児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

長野県の青少年条例の検討状況

 青少年条例がないから児童福祉法が積極適用されているという状況はありませんよ。適用範囲が違いますので。

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みだらな行為:疑いで教諭逮捕 知事「条例で規制せず」 新たな制定否定 /長野
毎日新聞 4月4日(水)12時32分配信
 東御市立東部中の男性教諭(35)が3月、少女にみだらな行為をしたとして市青少年健全育成条例違反容疑で逮捕された問題で、阿部守一知事は3日、定例記者会見で「あってはならないこと」と述べた上で全国で唯一、県に同様の条例がないことについて「条例の規制で対応するのではない(子供の)保護をしようとやってきた。その方向性で取り組むことが必要だ」と新たな制定を否定した。
 事件で教諭は、当時交際していた元教え子の女子高校生(当時16歳)に、みだらな行為をしたとして逮捕された。長野県には18歳未満の子供とのみだらな行為を禁じる条例がなく、東御市のみが制定していた。県次世代サポート課は「児童買春・ポルノ禁止法(対象18歳未満)や児童福祉法(同)に基づく規制はあり、処罰されないことを県が推奨しているわけではない」と説明した。
 県によると、制定しない理由について県は92年、当時の社会部長が県議会で「家庭のしつけなどを通じて性に対する正しい認識を養成すべきだ」と答弁した。

平成 9年 6月定例会本会議−06月24日-02号
◎警察本部長(瀬川勝久 君)少年非行とテレホンクラブについてのお尋ねにお答えいたします。
 まず、テレホンクラブの実態と問題点及び被害の実態ということでございます。
 県内におけるテレホンクラブは、昭和61年10月に初めて個室型が設置されて以来年々増加しておりまして、本年5月末現在で、先ほど知事の答弁にありましたように、個室型及びツーショット型合わせて30カ所の営業所があります。ツーショット型を利用するためのプリペイドカード自動販売機は、平成5年に24台が初めて確認されて以降急激に増加しておりまして、現在、146カ所に設置されているのを確認しております。
 この営業をめぐる問題点ということでありますが、学校などの近くに営業所やカード自動販売機が設置されたり、駅頭や繁華街などで宣伝チラシを受け取れる状況にあり、加えてフリーダイヤルであるということで、女子中学生・高校生が安易かつ興味本位で利用し、少女みずからが金欲しさから援助交際と称して売春行為をしているというような点がございます。また、デートや売春という弱みにつけ込まれて、あるいは写真を撮られたりして、それをネタに恐喝や脅迫などの被害に遭っているという事案も発生しております。さらに、被害に遭うというだけではなくて、援助交際をするということで男を呼び出して金だけ巻き上げてしまうなど、加害者にもなっているといった事案が発生しておりまして、少年の健全育成上極めて憂慮すべき営業システムであると認識しております。
 次に、テレクラにかかわる被害実態ということでありますが、全国的に見ますと平成8年中にテレクラに関連して1,480人が検挙されておりまして、そのほとんどが青少年保護育成条例のいわゆる淫行規定違反であります。
 本県におきましては、あらゆる法令を活用し、テレクラに関連した事件を、昨年は5件8名、本年は5月末現在で既に4件12名を検挙しておりますほか、テレクラを利用して売春行為を繰り返していた女子高校生ら8名を補導しております。
 次に、他府県におけるテレクラ営業の規制状況と効果ということでございます。
 既に、本県を除く46の都道府県において、青少年保護育成条例を改正したり、あるいは別個にテレクラ規制条例を制定しているところであります。
 条例によるテレクラ営業の規制内容といたしましては、テレクラ営業の禁止区域の設定、自動販売機の設置の制限や広告の禁止、営業者の青少年に対する禁止行為などであります。
 条例を制定した府県においては、チラシ等の広告宣伝や街頭の自動販売機がなくなるなど、少年のテレクラへのアクセス遮断や有害環境の排除に効果を上げているというふうに聞いております。
 次に、テレホンクラブ規制条例の制定の可否についてということでありますが、青少年の健全育成に実効ある対応をしていくためには、常に有害環境の実態を見きわめ、必要に応じて新たな観点からの対策を検討していかなければならないものと考えております。
 テレクラ営業規制の問題は、清浄な風俗環境を保持するため、業としてのテレクラ営業そのものを規制するものでありますので、青少年保護育成条例とは性格を異にするものであり、別個の問題として検討すべきものではないかというふうに考えております。
 現段階におきます警察の立場といたしましては、今後とも、県、学校当局、県民の皆さんと協力いたしまして、少年の非行防止並びに健全育成のための諸活動を推進するとともに、あらゆる法令を活用して少年の福祉を害する犯罪の取り締まりを徹底してまいる所存であります。
 いずれにいたしましても、テレクラ規制条例の可否につきましては、広い視野から県民のコンセンサスを得ながら検討されていくべきものと考えております。
      〔35番佐藤良男君登壇〕

