを本件についてみると,原判決が是認する第1審判決が認定した事実によれば,同判示第1及び第2の各性交は,被害児童(当時16歳)を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であり,同児童が通う高等学校の常勤講師である被告人は,校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し,ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んでいることが認められる。このような事実関係の下では,被告人は,単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず,同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められる。したがって,被告人の行為は,同号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たり,同号違反の罪の成立を認めた原判断は,結論において正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 小池裕 裁判官 櫻井龍子 裁判官 山浦善樹 裁判官 池上政幸 裁判官 大谷直人) 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20190130/1010007487.html
「卑劣な犯行」と元警察官に実刑
01月30日 18時21分

警察官の立場を利用して10代の少女にみだらな行為をしたとして児童福祉法違反の罪に問われた元巡査部長に対して、長野地方裁判所は「警察官としてあるまじき卑劣な犯行だ」などとして懲役3年6か月を言い渡しました。

松本警察署の生活安全第1課の元巡査部長、被告(44)は、平成28年からおととしにかけて、警察官の立場を利用して10代の少女に複数回、みだらな行為をしたとして児童福祉法違反の罪に問われました。
30日の判決で長野地方裁判所の室橋雅仁裁判長は「弁護側は『互いに恋い慕う関係に基づいたものだ』などと主張するが、少女に口止めしたり、家族にばれることを恐れていたととれる行動を取っていたりすることなどから、真剣に交際していたとは認められない」と指摘しました。
そのうえで「補導した少女が、その後、精神的に頼ってきたことに乗じて犯行に及んだもので、警察官としてあるまじき卑劣な犯行だ」などとして懲役3年6か月を言い渡しました。

https://www.fnn.jp/posts/2665NBS
元警察官に判決。10代の少女に複数回、みだらな行為をさせたとして児童福祉法違反の罪に問われた松本警察署の元巡査部長に対し、長野地裁は懲役3年6ヵ月の判決を言い渡した。

児童福祉法違反の罪に問われているのは、松本警察署の元巡査部長、。起訴状などによると被告は18歳未満と知りながら県内に住む10代の少女に県内のホテルで4回、みだらな行為をさせた罪に問われている。これまでの公判で検察は「警察官の立場を利用してみだらな行為をさせた」と指摘し、懲役4年を求刑。弁護側は「警察官の立場は利用しておらず、少女とは恋愛関係にあった」などとし、無罪を主張していた。30日の判決で長野地裁の室橋雅仁裁判長は、「相手は判断力の未熟な少女で、警察官としてあるまじき卑劣な犯行」などとして、懲役3年6ヵ月の判決を言い渡した。弁護側は控訴するか未定としている。

被告人が内妻Bや内妻の娘C(16)らとホテルに宿泊した際,隣のベッドにBらが寝ているにもかかわらず,同じベッドに寝ていたCと性交するという態様の監護者性交罪について懲役5年(長崎地裁h30.5.16)

 「想定される監護者性交等の犯行態様の中で,本件をことさらに重く処罰すべき事情も存在しない。」ということで法定刑の下限

判例番号】 L07350443
       監護者性交等被告事件
【事件番号】 長崎地方裁判所判決
【判決日付】 平成30年5月16日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載

       主   文
 被告人を懲役5年に処する。
 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。
       理   由
(犯罪事実)
 被告人は,平成29年8月当時,内縁の妻Bの娘であるC(当時16歳)と同居してその寝食の世話をし,その指導・監督をするなどして,同人を現に監護していた者であるが,Cが18歳未満の者であることを知りながら,同人と性交をしようと考え,平成29年8月25日から同月26日までの間に,福岡市博多区(以下略)□□603号室において,Cを現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて同人と性交をした。
(証拠の標目)(各証拠書類等に付記した番号は,検察官請求の証拠番号である。)
 被告人の公判供述
 被告人の各警察官調書(乙2,3)
 Cの検察官調書抄本(甲1)
 Bの各警察官調書(甲6,7)及び検察官調書(甲9)
 捜査報告書(甲2)
 各写真撮影報告書(甲4,5)
 戸籍全部事項証明書(甲10)
(法令の適用)
 罰条
  被告人の判示行為は,刑法179条2項,177条前段に該当する。
 宣告刑の決定
  所定刑期の範囲内で,被告人を懲役5年に処する。
 未決勾留日数の算入
  刑法21条を適用して未決勾留日数中70日をその刑に算入する。
 訴訟費用の処理
  訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させない。
(量刑の理由)
 犯行態様は,被告人がBやCらとホテルに宿泊した際,隣のベッドにBらが寝ているにもかかわらず,同じベッドに寝ていたCと性交するというものであり,大胆かつ悪質である。しかも,被告人は避妊措置をとっておらず,その点でも非難は免れない。Cは,すぐ近くに実母であるBらが寝ている中で性交をするという異常な状況に置かれており,本件犯行により受けた精神的苦痛は非常に大きく,また,肉体的苦痛も軽視できない。犯行の動機も,自身の性欲を解消するとともに,Cの実母であるBらが横で寝ている状態でCと性行為に及ぶスリルを感じるためという身勝手極まりないもので,特に酌むべき事情はない。
 以上によれば,被告人の刑事責任は重く,酌量減軽を行うべき事情は見当たらないが,他方で,想定される監護者性交等の犯行態様の中で,本件をことさらに重く処罰すべき事情も存在しない。
 そして,被告人が公判廷において事実を認め,反省の弁を述べていること,Cとその家族に二度とかかわらない旨誓約していること,被告人に前科がないこと等の被告人に有利な事情が認められるので,それらの事情も考慮し,主文のとおりの刑に処するのが相当と判断した。
(検察官大西杏理,国選弁護人中田昌夫各出席)
(求刑-懲役6年)
  平成30年5月17日
    長崎地方裁判所刑事部
        裁判長裁判官  小松本卓
           裁判官  堀田佐紀
           裁判官  佐野東吾

