刑法の法文をみればわかりますが、「暴行又は脅迫を用いて」が強姦罪ですから、承諾がなかったとしても、暴行又は脅迫がなければ強姦罪にはなりません。
親子間でも暴行脅迫による姦淫が強姦罪となることはありますが、実際上、親子関係の場合は、児童虐待共通の問題として、断ったら家にいられなくなるなどの理由で抵抗できず(表面上は渋々承諾したようにみえる)姦淫されることが多いので、強姦罪は稀です。
「父親との性行為を同意する子供はまずいませんから,真摯な同意がなかったと判断され,父親には強姦罪が成立する」「実の父と性行為を行う合理的な理由がある状況は非常に考えにくいので,特段の事情がない限り強姦罪が成立する」ということはありません。真摯な承諾がない姦淫=強姦罪だと誤解しているものと思われます。
近親者間で長年にわたり性的虐待を続け、被害者に生じた畏怖心、無力感及び絶望感を利用する場合(裁判例コンメンタール刑法)は準強姦罪になることもありますが、ファーストチョイスは児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)です。
児童淫行罪には児童に対し事実上の影響力を及ぼして淫行するよう働き掛け,その結果児童をして淫行するに至らせたことが必要ですが、親族関係・師弟関係であれば比較的容易に認定されます。量刑も強姦罪と比べて遜色ありませんので、無理に強姦罪で起訴することもありません。親告罪ではありません。
刑法
第177条(強姦)
暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
第178条(準強制わいせつ及び準強姦)
1人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。
・・・児童福祉法
第34条〔禁止行為〕
1 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫行をさせる行為第60条
1 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
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Q 2014年08月13日 21時00分
父親と14歳娘との性交
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A Y弁護士の回答 2014年08月14日 19時31分
女性の同意が真摯なものであったかが問題となります。
常識的に考えれば,父親との性行為を同意する子供はまずいませんから,真摯な同意がなかったと判断され,父親には強姦罪が成立するでしょう。
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A Y弁護士の回答 2014年08月15日 17時23分
20歳以上ともなれば話は別でしょうが,ただ,実の父と性行為を行う合理的な理由がある状況は非常に考えにくいので,特段の事情がない限り強姦罪が成立するものと思われます。