平成 9年 9月定例会本会議−10月03日-02号
◆40番(小林忠司 君)おはようございます。昨日と打って変わって大変いい秋晴れの日でございます。私は、くじでイの一番に当たりました。よろしくお願いいたします。
 1876年3月、アメリカ人グラハム・ベルは実用的電話機を発明いたしました。これにより、我々人類は画期的発展を遂げたわけであります。我が国にもいち早く、発明の翌年、つまり1877年に輸入されております。
 このように人々のため苦難を重ねて発明されました電話が、今や、日本の各地各所で、テレホンクラブの名のもとに未来ある少年をむしばみ、非行に走らせております。恐らくグラハム・ベルは、事志と違ったことに驚き、地下で泣いていることと思うわけでございます。
 さて、一昨日10月1日、県民待望の新幹線は、歓呼の声の中、風のごとく発車、同時にしなの鉄道もしなやかに発車いたしました。「しなの」なる名を冠したこの鉄道の発展に期待するところ大でございます。
 10月16日、高速道は県境を越えまして中郷に達します。高速延長全国第3位となりました。
 私たちが愛する故郷の山河も、オリンピック・パラリンピックを前にして、ハード面は順調に整いつつあります。
 これからなすべきこと、我が県政会において大いに論じ合った重要なことごとは教育、福祉、環境などでありますが、それに先駆けまして21世紀を担う青少年の健全育成であります。
 最近、甚だ寒心にたえないことは、県下では刑法犯少年が3年ぶりに増加し、少子化傾向の中で刑法犯少年の人口比が過去5年間で最高の6.7を示しております。そして、全体の刑法犯に占める少年の割合も54%で依然として成人を上回っており、残念なことではございますが、我が長野県が全国平均より高いという実態でございます。
 その中でも、覚せい剤乱用は人をむしばむ恐るべきものと思いますが、次第に増加の傾向にあります。全国では特に高校生の乱用が激増している事実は、注目すべきことと思います。遊び感覚で安易に手を出し、暴力団に関係し、どん底へはまり込むということでありましょうか。
 また、近年、先ほど冒頭で申し上げましたテレホンクラブにかかわる青少年のわいせつ行為等性的被害を受ける事件が急増し、これもまた大きな社会問題となっております。
 私は、このごろ死んだ横井さんではありませんが、恥ずかしながら、この現実を世論を調査して把握すべく、多くの人々に聞いて回りました。「おまえ、一体何を聞くんだ」なんて言われた中で聞いたわけでございますが、その結果、テレホンクラブはほとんどの人が知っておりました。また、意外にも、援助交際も同じく男女を問わず皆知っておりました。
 「テレクラの利用で非行に走る少年を守るのは」との私の問いかけに対しまして、「学校教育」「家庭教育」「地域住民の力」など納得のいく適切な答えが返ってまいりました中で、条例をつくって規制すべしと考えている人が大変多いことでございました。
 テレホンクラブの営業は、御承知のとおり、個室型方式、ツーショット方式、伝言ダイヤル方式がありますが、平成6年テレクラ関連事件を検挙以来、年々増加の傾向にあります。悪いことにかけてはすごく頭のいいのがおるわけでございまして、援助交際なる言葉を編み出し、もとをただせば単なる売春や買春が、援助交際なる美名のもと、愉快な気分で気軽にテレホンクラブを利用しておるような実態でございます。
 これに対し、本県には淫行などいわゆる売春・買春を直接取り締まる根拠がないことから、警察でも、児童福祉法あるいは売春防止法その他あらゆる関連法規を動員いたしまして、この種の犯罪に網をかけ取り締まっておる実情でございますが、やはり心細いことでございます。
 ごく最近の県民新聞でも、「増え続ける少年非行の温床 ツーショットカード自販機 問われる「国際都市NAGANO」」なるショッキングな記事が載っておりました。
 従来からの県議会の質問の中で育成条例制定に触れておるものが多くありますが、私は個人的には育成条例はなくともよいと思っております。これが本県の誇りであり、法律や条例で育成を図るより、啓発運動、自主規制、住民運動の3本柱でいくべきと思っております。しかしながら、買春につきましては何らかの対策が必要と思っております。
 さきに述べましたテレホンクラブについては、現状での増加傾向、県外業者の県内流入を見るにつけ、私は住民運動等の活動のほか何らかの規制をすべきと考えますが、この点、まず知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
 続いて、今後、地域社会がどういったことに配慮して非行防止に取り組んでいったらよいか、少年非行の実態を踏まえて警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 そしてまた、テレホンクラブが女子中学生の売春、いわゆる援助交際の接点となり、先日も飯田地方の中学生がテレホンクラブで知り合った男性から売春の代償として覚せい剤を入手して使用していたとの事件が報道されましたが、他府県では、青少年保護育成条例などで少女の性を買う行為を禁止し、その接点となっておりますテレホンクラブの営業を規制しているが、この両方の条例のない我が長野県の現状はどうなのか、テレホンクラブに係る少年被害の実態と対応につきましてお伺いいたします。
 さらにまた、本県の少年を含めた覚せい剤の実態と乱用防止に向けての対応もお伺いいたしたいと思います。
 最後に教育長に、教育の現場ではテレホンクラブ援助交際についてどのような教育が行われているか、お伺いいたします。
 次に、これも大変重要なことですが、少子化について質問をいたします。
 今年1月の推計によりますと、総人口は2007年をピークとして減少を続け、2050年には1億50万人となる見通しでございます。これは、平成4年9月推計では2050年には1億1,151万人の見通しであったものを、さらに人口減の加速により訂正したものでございます。
 平成4年11月に、「少子社会の到来、その影響と対応」と題する国民生活白書経済企画庁より公表されております。これより以後、少子化という言葉は、あたかも市民権を得たごとく社会一般に使われております。
 実は、皆さんも御記憶だと思いますが、私はそれより早く、出生率の減少を憂え、4年3月、少子化の言葉をたっぷり使い県議会において質問をいたし、少子化の抑制、少子化からの脱却を強く訴えております。
 このたびの質問は、幾ら笛吹けど踊らぬ現状に強い危機感を持って重ねて質問するものであります。
 昭和50年度から傾向的に低下してきた我が国の出生率は、平成3年には1.53となり、人口維持可能な2.08を大幅に下回っております。長野県におきましても、近年の出生率は第2次ベビーブームの昭和49年をピークとして一途に減少傾向を強め、平成5年の出生数は2万624人で戦後最低を記録し、平成6年の合計特殊出生率は1.71で、こちらも人口維持の2.08を大きく下回っております。そして、国の出生率はさらに低下して、平成8年にはついに1.43と史上最低のレベルまで落下し、この状態が続けば21世紀末には我が国の人口は7,000万人を割ることとなると予想されております。
 経済企画庁でも国民生活選好度調査を行った結果、親が理想と考えている子供数、数字の上では2.5人、つまり3人ぐらいは持ちたいけれども、希望どおりには持てないという現実が明らかにされております。また、結婚につきましても、多くの男女が結婚を希望しておりますが、希望しつつも先延ばしになっていることも判明いたしております。本県につきましてもおおむね同じであります。
 したがいまして、国民や県民の意向が最大限に現実化されるために、少子化問題を大きく提起し、国民的・県民的関心のもと、一大運動を起こす必要を痛感するところであります。
 子供を産めない、産まない、その背景にあるものといたしまして、子育て環境が不十分などの経済的要因や社会的要因がふくそうして存在いたしております。
 ノーベル経済学賞を受賞しましたシカゴ大学のベッカー教授は、結婚、出生、家族、教育などの人間行動を経済学的手法として解明した中で、出生については、子供を耐久消費財に準じて考え、夫婦は、その所得と子供の育児・教育費用を考えながら、子供を持つ喜び、つまり効用でございますが、この効用との比較において決定するということで、女性の高学歴化や高賃金化が進行する中で、子供を育てる時間の機会費用が増大しており、子育ての利益が一般的に減少していると見ております。
 このような経済的分析も参考にはなりますが、これだけでまた多くを解明できるとは私は思っておりません。さらに社会的要因を究明する必要があるわけであります。
 有配偶女子の出生率の低下には、老後の子供に依存することの低下、仕事と家事・育児の両立の困難性、教育費の増大、狭い住宅などの影響が考えられるわけであります。
 また、甚だ残念なことではありますが、欧米諸国では子供を育てるのが楽しいと思っている母親が多いのに、日本では甚だ少ないという事実でございます。欧米諸国7に対し日本は2ということであります。なぜ、楽しいと思う女性の比率が低いのでありましょうか。多くの論評は、育児における女性の負担が重過ぎる点にあります。かくして少子化はあらゆる方面に影響いたしまして、家庭、地域、教育、産業、経済、社会活力などに及んでおるわけであります。
 私は、少子化に対応していくためには、安心して楽しく子供を産み育てられる環境づくりが最重要課題と思っております。高齢者の場合のように、例えば子供が生まれたときに知事とか市町村長がお祝いに訪れる。これはやっておりませんが、とても大事なことだと思う。お年寄りもいいが、子供が3人とか5人も生まれたら知事さんがお祝いに訪れるとか、第一子50万円、第二子100万円、第三子300万円の祝い金を差し上げるとか、あるいは第二子からは国や県や市町村の負担において幼稚園・保育園の費用を半額にし、第三子からは無料にし、学校教育においてもこの考えを取り入れていくとか、いろいろと思い切った発想ができるわけであります。住宅優遇とか、地域の人々、特に区とか隣組の人々のこぞっての温かい祝福も必要でありましょう。
 そこで社会部長にお伺いいたします。
 こうした急激な少子化の進行により社会全体に対する大きな影響が予想される中で、厚生省においては、今後の子育て支援のための施策の基本的方向についてエンゼルプランとして策定し、子育て支援施策を重点的に推進しております。県においても、長野県中期総合計画において数値目標を掲げて推進しているところありますが、その現況はどうなっておりますか。
 また、家庭や地域を取り巻く環境の変化を踏まえ、児童家庭福祉制度を再構築し子育てしやすい環境の整備を図るとともに、次代を担う児童の健全育成を支援するため児童福祉法の一部改正が行われ、来年から施行されることになっておりますが、今回の改正は少子化問題にどのように対応しているのでありましょうか。
 社会部長には、私のさっきの積極的提言を踏まえながら御答弁をお願いいたしたいと思います。
 以上におきまして第1回の質問を終わります。
      〔知事吉村午良君登壇〕

◎知事(吉村午良 君)少年の非行防止、とりわけテレホンクラブ等による非行の問題について御質問があったわけでございますけれども、お話がございましたように、青少年の非行が増加傾向にあるということは大変遺憾でございまして、この対策は極めて重要であるというふうに考えております。特に、お話がございましたテレホンクラブ等が大変ふえてまいりまして、それによる非行が深刻化するということも否めない事実であると、このように考えております。
 本県のテレホンクラブ等の営業所数でございますけれども、個室型とツーショットダイヤル型というのがあるわけでございますが、個室型は13カ所、これは平成4年以来現在まで数はふえておりません。ただ、個室型よりもツーショット型の方が利用しやすいということでございますか、平成5年に2カ所であったものが現在は19カ所ということで、大変ふえております。
 ただ、人口10万人当たりの営業所数ということで見ますと長野県は43位ということですから、規制条例がないということだけで営業所数が多い少ないということは論じられないと、このように思っております。
 しかし、今お話がございましたようなさまざまな悲惨な事件がございますので、これらの対策は一層重要であるというふうに考えております。
 従来から県としては、青少年育成県民会議、これは民間の人を含めた会議でございますが、また、庁内では青少年対策本部をつくりまして、住民運動により青少年対策をするということで進めておるわけでございます。
 県といたしましても、その中で、テレホンクラブによるいろいろな被害が起きないようにということで「テレクラ3ない運動」というものを展開いたしておりまして、テレクラを利用しない、青少年にテレクラへ立ち入らせない、利用カード自動販売機を設置しない、こういう運動を行っておるわけでございます。昨年は、そういう運動の経過もありまして、自動販売機32台が住民運動により撤去されたということもございます。
 そういうことで、やはり住民運動というものが非常に効果的であり、また、住民それぞれが自分自身の問題としてこれに取り組むという姿勢ができるという意味で非常に効果的であるというふうに思っておりますので、これからもこういった住民運動を基礎にいたしまして青少年の非行防止に取り組んでいきたいと、このように考えております。
 特に、教育の問題もございますので、教育の充実とか広報啓発活動を一層積極的に推進しまして、テレホンクラブ等による非行がふえないように県としても大いに努力していきたいと、このように考えております。
      〔警察本部長瀬川勝久君登壇〕

