主犯の2名の公判前整理手続では、性的意図ない場合のわいせつの定義を争点にしてください。「わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。(最判昭26・5・10刑集5-6-1026)」だと、性欲の要件が入っちゃってるから。
「性的意図ない」強制わいせつ罪 徳島県内で初適用
2018.07.16 徳島新聞
男女4人が起訴された徳島市の女性監禁事件で、性的意図のないわいせつ行為に対する強制わいせつ罪が県内で初めて適用され、うち男女2人に12日、実刑判決が言い渡された。従来なら傷害や暴行罪にとどまった可能性もあるが、性犯罪の厳罰化の流れをくんだ47年ぶりの判例変更を受け、法定刑のより重い罪名で裁かれた。主犯格の男女は裁判員裁判の対象で、争点を絞り込む公判前整理手続きが進められている。捜査関係者によると、事件では主犯格の被告(26)==が見知らぬ女性を風俗店で働かせて金を得ようと計画。夫の被告(34)=同所=の会員制交流サイト(SNS)に偶然連絡してきた女性を狙った。両被告は1月、被害女性を徳島市内の自宅マンションに監禁し、知人の被告(27)ら男女2人=強制わいせつ罪などで実刑判決=と性的暴行を加えたとされる。
公判によると、被告は調べに対し性的暴行の動機を「暇つぶしだった」と供述したという。捜査幹部は「被害女性をいたぶって楽しんでいた。性欲を満たす目的はなくても悪質だ」と指摘する。県警は逮捕時から、被告ら女2人にも強制わいせつ致傷や強制わいせつ容疑を適用した。従来の判例では「自らの性欲を満足させる意図がなければ、強制わいせつ罪は成立しない」とされていた。県警幹部は「被告らの供述通りに罪を適用すれば、以前ならより法定刑の軽い暴行か傷害罪しかなかっただろう」と明かす。
判例変更は昨年11月、甲府市の男が少女の体を触り裸を撮影した強制わいせつ事件に対する最高裁判決で行われた。男は「知人に頼まれた」と性的意図を否定し、強制わいせつ罪が成立しないと主張したが、最高裁は「性犯罪は国民意識の変化で処罰が必要な行為の範囲が変わる。性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当ではない」と退けた。
強姦罪の名称を強制性交罪に改め、法定刑を引き上げた刑法改正など、近年、性犯罪に対する厳罰化の流れがある。これを受けての判例変更とみられ、女性監禁事件での県警や地検の捜査姿勢にもつながった。