児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制性交等(口腔性交)の事案の量刑に当り,改正前の強姦罪の量刑傾向を参酌した原判決を是認した事例(東京高裁H31.2.1)

 刑法改正前の口淫させる強制わいせつ罪の量刑は、手持ちの資料では実刑69:執行猶予46でしたが、改正後は強制口腔性交罪となったので5年以上の懲役(実刑)になります。
 強姦罪1罪だと、改正前は実刑188:執行猶予38だったので、まあ、実刑だったので、改正後も実刑なので、そう変わらないんですが、口腔性交行為の量刑が跳ね上がった感じです。

第一七六条(強制わいせつ)
 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第一七七条(強制性交等)
 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

速報番号3667号
強制性交等
東京高等裁判所平成3 1年2月1日
強制性交等(口腔性交)の事案の量刑に当り,改正前の強姦罪の量刑傾向を参酌した原判決を是認した事例,

裁判要旨
口腔性交も腟内性交も濃密な性的接触を強いられることによる性的自由(性的自己決定)の侵害性,悪質性においては同等であることから、これらを同じ強制性交等罪の行為類型とした平成29年の刑法の一部改正の趣旨に鑑み,本件(口腔性交)において,同改正前の強姦罪の量刑傾向を参酌し,行為責任の重さは,それらの中で典型的な事案と同程度と位置付けた原判決の量刑判断は不合理であるとはいえない。