◎警察本部長(瀬川勝久 君)まず、地域社会における非行防止活動という点についてお答えをいたします。
 最近の少年非行は、議員御指摘のとおり、少子化の進展による少年人口の減少傾向が続く中にもかかわらず、質・量ともに極めて深刻な状況にあります。本年上半期における長野県内の非行実態を見てみましても、刑法犯で検挙した犯罪少年が過去5年間で最高を記録しております。中でも、初発型非行といわれる万引きが急増しているほか、暴行、傷害、恐喝といった粗暴犯、あるいは覚せい剤の乱用少年、テレクラ関連事案が増加しております。また、飲酒、喫煙等の不良行為で補導された少年もほぼ倍増しているというのが特徴であります。
 これらの非行実態を踏まえ、地域において非行防止活動に取り組む場合に考えなければいけない点としては、一つには、少年自身に罪を犯したという意識や反省心というものが非常に薄く、親にも、罪に対する認識の低さ、場合によっては親としての責任を放棄しているのではないかといわざるを得ないようなケースが目立っているわけであります。そのことが少年非行の質・量ともに大変な悪化という重大な結果を招いているといわざるを得ないわけでありまして、悪いことは悪いということをしっかり教えて、少年の規範意識を高めるということが重要ではないかと思います。
 二つ目には、少年がグループを形成して非行を犯すという集団化の傾向が認められます。補導活動等を通じまして、こういった不良グループをつくらせない活動、あるいは不良グループを解体するための活動が大事ではないかと、こう思います。
 三つ目には、少年にとって有害な環境や情報がはんらんしている社会になってまいりました。非行を犯す少年たちがこれらの有害環境に大きな影響を受けているということも事実であり、少年に悪い影響を及ぼすこういった環境を浄化していくことが重要であろうと、こう思います。
 こういった点に重点を置きまして、やはり何と申し上げましても、家庭、学校、地域社会が一丸となって、いわば社会全体の問題として取り組むということが極めて重要ではないかと、こう思います。警察も含めた相互の連携をさらに強化いたしまして非行防止活動を展開していくことが必要であろうと考えております。
 それから、2点目のテレクラ関連の御質問でございます。
 まず一つは、他府県との比較におきましてテレクラ規制の現状というお尋ねであったかと思いますが、本県では、御指摘のとおり条例がございません。したがいまして、条例による地域規制あるいは広告制限というものがございません。そこで、本県で見られる状況としましては、例えば学校等のいわゆる保護対象施設の周辺においてテレクラの営業所や自動販売機が設置されたり、学校等の周辺でテレクラのポスターとかビラが掲示されるといった広告・宣伝活動が行われている。また、チラシでありますとかティッシュといったテレクラの広告文の配布が、駅頭などにおいて少年に対しても見境なく行われている状況が見られるというのが事実でございます。
 次に、テレクラに関連する買春等の問題についてのお尋ねであったかと思いますが、全国的なテレクラに関する事件というものを見てみますと、平成8年中ではテレクラ関連事件として全国で1,480人が検挙されておりますが、その90%に当たる1,291人がいわゆる青少年保護育成条例に規定する淫行処罰規定で検挙されている状況でございます。
 本県におきましては、御案内のような状況でございますので、刑法でありますとか児童福祉法電気通信事業法などあらゆる法令を駆使して取り締まっているところでありますが、本県は、テレクラ関連事件としては、昨年1年間で5件8人、ことしに入りまして9月末現在で既に5件14人の事件検挙がございます。さらに、テレクラを利用して売春行為を繰り返していた女子高校生ら14人を補導しているという実態がございます。
 テレクラを利用しての買春でありますとか単純売春の行為は、有効な取り締まり法規がございませんし、また、性に絡む問題ということでなかなか表面化しにくい面もあるために、その実態がわからないというのが現実でございます。ただいま申し上げましたような数字は、恐らく氷山の一角であろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、今後とも悪質な少年非行や少年の福祉を害する犯罪の取り締まりを徹底してまいりたいと、こういうふうに考えております。
 3点目に、覚せい剤乱用の実態と対応というお尋ねでございました。
 少年による覚せい剤事案の特徴は、全国的には中学生、高校生の乱用が急増しております。乱用少年の低年齢化が顕著という傾向があります。密売の方法も匿名性の高い携帯電話やポケットベルを使用しておりまして、入手が非常に容易なことから、やせる薬といった遊び感覚あるいはファッション感覚で少年が安易に乱用するケースというものが目立っております。
 こういった実態を踏まえまして、国におきましては本年1月17日の閣議で、薬物乱用対策推進本部の本部長を内閣官房長官から内閣総理大臣に格上げをいたしまして、政府を挙げて総合的かつ積極的な薬物対策の推進を決定しております。
 本県の実態を見ますと、この9月末現在で、成人を含めた検挙人員は135人、覚せい剤の押収量は約135グラムとなっております。少年の乱用について見ますと、女子中学生を含む13人でありまして、昨年同期に比べてプラス5名となっております。これは、昨年1年間の検挙人員が9人でございましたので、昨年1年分を既に上回っているという状況であります。
 乱用防止に向けました対応でございますけれども、一つは、暴力団や不良外国人など、少年への供給源の遮断に向けた取り締まりを強化する、二つ目には、街頭補導を初めあらゆる警察活動を通じての乱用少年の早期発見と補導、三つ目には、学校、教育委員会等の関係機関・団体と連携して、覚せい剤の恐ろしさを知らせるための薬物乱用防止教室の開催、四つ目には、家庭や地域における広報啓発活動の強化、こういった事柄を重点に鋭意推進しているところであります。
 以上です。
      〔教育長戸田正明君登壇〕
◎教育長(戸田正明 君)お答えいたします。
 テレホンクラブ等についてどのような教育が行われているかとのお尋ねでございますが、本年2月、県内都市部の中学校、高等学校の2年生を抽出いたしまして、テレホンクラブ等の電話経験の状況を県教育委員会で調査した結果でございますが、中学生、高校生を合わせて7.8%でございまして、総務庁の調査によります全国の状況と比べますと、おおむね半数以下でございました。しかし、本年度におきましてもテレホンクラブ等にかかわる性非行が何件か発生しておりまして、指導の重要性を痛感しているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、中学校、高等学校におきましては、ホームルーム活動や保健の時間などで、指導資料等を活用したり、外部講師を招いて専門的な立場から指導を受けたりして、テレホンクラブ援助交際と称する行為の実態と問題点につきまして児童生徒に理解させ、健全な判断と行動ができる力を身につける指導を進めておるところでございます。
 県教育委員会といたしましては、平成8年7月に、ツーショットダイヤル等にかかわる生徒の非行及び性被害の防止について各学校、市町村教育委員会に通知をいたしまして、一つには、学校では、生徒が利用しないよう、また被害を受けないよう指導すること、二つに、保護者は子供の生活に一層気を配るよう、家庭との連携を密にすること等の周知を図っております。
 今後は、学校を中心として、家庭、地域社会、さらに関係機関と連携を図っていく取り組みを一層推進するとともに、知事部局、県警本部と一体となって青少年の健全育成にさらに努めてまいる所存でございます。
      〔社会部長花岡勝明君登壇〕

