児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

師弟関係の児童淫行罪(性交類似行為)1+児童ポルノ製造罪1で懲役3年執行猶予5年(岐阜地裁H30.7.5)

 師弟関係の児童淫行罪は、実刑の方がやや多くなっています。
 1件だけなのに「教師と生徒の関係にあることの影響力により性交類似行為の相手をさせ,その際に試験問題を事前に渡すという行動まで伴っていて,教師という児童を保護すべき立場にあることも勘案すると,本件は,児童福祉法違反の事案の中でも悪質な部類に属する。」という評価になっています。

裁判年月日 平成30年 7月 5日 裁判所名 岐阜地裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(わ)118号
事件名 児童福祉法違反、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
文献番号 2018WLJPCA07056005
主文
 被告人を懲役3年に処する。
 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
 訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
 【罪となるべき事実】
 被告人は,a高等学校に常勤講師として勤務していたものであるが,当時被告人が授業を担当していた生徒であるA(当時16歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,
 第1 教師としての立場を利用し,平成30年3月11日午前8時32分頃から同日午前8時49分頃までの間,岐阜県関市〈以下省略〉所在の株式会社bの経営するcホテル401号室において,同児童に被告人を相手に口淫等の性交類似行為の相手をさせ,もって児童に淫行をさせる行為をした。
 第2 前記日時場所において,同児童に,被告人の陰茎を口淫させる姿態,被告人の陰茎を触らせる姿態及び同児童の乳房を露出した姿態をとらせ,これを被告人が使用するカメラ機能付き携帯電話機で動画撮影し,同月18日午後零時50分頃,岐阜市〈以下省略〉所在のdアパート101号室の被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータに内蔵された記録装置に記録して保存し,もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態,児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
 【証拠の標目】
 【法令の適用】
 1 罰条 判示第1の行為は児童福祉法60条1項,34条1項6号
 判示第2の行為は児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項1号,2号,3号
 2 刑種の選択 いずれも懲役刑を選択
 3 併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重)
 4 執行猶予 刑法25条1項
 5 訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文
 【量刑の理由】
 児童福祉法違反の点は,教師と生徒の関係にあることの影響力により性交類似行為の相手をさせ,その際に試験問題を事前に渡すという行動まで伴っていて,教師という児童を保護すべき立場にあることも勘案すると,本件は,児童福祉法違反の事案の中でも悪質な部類に属する。児童ポルノ製造の点は,もとよりその動機にしん酌し得るものはなく,その後,児童から画像の消去を求められながら,なおもこれを保存する措置を講じた点もよくない。以上によれば被告人の刑事責任には重いものがある。
 他方,被告人は,両親の協力を得て,示談を成立させ,被害弁償をしていること,本件各犯行を反省し,今後,岐阜県を離れて居住し,教師等の職業に就かない旨を述べていること,被告人の更生を支えようとする家族がいること,前科前歴がないことなどの被告人のためにしん酌することのできる事情もある。
 そこで,以上の諸事情を勘案し,被告人を主文のとおりの刑に処するものの,その刑の執行を猶予するのを相当と判断した。
 (求刑 懲役3年)
 岐阜地方裁判所刑事部
 (裁判官 鈴木芳胤)