着衣の上からでも、性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう)を触ると、2号リベンジポルノになるので、公表罪になる恐れがあります。
俗に「リベンジポルノ罪」と言われますが、リベンジ性は要件になっていないので、盗撮画像の公表にも適用されており、注意が必要です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ce3f0df2c618e0413b9f84cb083e0eac817c8114
中には「痴漢動画を公開することは被害女性のセカンドレイプにあたるのでは」との懸念もあるが、そういった可能性はあるのだろうか。「被害者が痴漢に遭ったことを知られたくない場合、公開の仕方によっては精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求される可能性はあります。被害者の顔にモザイクをかけるなど、個人を特定されないような配慮をした方がトラブルにはなりにくいです」
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
第二条(定義)
この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
第三条(私事性的画像記録提供等)
第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
よくわかるリベンジポルノ防止法 立花書房
「他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」(2条1項2号)とは、どのようなものですか。刑法上の「わいせつ」とどう違うのですか。
1 「他人が人の性器等を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態」とは、
①他人が撮影対象者の性器等を触る行為、又は
②撮影対象者が他人の性器等を触る行為
に係る「人」すなわち撮影対象者の「姿態」のことをいいます。
なお、「性器等」とは、児童ポルノ禁止法と同じく、性器、肛門又は乳首のことをいいます(同法2条2項参照)。
2 ただし、2条1項2号の「人の姿態」は、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」でなければなりません。
この「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件は、児童ポルノ禁止法にもみられる要件であり(同法2条3項2号)、刑法のわいせつ物頒布等の罪(刑法175条)における「わいせつ」に必ずしも該当しないものも含んでいます。
すなわち、わいせつ物頒布等の罪における「わいせつ」については、判例上「いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的蓋恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」と解されていますが、リベンジポルノ防止法では、「性欲を興奮又は刺激するもの」であることのみを要件としています。
これは、わいせつ物頒布等の罪が、国内における性的秩序・道徳・風俗という社会的法益を保護法益とするのに対し、本法は、私事性的画像記録の流通自体が、個人の性的名誉及び性的プライバシーに対する重大な侵害行為であることに着目した規制であることから、刑法の「わいせつ」概念よりも広く「性欲を興奮させ又は刺激する」との要件で足りることとしたものです。
3 「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件は、具体的事案に即して一般人を基準として判断されます。したがって、上記①.②に述べた人の姿態であることが視覚により認識することができる画像のデータ等の記録であれば、性器等自体が直接撮影されていないもの、又はその部分にぼかしが施されているものでも、私事性的画像記録に当たり得ます。・・・・・・・・・・・・・
公表罪(3条1項、2項)の要件である「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」とはどのような意味ですか。
1 公表罪は、「第三者が撮影対象者を特定することができる方法」(「第三者特定性」要件)で行われた場合にのみ成立します。本罪の保護法益である性的プライバシーは、撮影対象者や撮影者等の当事者以外の第三者に公表される場合に重大な侵害が認められる一方で、第三者がみて、誰の性的画像記録であるか分からない場合には、性的プライバシーの侵害の程度は格段に小さいと考えられるため、刑事罰の対象とはしないこととしたものです。
2 「第三者」とは、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者をいいます(2条’項)。
3 「特定することができる方法」とは、撮影対象者の容貌や身体的特徴、背景として写っている部屋の状況など、公表された画像自体から撮影対象者を特定することができる場合のほか、画像公表の際に撮影対象者を特定する文言を添える方法も含まれます。
4 この第三者特定性の要件は、広く一般人にとって、撮影対象者が誰か特定可能であることを要求する趣旨ではなく、一定の範囲の第三者、例えば撮影対象者の配偶者・家族、友人など撮影対象者に近い者だけが撮影対象者を特定することができる場合も含まれます。身近な人に対する関係でも個人の性的プライバシーは保護されなければならないからです(ただし、犯罪成立のためには、別に「公表」その他の要件を満たす必要があります。)。