平成 9年12月定例会本会議−12月11日-04号
2番(牛山好子 君)公明の牛山好子でございます。通告に従い順次質問をさせていただきます。
次に、青少年の健全育成についてお伺いいたします。
 既に、12月定例会におきまして、各会派を代表する方々と知事初め各部の責任者である皆様の間で真剣な議論が交わされてまいりました。
 私ども公明の基本的な立場は、9月定例会で佐野議員が述べましたとおり、青少年保護育成条例を制定し、その上で、淫行処罰規定、テレホンクラブ規制条例を検討すべきであるとの考えです。
 私どもは、条例と住民運動は、対極にあるものではなくて、車の両輪であると考えております。片方だけでは走れないけれども、一緒に回れば何十倍もの力が出ると考えております。
 既に条例制定については県のお考えも表明されておりますので、改めてそれを問うものではございませんが、私は、今回この質問をするに当たり、県が最も重視している住民運動の中心となっているいろいろな立場の方に会って、特にテレクラ問題についてお話を伺ってまいりました。また、ツーショットカードやポルノビデオ自販機を置かせている地主とも話をしてまいりました。11月に、自販機の地域内の設置状況を、地方事務所の職員の方、地区育成会や町会の皆さんと一緒に見て回りました。高校の先生、PTAの役員の皆さん、警察の生活安全課の婦警さんとも話をさせていただきました。皆さん、それぞれの立場で一生懸命に取り組んでおられました。その話の中で幾つか考えさせられることもありましたので、それを述べさせていただきます。
 育成会に長年かかわってきた婦人の方は、地区内で5台あるうち2台ツーショットカード自販機を撤去させたといいます。しかし、別の地主の紹介で同じ地区内の別のところに移っただけだったとのこと。「撤去に同意してくれたのは自分と人間関係が親しかったからで、関係が希薄だと話も聞いてくれない」と嘆いておりました。
 私が訪ねた地主は業者の方からいろいろと県の状況を吹き込まれておりまして、向こうから「あんた、長野には条例がないんだ。知ってるか」と話を切り出してきたほどで、「このくらいの刺激は与えておいた方が免疫ができていいんだ」とうそぶいておりました。
 また、PTAのお母さん、お父さんは、「性のことはなかなか家の中では子供たちと正面切っては話せない」「テレクラという言葉は知っていたけれども、ツーショットカードはどんなふうに使うのか全く知らなかった」等々。
 また、現役の高校の先生は――この方は男性だったんですけれども、「テレクラは危険だという話はできる。しかし、なぜ危険かという突っ込んだ話の中で、性のこと、性交のことなどの話は非常にやりにくいというのが本音だ」と言われておりました。
 率直な印象としては、住民運動は大切だと思う、頑張っていかなくてはとの思いも強い。しかし、これでいいのかといういら立ちが現場に強いように思われます。また、住民の意識、関心は、議会でのやりとりや新聞等の報道などで少しずつではあるが高まってきております。これまで市町村で開催されてきた青少年健全育成推進大会も、参加した特別にかかわっている人だけの問題ではなく、自分が地域に、また家庭にどう伝えていくかという意識の広がりも少数ではあるが出てきております。また、運動が厳しい分だけ条例への期待感も非常に大きい。また、核になって動く人たちへの情報が少ないようにも思われました。
 また、この10月から、長野とともにテレクラ規制を持たなかった東京都で、テレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業の規制に関する条例と、青少年保護育成条例の中に買春等処罰規定を盛り込んだ条例が施行されました。
 実は、東京都は昭和63年3月に、条例の中に淫行処罰規定を設けるかどうかで論争された経過があります。都には既に育成条例はございました。当時の鈴木知事を会長とする第17期東京都青少年問題協議会は、「淫行処罰規定を設けることは不適当」との結論を出しました。そして、「性は人間の生き方そのものであり、極めて個人的なもので、人格の尊厳に直結するものである」とし、「むしろ青少年の性的自己決定能力を育むことが最も重要」と指摘、そのための教育を進めることとしています。
 そのために、性教育の核となる教師の育成、教材の開発などの援助、学校、福祉、保健からのアプローチ、相談室の設置などを進め、それとともに膨大な青少年にかかわる総合的な「青少年健全育成のための新東京行動計画」を策定し、青少年施策の推進を図りました。
 しかし、社会状況がこの5年間で大きく変化したこと、また、テレクラを使った青少年の売買春の問題が大きくなってきた中で、都は協議会に新計画策定への提言と淫行処罰規定等の2点について諮問し、本年4月の報告まで青島知事を会長に16回の審議を重ね、冒頭に至る結論を出しました。
 その中でも、重ねて「青少年の性的自己決定能力を育むために」と提言がなされ、小・中・高等学校における性教育の積極的取り組み、性的被害等に遭った青少年の心の問題や人権に配慮するための体制の充実、さらに、都民への普及や行政が青少年の情報発信の場になること等を指摘しております。
 東京都の例を紹介させていただきましたが、このことを通して、条例をつくることのメリット、デメリット、そしてそれぞれの役割を一つのテーブルの上で明確にし、また、それを取り巻く環境問題、青少年の育成について徹底した議論をした、こういうことが非常に明快であったように思います。
 この数年間、青少年を取り巻く環境は著しく変化している中で、一つ一つの事象に素早く的確に対応していくことが求められております。もう一方で、青少年の性的自己決定能力を育てることを主眼に置き、特に教育の責任を重視し、さらに各機関の緊密な連携をとる。
 これらのことから私は、条例の論議と並行して、行政、家庭、学校、地域、警察の役割を明確にし、それぞれが最大限に青少年の自立と社会参加を支援するために、すぐにできること、すぐやらなければならないこと、中・長期にわたって進めること等、総合的な計画・施策の策定が必要であり、その中で青少年の健全育成を図ることが求められていると思います。
 一昨日のテレクラ規制等への社会部長、教育長、県警本部長の御答弁、それぞれのお立場で取り組みをされている様子を伺いました。また、知事が条例等について検討していかれる旨の御決意を示されたときでもあります。
 しかし、現在、既に、テレクラ等を通して犯罪に巻き込まれる、あるいは犯罪を犯す青少年がふえていることは事実でございます。関係者の連絡協議会等を設けて、情報の交換を行いながら、よりスピーディーな、より効果的な施策の展開が急がれていると思います。
 以上のことを踏まえまして、青少年健全育成のための総合的な施策と条例の可否を含めて検討する協議会等を設置し、幅広く意見を求めながら施策の推進、方向づけをしていくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。その際、ぜひ知事には先頭に立っていただきたいと思います。
 以上の点について知事の御所見をお伺いし、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。
      〔教育長戸田正明君登壇〕
◎知事(吉村午良 君)青少年の健全育成につきましての御質問でございます。
 青少年が心身ともに健やかに育つということは、県民すべての願いであるというふうに思っております。しかし、これを取り巻く有害環境の排除につきましては、従来から、住民運動の展開、また業界の自主規制、また行政による啓発努力ということでやってまいった次第でございます。
 この問題につきましては、この席で何回か申し上げましたけれども、県民の皆さん一人一人が自分自身の問題としてとらえて取り組むとともに、家庭、学校、地域社会が一体となって青少年を温かく見守るということが重要であると、このように考えております。
 条例をつくったらどうかというお気持ちもあることは、いろいろと調査いただきましてわかっておるわけでございますけれども、しかし、住民運動でやるという精神は大変貴重なものであると、こういうふうに考えております。長野県で条例をつくらないというふうに決めてから久しい期間がたっておりますけれども、この貴重な精神が風化しないように今後とも一層青少年の健全育成につきまして努力していきたいと、こう思っております。
 庁内におきましては、スリーパワーということで、私どもと教育委員会、警察本部が一体となってこの問題に取り組んでおりますので、条例化ということにつきましては考えておりません。
 しかし、テレクラ問題につきましては、最近の傾向として青少年に著しい環境の悪化をもたらすということもございますので、先般来、総合的な視点から検討していくということを申し上げてまいりましたけれども、その精神で対応していきたいと考えております。
      〔2番牛山好子君登壇〕

平成 9年12月定例会本会議−12月09日-02号
35番(佐藤良男 君)ただいま、テレクラ規制につきまして、県民の意向を聞き総合的な視点から研究してみたいという非常に前向きな御答弁をいただいたわけでありまして、さすが吉村知事だな、県民の意向というものはちゃんとつかんでいるなというふうに感じた次第であります。
 さて、12月3日付で県警本部生活安全部長名をもって、私ども県政会団長、幹事長、政調会長、総務警察部会長あてに「少年のテレクラ利用抑止及び覚せい剤乱用防止対策の強化について」という依頼文が参ったのであります。時間がありますので申し上げてみたいと思うんですが、「最近の少年非行は、全国的には前年同期に比べ約20パーセント増加し、特に、おやじ狩りに代表される強盗・恐喝事件、援助交際の名の下に行われる売春、覚せい剤の乱用など、悪質化かつ低年齢化している現状にあり、第4のピークを形成しつつあるのではないかと危惧しているところであります。長野県における少年非行につきましても、平成7年まで減少傾向を示しておりましたが、昨年から増加に転じ、本年に入りましては前年同期に比べ約50パーセント増、増加率は全国第1位と異常な事態となっております。本年9月には、女子中学生がテレクラを通じて知り合った男性から売春の代償として覚せい剤を譲り受けて乱用していたというショッキングな事件の発生をみたところであります。その背景として、最近の社会全般における規範意識の低下や享楽的な社会風潮が、その要因の一つになっていると思われます」とあり、「家庭、学校及び関係機関・団体が連携を密にして、一丸となって取り組むことが極めて重要であります」として、「今までの健全育成活動の問題点についてご検討を願い、今後の活動や施策にご反映していただくようお願い申し上げます」と結んでいるのであります。
 参考資料として、テレクラの営業所数は、ツーショット型が平成6年は4店でありましたが、平成7年には11店、平成8年には14店、平成9年11月末では20店というようにふえており、カード自販機の台数についても、平成6年の34台が平成7年は75台と倍増し、平成8年はさらに倍増して138台、平成9年11月末では154台ということで、先ほど申し上げましたように112%の増となっているのであります。
 私たち部会で他県の条例を勉強した中で言い得ることは、青少年保護育成条例については、全国45道府県の例を見ますと、文言は若干違いますが、内容は、青少年等に対する淫行等の禁止、何人も青少年に対してみだらな行為又はわいせつな行為をしてはならない、罰則として6カ月から2年以下の懲役又は30万円から100万円以下の罰金に処す、こういうのが大半であります。
 特に、最近改正されました東京都の例を見ますと、平成9年10月9日に都議会で議決しているわけでありますが、青少年保護育成条例には淫行処罰規定は今までなかったのでありますが、条例を改正して新たに買春処罰規定を導入したもので、「何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行つてはならない」、「何人も、性交又は性交類似行為を行うことの周旋を受けて、青少年と性交又は性交類似行為を行つてはならない」、罰則として「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっているのであります。
 全国唯一の条例のない長野県においては、淫行、買春の行為に対しては、他の法令に違反しない限り取り締まりはできないということのようであります。
 私たちは、青少年を保護し育成する立場から、テレクラ業者の営業を規制する条例と、成人男性が青少年に対して行う買春行為を取り締まる淫行規制条例がどうしても必要であることを強調いたしまして、私の質問をすべて終わります。

