児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

犯人が姿態をとらせた場合はひそかに製造罪は適用されないという大阪高裁R5.1.24を前提にすると、罪名を誤っていると思われる事例(東京地裁R4.8.30等)

https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2023/01/28/224155
 たくさんあって、東京高裁も間違っていると思われます。

 東京地裁R4.8.30の「ひそかに」とされているのは、被告人が児童に姿態を取らせているのが、公訴事実上明らかなので、ひそかに製造罪ではない。

D1-Law
東京地方裁判所
令和04年08月30日
 上記の者に対する強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ被告事件について、当裁判所は、検察官aa及び私選弁護人ab各出席の上審理し、次のとおり判決する。
理由
(本件の秘匿情報等は別紙「呼称一覧」のとおりであり、判決中の表記は別紙の呼称による。)
(罪となるべき事実)
 被告人は、

第4 Dが13歳未満の者であることを知りながら、
 7 前記1ないし6記載の日時場所において、Dに対し、被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影した動画データ4点並びにひそかに被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を動画撮影した動画データ6点を、平成30年12月17日午後5時35分頃から同日午後5時37分頃までの間、東京都(以下略)ae201号室当時の被告人方において、パーソナルコンピューターに接続された外付けハードディスク(令和4年東地領第108号符号1)に記録させて保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、又は他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
第11
 2 前記1記載の日時場所において、Kに対し、ひそかに被告人がKの陰茎を手で触るなどの姿態をデジタル機器で動画撮影し、その頃から同年8月24日午後11時18分頃までの間に、山梨県内、東京都内又はその周辺において、その動画データ2点を同デジタル機器に装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る児童ポルノを製造し、
第15
 3 同年10月23日午後6時46分頃、前記O方において、同人(当時9歳)に対し、ひそかに同人が全裸で四つん這いになり、陰茎が露出した姿態をデジタル機器で動画撮影し、その頃から同月24日午前2時28分頃までの間に、東京都内又はその周辺において、その動画データ1点を同デジタル機器に装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る児童ポルノを製造し、
第16 Pが13歳未満の者であることを知りながら、
 3 前記1及び2記載の日時場所において、Pに対し、被告人がPの陰茎を手で弄ぶなどの姿態をとらせ、これを前記スマートフォンで動画撮影した動画データ1点及びひそかに被告人がPの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を同スマートフォンで動画撮影した動画データ4点を、同月22日午後1時6分頃までの間に、東京都内又はその周辺において、同スマートフォンに装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、又は他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
 4 同年11月7日午後10時25分頃から同日午後10時40分頃までの間、前記P方において、同人(当時6歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、ひそかにPの陰茎を露出させる姿態、被告人がPの陰茎を手で弄ぶなどの姿態及び被告人がPの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を前記スマートフォンで動画撮影し、その動画データ5点を同スマートフォンに装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をするとともに、児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、又は衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
第17
 2 前記1記載の日時場所において、Qに対し、ひそかに被告人がQの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態をデジタル機器で動画撮影し、その頃から同年11月16日午前0時2分頃までの間に、東京都内又はその周辺において、その動画データ1点を同デジタル機器に装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る児童ポルノを製造し、
刑事第1部
 (裁判長裁判官 古玉正紀 裁判官 水越壮夫 裁判官 竹内瑞希


 他に判例DBに収録されているものは東京地裁R2.3.2の判示第2
>>
東京地裁R2.3.2
第2(令和元年10月4日付け追起訴状記載の公訴事実第2関係)
 前記第1の1及び2の日時場所において,2回にわたり,ひそかに,前記児童が被告人と性交する姿態,被告人が同児童の性器等を触る行為に係る同児童の姿態及び同児童が陰部等を露出した姿態を同所に設置した小型カメラで動画撮影し,撮影した動画データを自己が使用するパーソナルコンピュータに接続したUSBメモリ1個(令和元年東地領第4006号符号1)に記録して編集した上で保存し,もってひそかに児童を相手方とする性交に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより児童ポルノを製造し,