児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

量刑を誤った判決を検事が放置 広島

 処断刑期の幅をキチンと求めないで目分量で量刑するとこうなります。強盗既遂が5年以上だというのは常識なので、2年4月という半端な刑期が出ると違和感があります。
 窃盗につき懲役刑を選択すると、処断刑期の上限は30年、下限は5年になります。酌量減軽して下限は2年6月まで下げられます。懲役2年4月だと違法で、法令適用の誤りになります。
 検察官控訴すれば是正できたんですが、不利益方向には再審はできないし、非常上告しても不利益変更ができないので主文は直りません。
 確定判決を見ていると、裁判所が処断刑期を間違うことはよくあります

刑法
第235条(窃盗) 
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第236条(強盗)
1暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
第47条(有期の懲役及び禁錮の加重)
併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
※本条によって併合罪の加重をした場合の刑の短期は、併合罪中短期の最も長い罪の刑によるべきである。(東京高判昭35・4・19高刑集13-3-255)

刑事訴訟法
第435条〔再審請求の理由〕 
再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる
第458条〔破棄の判決〕
非常上告が理由のあるときは、左の区別に従い、判決をしなければならない。
一 原判決が法令に違反したときは、その違反した部分を破棄する。但し、原判決が被告人のため不利益であるときは、これを破棄して、被告事件について更に判決をする。
二 訴訟手続が法令に違反したときは、その違反した手続を破棄する。
第459条〔破棄判決の効力〕
非常上告の判決は、前条第一号但書の規定によりされたものを除いては、その効力を被告人に及ぼさない。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140919/k10014736971000.html
ことし2月、広島地方裁判所で、強盗と盗みの罪に問われた元被告に対し、法律に基づいた刑の重さを2か月下回る懲役2年4か月、執行猶予4年の誤った判決が言い渡されました。
検察庁や裁判所によりますと、直後に誤りに気付いた裁判官が、裁判を担当した当時の広島地検の検察官に連絡しましたが、この検察官は、相談した先輩の検察官から控訴しないよう促されたことから、上司に報告するなど適切な対応をしないまま控訴せずに、誤った判決が確定したということです。
検察庁によりますと、担当の検察官は「先輩から上司に報告しなくてよいと制止された」などと話していて、先輩の検察官は「判決が下限を下回っているので被告には、不利益にならず、実刑ではないので控訴する必要はないと思った」などと話しているということです。
法務省は、先輩の検察官を戒告の懲戒処分にしたほか、検察庁は裁判を担当した検察官を訓告の処分にしました。
広島地方検察庁の高橋久志次席検事は「誠に遺憾で指導を徹底し、再発防止に努めたい」と話しています。
また、広島地方裁判所の大段亨所長は「不適法な内容の判決がなされたことは誠に遺憾で、再発防止に努めたい」と話しています。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014091901001631.html
 広島地検は同日、関係した検察官3人の処分を発表した。先輩の検察官が戒告の懲戒処分、担当検察官は訓告、公判部長は厳重注意。地裁も裁判官の処分を検討している。

 地検や地裁によると、裁判では強盗と窃盗の罪に問われた被告に、情状酌量などを考慮した刑の下限を2カ月下回る懲役2年4月、執行猶予4年の判決が言い渡された。

http://getnews.jp/archives/670099
地検によると、問題の判決は今年2月、広島地裁であった。執行猶予付きの判決だったが、年数が情状酌量などを加味した刑の下限を、数カ月下回っていた。

 判決に立ち会った検察官は後日、裁判官から違法判決だったとの報告を受け、上司の検察官に相談。この検察官は控訴の必要はないと判断したため、翌月、違法判決が確定した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140919-00000129-mai-soci
地裁は担当の上岡哲生(かみおか・てつお)判事(47)を口頭で注意。地検は担当検事を訓告とし、先輩検事を戒告の懲戒処分とした。2検事の名前は明かしていない。
 地裁と地検によると、上岡判事は強盗などの罪に問われた男に懲役2年4月、執行猶予4年を宣告。しかし、刑法は情状酌量による懲役刑の減軽について、最も短い刑の更に2分の1(この事件では2年6月)までと定めており、判決はこれを2カ月下回っていた。
 先輩検事は違法判決の認識があったといい、地検の高橋久志次席検事は「このような行為に及んだことは誠に遺憾」と述べた。地裁の大段亨(おおだんとおる)所長も「不適法な判決がなされたことは誠に遺憾」とのコメントを出した
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