◆15番(服部宏昭 君)順次、青少年問題や教育、林務等につきまして質問をさせていただきます。
 まず初めに、テレクラ等青少年の非行対策について質問をさせていただきます。
 先ほど佐藤議員からも触れられましたけれども、このほど県警より、「少年のテレクラ利用抑止及び覚せい剤乱用防止対策の強化について」として、女子中学生によるテレクラ売春及び覚せい剤乱用事犯を総括し、その実態をまとめ、家庭、学校及び関係機関・団体へ一丸となって青少年健全育成のために取り組むよう要請がなされました。
 それによりますと、全国的にも少年非行は前年同期に比べ約20%増加し、特に、売春、覚せい剤の乱用など悪質化かつ低年齢化している現状であり、本県の少年非行も平成7年までは減少傾向にあったが昨年から増加に転じ、ことしは約50%も増加しているとのことであります。そして、増加率は全国トップだそうであります。
 テレクラ営業も平成7年からぐんとふえてきましたし、そのカード自販機も約2倍あるいは4倍となってきたことと少年非行増加がちょうど同じ時期になっているわけであります。
 また、テレクラを利用しての事犯もあり、家庭も学校も気づかないまま女子中学生が金欲しさに援助交際と称して何度も売春をしていたとか、友達の女子中学生も「簡単に稼げる」などと仲間にしてしまったとか、売春がもとで覚せい剤の乱用に走ってしまったケースなど、テレクラによって本県の青少年が悪の手に染まる、あるまじき実態が浮き彫りにされております。
 特に、「長野県は条例がないから取り締まりができない」と他県から入り込んでくるのは、まことに遺憾であり、絶対に許すことはできない行為であります。
 青少年保護育成条例やテレクラを規制する条例がないのは長野県だけであり、本県では以前から、青少年を淫行などの悪の道から守り、テレクラからも「テレクラを利用しない」「青少年に立ち入らせない」「利用カード自動販売機を設置しない」の3ない運動を地域住民、関係機関・団体が一体で取り組み、地域ぐるみでの実践活動で一定の成果が上がっていることは承知しております。
 テレクラは、売春に走らせる許しがたい悪の道であり、覚せい剤の乱用にも結びついていく危険がとっても多いのであります。もう、時代がどんどん変化し、電話も簡単に使えるし、携帯電話やポケベルも急速に普及している現在、高速交通網も一段と整備され大都市や県外とも短時間で行ったり来たりできるようになったことでもあり、この時代にマッチした青少年保護育成対策を早急に構築すべき重大な時期を迎えていると思われるのであります。
 テレクラ規制条例制定の論議がなされておりますが、この論議を深めるには、第1にテレクラ条例の内容について明確にした上で論議をすべきであると考えます。他県では、制定した条例の主要部分はテレクラという営業を規制するものであり、しかもその規制は学校等から200メートルとか500メートルとか一定距離内についての規制であります。ところが一番求められているのは、淫行とか買春行為、特に大人が精神的に未成熟な中学生や高校生の性を買うような行為をやめさせたいということであります。そして、これらの分野については、児童福祉法売春防止法においては、これらの淫行や買春行為を処罰する規定が定められていないところであります。したがって、今求められている淫行、買春等の行為を阻止する上で現在の法律内容では不十分な点があるので、これらの法律を整備することをまず第一義的に考えるべきであり、その上で営業規制の必要があればテレクラ条例制定是非の論議となるものと考えるわけであります。
 そこで、法律、条例の体系とテレクラに係る問題の核心をどのように整理しているのか、また、テレクラをめぐる現状をどのようにとらえておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、現在の法律では、強制的に買春行為をさせない、また、買春をした者を取り締まり処罰することもできないのであります。したがって、しかるべき法によって買春を取り締まることができるよう国へ働きかける必要があると思いますし、他県においても国の法律が待てないので規制の対策を講じているようですが、本県でも国の法律ができるまでこのままでおくことはできない現状において、青少年への淫行行為、つまり買春をさせないために、そこへ導いてしまうテレクラを子供たちから遠ざけるため、強制的手段を含め何らかの方策をとらなければならなくなってきているのではないかと思いますが、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。

知事(吉村午良 君)お答えいたします。
 青少年の非行防止の関連の御質問でございますが、特にテレクラに関する内容でございます。
 青少年の非行が非常にふえているということは極めて残念であり、遺憾に思う次第でございます。ただ、ふえている理由としては、万引きとか、あるいは麻薬とか、そういった金欲しさからくる欲望といったものに駆られての犯罪というふうにもお聞きしておりまして、テレクラ条例がないことが犯罪の原因であるように思われてもいけませんので、その点は御承知願いたいと思います。しかし、テレクラに関する事件が発生しているのは事実でございますから、そのための対策も必要だろうと、このように思っております。
 テレホンクラブの営業は、御承知のように、電話を利用して男女の出会いの場を提供するだけであって、業者が性的なサービスを提供するものではないわけで、電話を通してお互いの意思を確認し合って一定の行為をするということに問題があるわけでございますから、そういうことでテレクラ営業所の規制というのはなかなか厳しいものがあるわけです。
 テレクラに関連しての規制は、今お話がございましたように、学校等から200メートル以内の場所は禁止ということはできますけれども、それ以外の場所での禁止はできないわけです。したがって、それ以外の場所に逃げて営業するという可能性、また、そのための助長性もあるわけでございますから、簡単に条例をつくったからどうこうというわけにはいかないことを御承知願いたいと、このように考えております。
 しかし、性的な関心によってその行為が行われるわけですから、そのための規制も必要だと、こう思っております。こういった問題につきましては、今お話がございましたけれども、できれば国の方でそういった法体系を整備するということも必要だと、こう思っております。
 淫行処罰の問題につきましては、本年の児童福祉法の一部改正の際、附帯決議がされておりまして、「児童の人権尊重という観点から、虐待、買春、性的搾取等に関する規制の強化等について検討を進めること」というふうにされておりまして、そのための調査研究がされております。与党3党のプロジェクトチームにおきましても具体的な検討がされていると聞いておりますので、そういった問題がいつかは日の目を見るということを期待しております。
 しかし、それまでの間、何とかしろというお話もございましたが、何とかしろといっても、先ほど申しましたようになかなか難しい問題も含んでおりますので、先ほど佐藤議員さんにお答えいたしましたとおり、総合的な立場から県としても検討を進めたいということで、また皆さんの御意見等も承って対策を強化していきたいと、このように考えております。
      〔教育委員会委員長宮粼和順君登壇〕

