児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

“女児の唾液を収集”男逮捕

 安富説では公然わいせつ罪との関係が説明されていますが、相手方が13歳未満の場合の強制わいせつ罪(176条後段)との関係はどうでしょう?

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110614/k10013519811000.html
容疑者は、去年10月から11月にかけて、小金井市などで小学生の女の子3人に「唾の研究をしている」と声をかけてプラスチックのケースに唾液を集め、その様子をビデオで撮影したとして、東京都の迷惑防止条例違反の疑いが持たれています。警視庁によりますと、東京の多摩地区や周辺では「子どもが男に唾をとられた」などという相談や通報が、この6年間で125件寄せられていました。警視庁で男の似顔絵を作って捜査を進めた結果、容疑者の犯行の疑いが強まり、自宅を捜索したところ、200人を超える女の子から唾液を集めている映像が見つかったということです

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110614-00000090-jij-soci
女子小学生に「唾をくれ」と声を掛け、吐き出す様子をビデオカメラで撮影したとして、警視庁生活安全総務課と埼玉県警などは14日までに、東京都迷惑防止条例違反(常習卑わい行為)容疑で、容疑者(55)を逮捕した。
 同庁には6年前から多摩地区を中心に125件の通報があり、同課は「唾くれおじさん」として警戒。唾を吐かせる行為を同容疑で摘発するのは初めてという。
 同課によると、容疑を認め「17年前から都内や埼玉県で約4000人に声を掛け、約500人から唾をもらった。唾を吐く姿に興奮した」と供述。自宅で発見されたビデオテープ26本には女児200人以上が写っていた。 

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011061400657
同室によると、容疑者は「女の子を自分のものにしたかったが、連れて行けないので、分身として唾液を持ち帰った。17年間で4千人に声をかけた」と供述しているという。
 逮捕容疑は、昨年10月9日、小金井市のマンションの駐輪場で、当時小学5年生で10歳だった女児に、「つばの研究をしているから、つばをくれないか」などと声をかけ、フィルムケースにつばを吐き出させ、ビデオカメラで撮影したなどとしている。
 同室によると、同じような被害は埼玉県でも確認されており、インターネット上では、「つばくれおじさん」として、警戒されていた。
 同室は容疑者の自宅などから9、10歳を中心とした女児約200人分の口の中やつばを出す姿を映したビデオテープやフィルムケースを押収した。

http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/ag10122121.html
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第五条 何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

安冨潔「第4回 迷惑防止条例」捜査研究 第51巻7号P57 2002
「著しく」とは、通常人の感覚において、「ひどい」と思われる程度のものであれば足りる。
「しゅう恥させ」とは、性的なはじらいを感じさせることをいう。
「不安を覚えさせる」とは、卑わいな言動によって身体に対する危険を感じさせ、あるいは心埋的圧迫を与えることをいい、脅迫に至らないものをいう。行為者の言動が、客観的に、他人をしゅう恥させ、又は不安を覚えさせるようなものであれば足り、現実に他人をしゅう恥させ、又は不安を覚えさせることは必要でない。
「卑わいな言動」とは、一般人の性的道義観念に反し、他人に性的しゅう恥心、嫌悪を覚えさせ、又は不安を覚えさせるようないやらしくみだらな言語、動作をいう。条例によっては、「みだらな行為」とするものもあるが、「卑わいな言動」と同趣旨のものと思われる。
卑わいな言動の中には刑法第一七四条の「わいせつな行為」も含まれ、「卑わいな言動」は、「わいせつな行為」よりも広い(刑法上、「わいせつ」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かっ、普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう(最判昭二六・五・一O刑集五巻六号一O二六頁〉とされる)。
卑わいな言動のうち、わいせつに当たる行為が、公共の場所又は公共の乗り物の中で行われる場合、通常、公然性を有すると考えられるので、刑法第一七四条の公然わいせつ罪が成立し、迷惑防止条例違反の行為はこれに吸収される。しかし、わいせつな一言語は、刑法第一七四条のわいせつ行為に含まれないとされているので、迷惑防止条例違反のみが成立する。したがって、卑わいな言動のうちわいせつ行為に当たらない卑わいな動作及びわいせつを含む卑わいな発言につき、迷惑防止条例違反が成立する。
例えば、卑わいな動作としては、臀部、太腿、膝頭に触る、スカートをまくる、スカートのファスナーをはずす、スカートの下からのぞき見する、スカートの下からビデオカメラ等で股間を撮影するなどがあり、卑わいな発言としては、通行中の婦女に「パンティーちょうだい」、「おっぱい触らせて」などと申し向けるなどがある。なお、スカートの下からのぞき見したり、ビデオカメラ等で股間を撮影する行為が、便所等の人が通常衣阪をつけないでいるような場所でなされた場合は、軽犯罪法第一条第二三号が成立するが、条例でこれらの盗撮行為を規制するものもある(岩手、茨城、広島、山口、新潟、福岡、福島、京都)。