師弟関係の児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)の求刑と宣告刑

求刑から宣告刑を占いたいという質問が多いので、手元の裁判例から宣告刑と求刑を抽出しました。
求刑が明らかになったケースでは、実刑46執行猶予32になっています。
 

求刑 宣告刑
求刑1年6月 1年2月実刑
求刑7年 5年0月実刑
求刑3年6月 2年0月実刑
求刑2年6月 2年0月実刑
求刑2年 2年0月執行猶予4年
求刑6年 4年0月実刑
求刑7年 5年6月実刑
求刑2年 1年0月実刑
求刑2年6月 1年4月実刑
求刑2年 2年0月執行猶予4年
求刑4年 2年6月実刑
求刑2年6月 2年6月執行猶予4年
求刑2年6月 1年6月実刑
求刑2年6月 1年4月実刑
求刑2年 1年6月実刑
求刑4年 2年6月実刑
求刑1年6月 1年6月執行猶予5年
求刑1年 1年0月執行猶予5年
求刑1年6月 1年6月執行猶予3年
求刑3年 2年6月実刑
求刑4年 3年0月執行猶予5年
求刑2年 1年4月実刑
求刑2年 2年0月執行猶予5年
求刑3年 1年6月実刑
求刑3年 3年0月執行猶予4年保護観察
求刑2年 2年0月執行猶予4年
求刑2年6月 2年0月執行猶予5年保護観察
求刑3年6月 2年4月実刑
求刑6年 4年0月実刑
求刑2年 1年6月実刑
求刑5年 4年0月実刑
求刑5年 3年0月執行猶予5年保護観察
求刑2年 2年0月実刑
求刑2年6月 2年6月執行猶予5年
求刑5年 2年6月実刑
求刑2年6月 2年6月執行猶予5年
求刑13年  10年0月実刑
求刑 懲役4年 2年6月実刑
求刑2年  1年6月実刑
求刑2年 2年0月執行猶予4年
求刑 1年6月 1年6月執行猶予4年
求刑1年6月 1年6月執行猶予3年
求刑10年 9年0月実刑
求刑2年6月 2年6月実刑
求刑2年6月 2年6月執行猶予4年
求刑2年6月 2年0月執行猶予4年
求刑2年 2年0月執行猶予4年保護観察
求刑3年6月 2年6月実刑
求刑5年 4年6月実刑
求刑3年 1年10月実刑
求刑2年 2年0月執行猶予3年
求刑5年 3年6月実刑
求刑4年 2年6月実刑
求刑2年 2年0月執行猶予4年
求刑2年 2年0月執行猶予4年
求刑4年 2年6月実刑
求刑4年 2年0月実刑
求刑2年 2年0月実刑
求刑6年 4年0月実刑
求刑3年 3年0月執行猶予4年
求刑3年 1年10月実刑
求刑4年 2年6月実刑
求刑4年 2年2月実刑
求刑7年 4年6月実刑
求刑6月 0年4月実刑
求刑2年 2年0月執行猶予3年
求刑5年 3年6月実刑
求刑2年6月 2年6月執行猶予4年
求刑2年 2年0月執行猶予4年
求刑3年 3年0月執行猶予4年
求刑2年 2年0月執行猶予3年
求刑5年 3年0月実刑
求刑4年 3年6月実刑
求刑1年8月 1年8月執行猶予3年
求刑5年 5年0月実刑
求刑2年6月 2年6月執行猶予5年
求刑5年 3年0月実刑