平成10年 2月定例会本会議−03月19日-04号
5番(降旗茂孝 君)南安曇郡選出・県政会所属・降旗茂孝でございます。 

次に、青少年の健全育成についてお伺いいたします。
 3月17日の代表質問において、私ども県政会の宮沢勇一議員からテレクラ問題に関する懇話会について知事に質問したところであります。
 テレクラ問題については、PTA連合会を初め多くの県民がその動向について注目しておりますので、あらゆる角度から総合的に検討を尽くしていただき、一定の結論が出たならばそれを尊重して、施策に反映していただきたいと考えているところでございます。
 宮沢議員は、最後に「いわゆる援助交際と称する少女売春や大人の買春の問題は依然として残るわけであります。したがいまして、この売春や買春の問題をどうするのか、長野県独自の方法で規制する方法はないかなど、懇話会の中で大いに論議・研究していただき、少年の健全育成を図ってもらいたい」との要望を申し上げております。
 テレクラの規制を行うことは、ツーショットダイヤル利用カードの自動販売機が街頭に設置できなくなることや、テレクラの利用を勧誘するティッシュペーパーや広告文書が青少年に配布できなくなることなどから、青少年のテレクラへのアクセスを一定の範囲で遮断できることになりますので、青少年の健全育成にとって一定の効果はあるものと考えられます。
 しかし、仮に条例を制定してテレクラ営業を規制したとしても、テレクラ問題が解決されるとは考えられないのであります。なぜなら、テレクラの問題は、利用する男性客の目的が自分の性的欲望を満足させるためにテレクラを利用した相手の女性と性交渉を持つことにあるといわれており、ちょっとした好奇心から利用した女子高校生などが甘い言葉にだまされて性的被害に遭ってしまうからであります。この青少年の性的被害をなくすことがテレクラ問題解決の究極の目標であると考えるからであります。
 淫行の問題については、私は健全な青少年を育成することが効果的であると考えます。それは、私自身の経験からもいえることであります。私は、妻とともに青少年育成アドバイザーの資格を取りまして、昭和50年から地元三郷村のみずほ子供会の育成指導を続けてまいりました。また、昭和52年からはジュニアマーチングバンドの指導も行っており、既に20年以上経過しております。子供たちと接してみて思うことは、子供たちはみんな素直で明るくて、いい子であるということです。
 とかく、今の子供たちは社会性がないとか、たくましさに欠けるとかいわれておりますが、私たち地域社会の大人が、各人の持てる能力を発揮して、子供たちにさまざまな体験の場を与え、仲間とともに協力して物事をやり遂げることのすばらしさや、努力した結果得られる成功の喜びなどを数多く実感させることによって、思いやりの心やたくましさや心の豊かさなどをはぐくむことができるのだと思います。こうした積み重ねの中から、みずから考える力や適正な判断力、創造力などが培われていくものと確信しております。
 さまざまな性や暴力に関する情報がはんらんし、社会の規範意識が低下する中で、私たちは未来の主人公である青少年を育てていかなければなりません。それが我々に課せられた責務であります。
 青少年の健全育成は、私たち大人がモラルを向上し、子供たちの夢を育て、子供たちを温かく見守り、適正な判断力を高めるように導いていくことにより達成すべきであると思います。有害な環境を排除することももちろん大切ではありますが、こうした健全育成活動こそが、吉村知事が今日まで貫いてこられた県民の理解と協力による県民運動の真髄ではないかと思うわけであります。
 しかし、その一方で、淫行処罰規定を含む青少年保護育成条例を制定すべしとの根強い主張があるのもまた事実であります。こうした議論は、昨年春、東京都におけるいわゆる買春等処罰規定の導入をめぐる論議をきっかけに、一層高まったのではないかと思います。
 東京都には、これまで、青少年の健全な育成に関する条例は制定されていたものの、淫行処罰規定はありませんでした。また、テレクラの営業規制条例もありませんでした。このため、テレクラ等に関連した少女の性的被害が後を絶たず、大きな社会問題となっておりました。そこで、青島都知事は都の青少年問題協議会にテレクラの営業規制と淫行処罰規定などを設けることの適否に関して諮問を行い、昨年4月に答申がなされました。その答申の内容は、青少年を性の商品化から守るためには、テレクラの営業規制と買春等処罰規定の導入はやむを得ないというものでした。これを受けて、新たにテレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業の規制に関する条例が制定され、また、青少年の健全な育成に関する条例が一部改正されて、買春等処罰規定が新たに盛り込まれたわけであります。
 3月16日の読売新聞に、「買春 懲りないオヤジ」という記事が載っておりました。それによりますと、昨年12月16日に東京都で買春等処罰規定が施行されて3カ月経過し、この間に僧侶や教師を含む10人がこの条例違反で検挙されたという内容です。
 ここで問題になるのは、逮捕された男たちの言動であります。ある男は、1,000人から1,500人の若い女性とつき合い、およそ60人とわいせつ行為をしていたというのであります。また別の男は、「お金をあげているし、相手も承知だから大丈夫と思っていた」とか、「無理やりレイプしたわけではない」とか、「同じことをやっている人はたくさんいる」などと供述しており、こうした男たちの言動は無責任きわまりないわけであります。そこからは、運が悪かっただけとか、ばれなければいいという淫行行為常習者の心理が読み取れると思います。
 また、相手の少女の言動にも問題があります。「お小遣いが欲しかったからついていった」とか、逮捕された大人に対して「かわいそうに、捕まえることないのに」と話す少女までいたというのですから、罪の意識の低さにはあきれるばかりです。
 こうした実態を見るにつけても、家庭や学校や地域社会が互いに連携して、子供たちの倫理観の育成に取り組まなければならないとの思いを強くするわけであります。
 県民の間には、淫行処罰規定に対する関心も高まっている時期でもございます。新年度に設置されるテレクラ問題に関する懇話会の中でも淫行の問題について議論していただくことを、私からも要望いたします。
 そこで社会部長にお伺いいたします。
 現在、長野県を除く46都道府県で制定されているいわゆる淫行処罰規定の内容はどのようなものなのか、罰則はどのように規定されているのでしょうか。
 以上で私の質問を終わります。
      〔教育長戸田正明君登壇〕

◎社会部長(花岡勝明 君)お答えをいたします。
 淫行処罰規定に関するお尋ねでございますが、他県では、いわゆる青少年保護育成条例の中で規定を設けておりまして、淫行処罰に関する条文の内容は、「何人も青少年に対し、淫らな性行為又はわいせつな行為をしてはならない」という規定が一般的なものでございます。
 また、千葉県や大阪府のように、青少年に対する淫行禁止の前提として「青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて」等の条件を設けているところもございます。
 また、お話にございました東京都では、「何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行ってはならない」と規定しておりまして、規制の対象を経済的な利益の対価として行う場合について処罰するように限定しております。
 次に、各県の罰則規定でございますが、青少年に対する淫行禁止につきましては、30万円以下の罰金と定めている県から、最高では2年以下の懲役または100万円以下の罰金となっておりまして、各県それぞれまちまちの状況でございます。

平成10年 6月定例会本会議−06月25日-04号
35番(佐藤良男 君)一般質問も3日目の一番最後となりました。質問も後になりますと、前の方々とあちこちと重複したり、二番せんじ、三番せんじとなり味も薄くなり、また、お聞き苦しい点もあろうかと存じますが、くじ運が悪かったということで御理解をいただきまして、よろしくお願いしたいと思います。
次に、青少年問題につきまして社会部長と教育長にお伺いいたしたいと存じます。
 21世紀を担う青少年が心身ともに健やかに成長することは、県民すべての願いであります。しかしながら、近年、青少年を取り巻く社会環境は大きく変化してきており、青少年を食い物にするテレクラ営業等による悪影響が広がりつつあります。特に、青少年の間にはPHS、携帯電話の普及率が急速に高まり、テレクラ等に安易にかかわったり、援助交際という名の売春または売春類似行為が誘発されるなど、見過ごすことのできない性行為や性被害が生じてきております。
 このような状況の中で、県警察本部が本年5月までの5カ月間に検挙した数は4件17人に及んでおり、昨年1年間の6件16人に匹敵する数となっております。最近、新聞等で報道されたテレクラにかかわる事件として、女子高校生が売春防止法違反で書類送検されたというものがありました。この生徒は、仲間の女子高校生をテレクラで知り合った中年の会社員にあっせんしたために摘発されたものでありました。
 未成年であることを知りながら、これと性的関係を持つことは、成人の悪質な犯罪行為であり、青少年はいわば性的被害者であります。
 私は、昨年12月の県会における一般質問で、知事に対し「本県においてテレクラ規制条例を設けるお考えはないか」と質問いたしましたところ、知事は、それまでの見解を一歩踏み込まれ、「今後、県民の意見を十分聞きながら、総合的な視点から研究してまいりたい」と言明されました。
 さきにも申し上げましたが、私ども県政会の政調会並びに部会において、県下高等学校PTA会長及び県下103の町村議会議長及び町村の青少年担当課長に対してアンケート調査をお願いいたし、それぞれ85%余の回答を得て、トータルいたしましたその9項目中の主なものを申し上げますと、「本県は全国唯一の青少年保護条例のない県でありますが、これを誇りに思いますか」の問いに対し、高校PTA会長、町村議長、担当課長の順に申し上げますと、「思わない」が74%、65%、67%となっております。次に、本県は条例がないかわりにスリーパワーによる3本の柱(行政の啓発、住民運動、業者の自主規制)でやっていくとしていますが、これについての質問に対しては、「スリーパワーにも限界がある」が90%、76%、83%でありました。次に、「無知や興味や金銭欲からテレクラを利用して非行に走る青少年を守るには、どうしたらよいと思いますか」の質問に対しては、1「家庭教育をしっかりやる」 2「地域住民が一丸となって取り組む」 3「条例をつくって規制する」 4「学校教育をしっかりやる」の順でありました。
 去る6月11日に第1回の懇話会が開催されたのでありますが、ここに至るまでの知事の姿勢に対し、機を見るに敏なりとして評価し敬意を表するものであります。今後は、この懇話会においてテレクラ問題についての研究・検討が進むものと思われますが、客観的なデータや資料の収集に努め、各方面からの意見を積極的に聴取し、冷静かつ公平な議論を展開していただくことを期待するものであります。
 ところで、私どもは、福島県茨城県神奈川県警察本部等で勉強してきたのでありますが、青少年を保護する立場から、18歳未満の者に対する淫行を規制する条例がテレクラ条例とは表裏一体的なもので効果を発揮するものであると思いますが、この点についての御所見を社会部長にお伺いしたいと存じます。
 次に、教育長にお尋ねいたします。
 過日の第1回の懇話会において、教育委員会は、最近実施いたしましたテレクラ等への中・高校生のかかわりについて、詳細な調査結果を公表したと伺っております。
 そこで、まず、その調査内容と、どのような結果であったのかについてお伺いいたします。
 なお、その結果について、県教育委員会としてどのように受けとめられ、どう指導していかれるのか、御所見をお伺いしたいと存じます。
 以上で第1回目の質問を終わります。
      〔総務部長矢島広道君登壇〕
◎社会部長(花岡勝明 君)お答えをいたします。
 最初に、少子化の関係でございます。
 少子化の最大の要因は、未婚率の上昇と晩婚化の進行ということでございます。特に、25歳から29歳の本県の女性の未婚率を見ますと、昭和50年には23.5%ということでございましたが、平成7年には47.5%と大きく増加をいたしておるところでございます。
 結婚をする、しない、子供を産む、産まない、これは個人の選択にゆだねられているところでございますけれども、男女がそれぞれの生き方を尊重し合いながら、従来の固定的な役割分業にとらわれることなく、子供を産み育てることに夢を持てる社会、これを構築していくことが必要であるというふうに考えておるところでございますし、また、結婚や出産を妨げる要因があるとすれば、それを取り除いていかなければならないと思います。
 少子化の背景には、社会構造、労働環境、社会保障制度、家庭生活の価値観など、いろいろな要素が関係しているわけでございます。お話にありましたとおり、本年の厚生白書におきましては、少子化問題を国民一人一人の課題として受けとめ、国民的議論を展開する中でそれぞれの意識改革を進めることが重要であると指摘し、こうしたことが少子化問題の解決につながるものと示唆しておるわけでございます。
 次に、少子化を食いとめる基本的な考え方ということでございますけれども、一つには、ただいま申し上げました国民一人一人の意識改革を進めることが重要でございますので、今後、あらゆる機会をとらえまして課題提起をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 また、子供を持ちたい人が安心して産み育てられる社会環境の整備ということも重要でございます。社会環境の整備につきましては、中期総合計画の中に「安心して子どもを生み育てられる環境づくり」を重点施策として挙げているわけでございまして、一つに、延長保育、乳児保育など多様な保育ニーズへの対応、また、育児・介護休業制度の普及啓発など働きながら子育てができる雇用環境の整備、また、周産期医療施設の整備などによる母子保健医療の充実など、幅広く対応していきたいということでございます。
 次に、テレクラ問題についての御質問でございます。
 御案内のとおり、6月11日に第1回懇話会を開催いたしまして、テレクラ営業が青少年に及ぼす影響と対策について検討をお願いしたところでございます。
 この懇話会におきましては、さまざまな観点からテレクラに関する条例の可否を含めて検討していただくこととしておりますが、淫行処罰につきましても当然議論に含まれるものと理解をいたしております。
 第1回目の懇話会では、他県の淫行処罰規定の状況や、現在国会で継続審議となっております、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案につきまして、その内容をつぶさに御説明申し上げたところでございます。
 なお、この法律案では、対価を供与して行う淫行行為を処罰することとしておりますので、懇話会におきましては、これらを踏まえた総合的視点に立った議論がなされるものと考えておるところでございます。
      〔衛生部長畑山善行君登壇〕

