児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「プライバシー部分を除く」としてされた刑事確定訴訟記録法に基づく判決書の閲覧請求を全部不許可とした保管検察官の処分及び準抗告棄却決定が取り消された事例(最決H24.6.28)

 法文は原則公開なんですが、運用は原則非公開です。
 裁判所にやらせればいいのに。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120702104205.pdf
しかしながら,本件で申立人が閲覧請求をしている刑事確定訴訟記録である第1審判決書は,国家刑罰権の行使に関して裁判所の判断を示した重要な記録として,裁判の公正担保の目的との関係においても一般の閲覧に供する必要性が高いとされている記録であるから,その全部の閲覧を申立人に許可した場合には,Cらとの間の民事裁判において,その内容が明らかにされるおそれがあり,法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に当たる可能性がないではないが,そのような場合であっても,判決書の一般の閲覧に供する必要性の高さに鑑みると,その全部の閲覧を不許可とすべきではない。本件では,申立人が「プライバシー部分を除く」範囲での本件判決書の閲覧請求をしていたのであるから,保管検察官において,申立人に対して釈明を求めてその限定の趣旨を確認した上,閲覧の範囲を検討していたとすれば,法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由には当たらない方法を講じつつ,閲覧を許可することができたはずであり,保管検察官において,そのような検討をし,できる限り閲覧を許可することが,法の趣旨に適うものと解される。
以上によれば,本件判決書の閲覧請求について,「プライバシー部分を除く」として請求がされていたにもかかわらず,その趣旨を申立人に確認することなく,閲覧の範囲を検討しないまま,民事裁判においてその内容が明らかにされるおそれがあるというだけの理由で法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に該当するとして本件判決書全部の閲覧を不許可とした保管検察官の処分には,同条項の解釈適用を誤った違法があると言わざるを得ない。そうすると,これをそのまま是認して準抗告を棄却した原決定にも,決定に影響を及ぼすべき法令違反があり,これらを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。本件については,保管検察官において,「プライバシー部分を除く」との趣旨につき申立人に確認した上,法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に当たらない範囲での閲覧について改めて検討すべきである。
よって,法8条2項,刑訴法411条1号,434条,426条2項により,原決定を取り消した上,更に本件不許可処分を取り消すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大谷剛彦 裁判官 田原睦夫 裁判官 岡部喜代子 裁判官 寺田逸郎 裁判官 大橋正春)