児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

警察官による児童淫行事件につき、真剣交際を主張して懲役3年6月(長野地裁H31.1.30)

 児童淫行罪だと、師弟とか親族とかいうベースとなる影響関係があるので、多少、恋愛関係があっても、影響関係を払拭できない。
 最近のこういう判例で考慮要素が分析されていますが、児童と担当した警察官という関係もなかなか払拭できないでしょう。
 児童淫行罪については公開されているものも少ないし、売春事案以外の児童淫行罪は稀なので弁護士にも経験がないんですが、判例・裁判例をよく検討してから主張して下さい。

裁判年月日 平成28年 6月21日 裁判所名 最高裁第一小法廷 裁判区分 決定
事件番号 平26(あ)1546号
事件名 児童福祉法違反被告事件
裁判結果 上告棄却 文献番号 2016WLJPCA06219001
所論に鑑み,職権で判断する。
 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは,同法の趣旨(同法1条1項)に照らし,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいうと解するのが相当であり,児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は,同号にいう「淫行」に含まれる。
 そして,同号にいう「させる行為」とは,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうが(最高裁昭和39年(あ)第2816号同40年4月30日第二小法廷決定・裁判集刑事155号595頁参照),そのような行為に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である。
 これを本件についてみると,原判決が是認する第1審判決が認定した事実によれば,同判示第1及び第2の各性交は,被害児童(当時16歳)を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であり,同児童が通う高等学校の常勤講師である被告人は,校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し,ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んでいることが認められる。このような事実関係の下では,被告人は,単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず,同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められる。したがって,被告人の行為は,同号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たり,同号違反の罪の成立を認めた原判断は,結論において正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 小池裕 裁判官 櫻井龍子 裁判官 山浦善樹 裁判官 池上政幸 裁判官 大谷直人) 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20190130/1010007487.html
「卑劣な犯行」と元警察官に実刑
01月30日 18時21分

警察官の立場を利用して10代の少女にみだらな行為をしたとして児童福祉法違反の罪に問われた元巡査部長に対して、長野地方裁判所は「警察官としてあるまじき卑劣な犯行だ」などとして懲役3年6か月を言い渡しました。

松本警察署の生活安全第1課の元巡査部長、被告(44)は、平成28年からおととしにかけて、警察官の立場を利用して10代の少女に複数回、みだらな行為をしたとして児童福祉法違反の罪に問われました。
30日の判決で長野地方裁判所の室橋雅仁裁判長は「弁護側は『互いに恋い慕う関係に基づいたものだ』などと主張するが、少女に口止めしたり、家族にばれることを恐れていたととれる行動を取っていたりすることなどから、真剣に交際していたとは認められない」と指摘しました。
そのうえで「補導した少女が、その後、精神的に頼ってきたことに乗じて犯行に及んだもので、警察官としてあるまじき卑劣な犯行だ」などとして懲役3年6か月を言い渡しました。

https://www.fnn.jp/posts/2665NBS
元警察官に判決。10代の少女に複数回、みだらな行為をさせたとして児童福祉法違反の罪に問われた松本警察署の元巡査部長に対し、長野地裁は懲役3年6ヵ月の判決を言い渡した。

児童福祉法違反の罪に問われているのは、松本警察署の元巡査部長、。起訴状などによると被告は18歳未満と知りながら県内に住む10代の少女に県内のホテルで4回、みだらな行為をさせた罪に問われている。これまでの公判で検察は「警察官の立場を利用してみだらな行為をさせた」と指摘し、懲役4年を求刑。弁護側は「警察官の立場は利用しておらず、少女とは恋愛関係にあった」などとし、無罪を主張していた。30日の判決で長野地裁の室橋雅仁裁判長は、「相手は判断力の未熟な少女で、警察官としてあるまじき卑劣な犯行」などとして、懲役3年6ヵ月の判決を言い渡した。弁護側は控訴するか未定としている。