児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

警察の送致意見

 ドットコムの回答には警察の心証は検察官の処分に影響しないという回答もありますが、軽微な事件ほど、警察からの送致記録に依拠した処分になるので、警察の心証が影響します。

新 事件送致書記載要領
はしがき
事件送致(付)書は、いわゆる警察捜査の結果を集約するものであり、その後の捜査・処理の指針をなしていくものでもある。検察官にとっては、事件送致(付)書の出来が、捜査担当警察官の能力、捜査姿勢、熱意などを測る目安ともなる。
しかし、日々生起する大量の事件の捜査に追われながら短日時のうちに事件記録を整理、検討した上、適切に事件送致(付)書を作成して、事件を送致(付)することは容易ではない。送致の前提となる捜査には、関係者の取調べ、証拠物の押収、被疑者の身柄確保など種々のものがあり、その方法も任意捜査もあれば強制捜査もある。 これらの捜査を的確に遂げ、捜査結果を事件記録として整理し、一応の処理見通し(意見)をつけてから検察官に事件送致(付)することは、困難な任務である。
本書は、そのように困難な任務を有する司法警察員に対する指導書となることを期待して、企画されたものであり、その企画の趣旨にのっとり、事件送致(付)書の意義・効果、送致舎の記載要領、犯罪事実の記載要領、犯罪の情状等に関する意見の記載要領、その他多くの記載例を登載して、実務上の観点から分かりやすく詳しい説明をしたものである。
そして、近時、社会の変化及び司法制度改革に伴い、新規立法、法律改正が頻繁に行われていることから、この度の改訂においては、本書の新版が発行された平成12年10月以降の新規立法や法律改正などを踏まえて、記載例の多くを最新の法令に沿って改めた。
なお、平成21年5月21日から裁判員制度が始まっており、国民の司法参加が現実のものとなっている。 いわゆるプロである捜査機関と法曹三者が行っていた司法手続(裁判)に素人の一般市民が参加することになったのである。したがって、捜査も一般市民から議離したものではあり得ないという意味で、従来とは異なる取り扱いが出てくるものと思われる。現在のところ、事件送致(付)書に関して格別の変化はみられないが、今後の変化に応じて補完したい。
 本書が、第一線で活躍する捜査官にとって、執務上のよき伴侶となり、よりよい捜査書類の作成と捜査活動の効率化、合理化のために寄与することができれば幸いである。
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p196
2 犯罪の情状等に関する意見
被疑者は、単身アパートに居住し、飲食店で稼働している。強制わいせつの前科l犯のほか窃盗(色情盗)の前歴l回を有している。
本件は、ゲームセンターでいわゆるナンパした女子高校生に対し、その思慮浅薄に乗じて現金を支払う旨約束してホテルに連れ込み、性交に及んだものであり、未成年者の健全な生育を害する誠に不届きな行為であって、近時の性風俗の乱れの一因ともなっている。にもかかわらず、被疑者は、年齢の知情性を否認しており、全く反省の態度が見られないので、当署に勾留の上、厳重処分願いたい。
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p197
2 犯罪の情状等に関する意見
被疑者は、前科前歴なく、イラストレーターとして稼働しながら、単身マンションで暮らしている者である。
本件は、被疑者のいわゆるファンであった被害児童が中学生であることを知りながら、口淫等に及んだあげく、その様子を携帯電話のカメラで撮影し、これをSDカードに保存したという事案である。
被害者は、「相手が中学生であるとは知らなかった。」旨年齢の知情性につき暖味な供述をしているが、被害者の供述及び電子メールの内容によれば被害者が14歳であることを認識していたことは明らかであり、精神的に未熟な中学生に対し、自己の作品のファンであったことにつけ込んで口淫等を行わせたことは、極めて卑劣かっ悪質であり、厳重処分願いたい。