2016年7月30日の児童淫行罪が2023年8月19日に逮捕される理由

2016年7月30日の児童淫行罪が2023年8月19日に逮捕される理由

 児童淫行罪の公訴時効は、行為当時は7年で、いまは、(18-児童の年齢)+12年に延長されている。

改正前刑事訴訟法第二五〇条[公訴時効の期間]
②時効は、人を死亡させた罪であつて拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
四 長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪については七年
五 長期十年未満の拘禁刑に当たる罪については五年
↓↓
改正後の刑事訴訟法第二五〇条[公訴時効の期間]
③前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる罪についての時効は、当該各号に定める期間を経過することによつて完成する。
三 刑法第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は児童福祉法第六十条第一項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る。) 十二年
④前二項の規定にかかわらず、前項各号に掲げる罪について、その被害者が犯罪行為が終わつた時に十八歳未満である場合における時効は、当該各号に定める期間に当該犯罪行為が終わつた時から当該被害者が十八歳に達する日までの期間に相当する期間を加算した期間を経過することによつて完成する。〔本条改正の施行は、令四法六七施行日〕
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案
(※令和5年5月30日衆議院において修正議決)
可決成立日 令和5年6月16日
公布日    令和5年6月23日(法律第66号)
官報掲載日 令和5年6月23日(号外第132号)
施行日    公布の日から起算して20日を経過した日。


 時効延長規定が適用されるのは、改正法の公布(r5.6.16=2023.6.16)時点で公訴時効(7年)に係っていない事件(刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律5条1項2項)。
 公訴時効の延長だけは、改正法附則2条1号により「公布の日」から施行されている。

刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律
第二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。第二百五十条に次の二項を加える。
 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる罪についての時効は、当該各号に定める期間を経過することによつて完成する。
三 刑法第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は児童福祉法第六十条第一項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る。) 十二年
 前二項の規定にかかわらず、前項各号に掲げる罪について、その被害者が犯罪行為が終わつた時に十八歳未満である場合における時効は、当該各号に定める期間に当該犯罪行為が終わつた時から当該被害者が十八歳に達する日までの期間に相当する期間を加算した期間を経過することによつて完成する。〔本条改正の施行は、令四法六七施行日〕


(公訴時効に関する経過措置)
第五条 
1第二条改正後刑事訴訟法第二百五十条第三項及び第四項の規定は、第二条の規定の施行の際既にその公訴の時効が完成している罪については、適用しない。
2 第二条改正後刑事訴訟法(施行日以後においては新刑事訴訟法)第二百五十条第三項及び第四項の規定は、刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百五十六号)附則第三条第二項の規定にかかわらず、第二条の規定の施行の際その公訴の時効が完成していない罪についても、適用する。
附 則 (令和五年六月二三日法律第六六号)
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第二条の規定並びに附則第四条第一項及び第五条の規定 公布の日

 ということで、2016年7月30日(平成28年)の事件は、2023年6月16日時点では7年経過していないので、時効は、(18-児童の年齢)+12年に延長されていることになる。

 児童淫行罪というのは、師弟・親族・契約関係に基く影響関係を利用する行為態様なので、児童淫行罪の成立要件を満たすかどうかがわからない。




https://news.yahoo.co.jp/articles/23e8e16b9624d67ea7f25e9acc718e2a465b729e
2016年当時18歳未満だった女性にビジネスホテルで淫行させた疑い 42歳の男を逮捕 男は容疑を否認 今年7月に女性からの告訴受け警察が捜査
8/19(火) 21:35配信
当時18歳未満だった女性に対し淫行させたとして、19日、男が逮捕されました。
児童福祉法違反の疑いで逮捕されたのは、島根県邑南町のパート従業員の男(42)です。
川本警察署によりますと、男は2016年7月30日午後8時ころから午後9時ころまでの間、岡山県倉敷市のビジネスホテルの客室内で、当時18歳未満だった女性(島根県西部居住・現在20代)に淫行させた疑いです。
今年7月24日、女性から告訴状が提出され、警察が所要の捜査を行い、容疑が固まったとして、8月19日午後6時19分、男を逮捕しました。
調べに対し男は「性行為をしていない」と、容疑を否認しているということです。
警察が引き続き事件の詳しい経緯など調べています。