平成11年 2月定例会本会議−02月23日-05号
◆28番(島田基正 君)県政会・島田基正であります。県政会のトップバッターとして十分な時間をいただきましたので、時間をむだなく使い、先頭の役目を果たさせていただきます。
 選挙民の皆様から県議という立場を与えていただいて8年、その間たびたび質問の機会をいただき、その都度、誠意ある回答をちょうだいし、それが実際の県政に生かされてきましたことに感謝申し上げますとともに、県政に参画できることに大きな感激を覚える次第です。
 2期目最後の質問をさせていただきますに当たり、過去8年の質問の一つの区切りとして、地方の心や知恵、地方の力をどのように理解され、どのように活用されていくかを各方面にわたってお伺いいたします。
 現在、日本は大変な状況にあります。国民一人一人が何を考え何を望んでいるかを的確に把握できない中央の官僚によって立てられる施策は、この国に大小さまざまな危機をもたらしております。
 まず、将来の日本を担う子供が危ない、その子供を育てる教育が危ない、そんな状況の中、県政会文教部会長として、県政会の代表質問をされた金子先生の補足も兼ねて子供と教育についてお伺いいたします。
 県政会の大方針は「再び日本一の教育県に」であります。
 現在、朝日新聞に「ダブル」という小説が連載されております。これは、現代の子供をめぐる問題を連作形式に書き継いでいるうちの一作ですが、その中に、ある小学生の女の子を受け持つ女性教師と心理学を学ぶ友人との会話にこんな部分があります。「いまの子は“時間”がもどかしいのよ。自分の気持ちを説明するのもムダなくらい。世界が寸秒ごとにくるくる変わるのを知っててさ、手を出せないとじれる。で、お金にハマる」。
 結局、欲しいものを手に入れることができるのは金だけ、幸福が買えるのは金だけという風潮が若者から子供にまで広がり、しかも、寸秒ごとに変わる世界の中で育った世代は、時間がもどかしく、できるだけ安易な方法で金を手に入れようとする。それがつまるところ青少年の援助交際であり、それが犯罪という形であらわれてくるのは憂慮にたえない次第です。
 そこで、長野県下の青少年の犯罪件数は統計的に見て全国水準の中でどのあたりに位置するのか、また、他県と比べて地域的特徴があるかどうか、新幹線、高速道等によって首都圏が時間的に近くなったことによる影響が見られるかどうか、警察本部長にお伺いします。
 今回、全国の掉尾となって制定されることになると思われますテレクラ条例につきましては、他県の足らざるところを補い、テレクラ条例としては厳しい完全なものとなったと理解しておりますが、しかし、青少年健全育成のための青少年保護条例の制定されていない我が県は、本来罰すべき大人の淫行処罰規定はなく、テレホンクラブに関連して全国的に3年間で3倍(平成4年478名、7年1,410名、平成9年警察白書)にもはね上がりました。性的被害者となった子供たちの危機は去ったとはいえません。
 東京都は、テレクラ条例とともに買春処罰規定をつくりました。青少年条例のある他県も平成8年から9年にテレクラ条例ができましたが、各県はこれだけでなく同時に淫行処罰規定を強化しています。
 世界では、子供の未熟な状態を利用して子供の未来を傷つけるのは、殺人に次ぐくらい重大犯罪として扱われています。
 ことしに入って、県内のエイズ患者は大幅にふえています。厚生省保健医療局エイズ疾病対策課発表の「都道府県別感染者累積報告状況」によると、本県長野県はHIV感染者件数145とあり、これは何と大阪を上回り、全国第6位という上位を占めています。深刻な事態といわざるを得ません。
 教育県長野県の子供たちを取り巻く性の環境は、このように悪化しております。有害図書、自販機なども野放しの中、子供を救うという環境づくりと大人の責任の決意の表明を形にするため、テレクラ条例の制定、これが最終の目標でなく、長野県の青少年健全育成条例の早急な制定が急務かと思います。
 ここで警察本部長にお伺いします。
 青少年の健全育成を阻害する大人の犯罪、福祉犯は近年どんな状況になっているのか、その実情と傾向と対策をお聞きします。
 また、条例案の策定に当たりましては、テレクラ問題に関する懇話会の報告内容や県民の意見を踏まえ、関係者、機関との慎重な審議・協議を重ねつくられたとお伺いしておりますが、県内の多くの関係者がテレクラ条例の制定だけでは子供たちの安全を守られないとほとんどの人が思っている現在の状況から、引き続きこのようなプロジェクトを続行し、健全育成条例ができるまで研究し続けることはいかがかと思いますが、社会部長の御所見をお伺いします。
 そして、世界の有害図書、ビデオ、インターネット、パソコンなどポルノ通信の発信拠点といわれている日本です。諸外国においては、国を挙げて本格的な青少年保護対策の取り組みがなされています。我が国は、その法整備のおくれに世界各国から強い非難を受けている状況です。したがって、長野県においては、きめ細かい青少年健全育成条例の早期制定とともに、あすの世代を担う青少年のために国においてはその抜本策として青少年保護育成法を一日も早く立法化し、世界の常識が日本の非常識とならないようにすべきときではないでしょうか。社会部長の御所見をお伺いします。
 また、県政会からの発議で、議会から国へ意見書を提案する用意をしております。
 青少年健全育成住民大会やそれに関連する講演会等への参加者は、子育ての終わった60代から70代の者が多いと聞きますが、子育て現役の親が一人でも多く出席するような方策は考えていますか、また、市町村へ指導・要望しているか、社会部長にお伺いします。
 幸福感が金とか物質とかの豊かさによってしか得られないと思い込んでしまった子供たちが、今度はどんな形で性を売り物にするか、また、若者にとって最大の興味の対象である性をどの方向へ向けさせればいいのか、さらに、首都圏が近くなった中で、都会の誘惑から若者の目を地方の自然や田園に向けさせることができるのかどうか、といった心の問題を今後さらに深く考えていかなくてはなりません。
 金で幸せを買うという長年この社会が築いてきた物質偏重の風潮に染まってしまった子供たちの短絡的考え方を、このテレクラ条例制定を機会に教育現場でどのように子供の意識を変えていく努力がなされるか、例えば教師間でこういう根本的な問題についてディスカッション等も行う機会とか時間とかがあるのか、教育委員長にお伺いいたします。
◎警察本部長(小田村初男 君)最初に、全国水準と比較した本県の少年犯罪についてお答えいたします。
 平成10年中の非行少年でありますが、全国では前年対比3%増の約19万4,000人、本県では前年比9%減と若干の減少は示したものの3,148人となり、一昨年の急激な増加率を考えますと依然として高い水準で推移いたしました。
 これを全国水準と比較いたしますと、一つには、6歳から19歳までの少年人口1,000人当たりの非行率は全国23番目に位置しております。一昨年は、41.4%という全国2番目の増加率を示したことから、全国平均8.7人を大きく上回り9.6人と全国18番目でありましたが、昨年は全国平均9.2人に対し8.9人となったところであります。
 二つには、成人を含めた刑法犯全体に占める少年の比率は全国平均の52.5%に対し58.3%となり、全国21番目に位置し、昭和55年以降、毎年成人を上回っております。
 三つには、罪種別の構成比は全国的な傾向とほぼ同じになっております。万引きや自転車盗などの初発型非行が刑法犯全体の75%を占め、中でも万引き事件が全体の51%と相変わらず少年非行の主流となっているほか、低年齢化や凶悪・悪質な犯罪の増加などの傾向が顕著であります。
 また、地域的特徴があるかどうかという御質問であります。
 インターネット等の通信網、マスメディアの発達による情報化社会の進展や、高速交通網の整備等により首都圏と地方との差が少なくなった状況下にあって、地域的な特徴はなくなってきております。したがいまして、全国どこの地域で発生した事案であっても、直ちに本県においても発生する可能性があるのが現実であります。
 次に、福祉犯の実情と傾向及びこれに対する対策についてお答えいたします。
 昨年、本県で検挙した福祉犯罪は67件85人であり、18歳未満の少女をホステスとして稼働させていたり、高校生を深夜の労働に従事させていた例など、風俗営業適正化法、児童福祉法労働基準法といった違反により、毎年90人前後を検挙しているのが実情であります。また、テレクラ利用にかかわる犯罪も年々増加し、昨年は17件25名となったところであります。
 その傾向といたしましては、大人が自己の都合によって性的な満足や金銭的な利益を得るために少年を食い物にしているのがほとんどであります。
 これに対する対策でありますが、福祉犯は極めて潜在化・巧妙化の傾向が強いことから、常にその実態を把握し、あらゆる法律を適用して少年の保護を図ることとしており、本県議会に上程されておりますテレホンクラブ等営業の規制に関する条例も、少年の福祉を害する犯罪の防止に寄与するものと確信しております。
 警察といたしましては、引き続き少年の福祉を害する犯罪の徹底した取り締まりを推進するとともに、関係機関・団体との連携をさらに強化しつつ、補導活動や各種の施策を通じて「悪いことは悪い」としっかりけじめをつけ、罪を犯した少年に対しては、犯罪の社会的意味や被害者の痛みをよく考えさせることにより、社会人としての基本を身につけさせるように努めてまいる所存であります。
      〔社会部長花岡勝明君登壇〕
◎社会部長(花岡勝明 君)お答えいたします。
 最初に、青少年健全育成条例の対応でございます。
 御案内のとおり、テレクラ問題につきましては、テレクラを介し直接青少年が犯罪に巻き込まれたり被害に遭うというふうな状況を勘案いたしまして、特別に懇話会を設置してその対応を検討していただいたところでございます。
 青少年健全育成条例につきましては、条例によらず、県民一人一人が自分自身の問題として受けとめ、家庭、学校、地域、そして関係団体及び行政が一体となりました運動を展開していくことが、より効果が上がるものというふうに考えておるわけでございます。今後も引き続きまして従来の方針を堅持してまいりたいと考えております。
 次に、青少年保護育成法についてでございます。
 国におきましては、青少年の健全育成及び非行等問題行動の予防に関する総合的な対策を確立するため、衆議院に青少年に関する特別委員会を設置いたしまして、青少年育成基本法について検討がなされると聞いておりますので、その動向に注目してまいりたいと考えております。
 次に、青少年健全育成住民大会等への子育て現役の親の皆さんの御出席についてということでございます。
 県におきましては、毎年、青少年健全育成県民大会を開催しておりまして、青少年関係団体の代表者、青少年育成推進員、青少年補導委員、PTA関係者などの皆さんに集まっていただいているところでございます。今後も、お話にありましたように、子育て現役の皆さんにも御参加いただくように働きかけをしてまいりたいと思います。
 また、こうした大会のほかにも、青少年の健全育成、非行防止という観点に立ちまして、家庭のしつけ講座事業、親と子のいきいき講座事業などを実施しているところでございます。
 また、市町村におきましても同様にいろいろな大会を催しておりますので、子育て中の親御さんができるだけ多く出席できるようにお願いをしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      〔教育委員会委員長宮粼和順君登壇〕

