「平成30年9月及び同年10月にした児童買春等により逮捕され,警察官及び検察官の取調べを受け,本件当時,被告人が述べるようにその起訴状謄本や被告人を罰金70万円に処する旨の同年12月27日付け略式命令の送達を受ける前であったとしても,児童買春の違法性を十分に認識していたはずであるのに,児童の判断能力が未熟であることに付け込んで児童を性的に搾取する本件児童買春行為に及んだものであり,被告人の意思決定は強く非難されるべきである。」という評価になっていますが、量刑としては重くありません。
略式命令後の事件とは違います。
上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官奥野陽子及び弁護人坪井智之(私選)各出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役1年に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,平成30年12月18日午後3時37分頃から同日午後4時05分頃までの間,香川県綾歌郡〈以下省略〉のaホテル209号室において,【被害者】(当時●歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対し,現金3万円の対償を供与して,同児童に自己の陰茎を口淫させるなどの性交類似行為をし,もって児童買春をした。
(証拠の標目)
(法令の適用)
1 罰条 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
2 刑種の選択 懲役刑を選択
3 刑の執行猶予 刑法25条1項
(量刑の理由)
本件は,被告人が,いわゆるラブホテルの客室内で,現金3万円を対償として18歳に満たない女児に自己の陰茎を口淫させる性交類似行為をして児童買春をした事案であり,被告人は,平成30年9月及び同年10月にした児童買春等により逮捕され,警察官及び検察官の取調べを受け,本件当時,被告人が述べるようにその起訴状謄本や被告人を罰金70万円に処する旨の同年12月27日付け略式命令の送達を受ける前であったとしても,児童買春の違法性を十分に認識していたはずであるのに,児童の判断能力が未熟であることに付け込んで児童を性的に搾取する本件児童買春行為に及んだものであり,被告人の意思決定は強く非難されるべきである。
他方,被告人が,本件公訴事実を認め,二度と同様の行為はしない旨述べていること,被告人の父が情状証人として出廷して被告人の監督を約束したこと,弁護人を介して被害者側に示談の申し入れをしていること及び被告人が正式裁判を受けるのは今回が初めてであることなど,有利に酌むべき事情もある(なお,被告人がカウンセリングに通っていることは,その内容に照らして,有利に酌むべき事情とはいえない。)。
したがって,被告人につき,今回は,社会内での更生を図るべく,その刑の執行を猶予することとして,主文のとおり判決する。
(求刑 懲役1年)
高松地方裁判所刑事部
(裁判官 濵優子)