平成18年 6月定例会本会議,06月27日-02号
◆45番(高橋宏 君)条例を改正することができる、やるかやらないかと聞いただけでございまして、次に行きます。
 青少年の非行防止、健全育成の問題に関しては、県民一人一人の自分自身の問題として受けとめ、家庭、学校、地域、関係業界並びに県、警察を初め行政が一体となって県民ぐるみの運動を展開するという基本方針に立ち、当県におきましては、青少年保護育成条例を制定せず、県民の理解と協力による住民運動の展開、関係業界による自主規制、行政の啓発努力の3本柱を総合的な施策として取り組んでいることを承知しています。
 しかし、全国的に、少年による殺人事件など、社会を震撼させる事件の発生が相次いでおり、長野県においても、いつこのような事件が発生してもおかしくない状況にあるように思います。
 社会情勢の変化に伴い、青少年の行動形態や非行の内容が大きくさま変わりしており、私どもの地元である中学校でも、非行グループが女性問題をネタに同じ中学生を恐喝したり、傷害事件を起こしたり、果ては担任の先生の車を壊したりといった悪質な非行が発生しています。また、少年がコンビニやゲームセンターなどへ深夜に出入りをするという状況もあり、さらに、有害図書自動販売機設置や携帯電話、インターネットの普及により、少年が性にかかわる有害情報を安易に入手できる状況でもあります。
 一方、他県では、下校途中の小学生が誘拐され、殺害されるといった、子供たちが被害者となる大変痛ましい事件も発生しております。当県では今のところあのような反響の大きな事案は発生はしていないものの、女子生徒が下校の途中に性犯罪に遭うなどの事案はしばしば発生しているやに聞いております。
 このような青少年を取り巻く環境は、少年非行と子供たちの安全確保の両面で大変問題が多い状況にあると認識しておりますが、この深刻な状況を踏まえ、警察では取り締まりや補導、警戒活動を強化していただいておりますが、地域のボランティアの皆さんは子供たちの登下校の見守り活動や街頭補導を行ったり、地域が一体となった有害環境の浄化活動を展開するなど、青少年を守るためのさまざまな活動が行われているところです。
 そこで、こういう現況を踏まえまして、青少年の非行防止、健全育成と子供たちの安全確保という観点から、長野県の少年非行の現状と最近の傾向、少年の福祉を害する犯罪の状況、子供を対象とした犯罪の発生状況と安全確保について県警本部長にお尋ねいたします。
      〔警察本部長渡辺巧君登壇〕
◎警察本部長(渡辺巧 君)お尋ねの件でございますが、まず少年非行の現状と傾向でございます。
 次代を担う少年が健全でたくましく育つこと、これは、全県民の願いでありまして、大人の社会責任であると考えております。警察といたしましては、強く優しい少年警察の運営を基本方針としまして、少年の非行防止と健全育成のため組織を挙げて取り組んでいるところであります。
 昨年、検挙、補導した非行少年の総数は2,264人で、前年比マイナス11人、マイナス0.5%とほぼ横ばいでございますが、成人を含めた刑法犯総検挙人員は4,811人でありますが、うち少年の検挙人員は1,943人で全体の40.4%を占め、全国平均の32%より8ポイント高くなっております。憂慮すべき状況にあります。
 傾向といたしましては、刑法犯少年の約7割が万引きや自転車盗などの初発型非行であります。また、車上ねらい、乗り物盗、器物損壊など、県民の皆さんの身近なところで発生する街頭での犯罪の検挙総数に占めます少年の割合が約6割と、高い比率を示しているのが特徴であります。
 一方、少年の福祉を害する犯罪の状況でございます。精神的に未熟な少年を食い物にしている少年の福祉を害する犯罪は、潜在化、巧妙化の傾向にあります。これらの犯罪は、少年相談や街頭における補導活動を通じまして常にその実態を把握し、あらゆる法令を適用して取り締まりを徹底しております。昨年は、児童買春・児童ポルノ禁止法、児童福祉法、風営適正化法などによりまして46人を検挙し、被害少年47人を保護しております。
 特に、児童の淫行に関しましては、対償の供与、約束のない淫行、あるいは年齢知情のない淫行は現行の法律では取り締まりができないため、本県以外の都道府県では、青少年保護育成条例の中に淫行禁止を規定し取り締まりを強化するなど、厳しい姿勢で臨んでいる状況にありま