有罪ならだいたい実刑なので、法令適用から慎重に行きましょう。
主張としては、これで全部。事件によって使い分ける。判例もある。
- 製造罪は強制わいせつ罪に吸収される・・・もともと撮影はわいせつ行為だし、強制わいせつ罪の方が重いし、176後段って児童の性的虐待行為だし。
- 強制わいせつ罪と製造罪の混合的包括一罪・・・もともと撮影はわいせつ行為だし、強制わいせつ罪の方が重いし、176後段って児童の性的虐待行為だし。
- 強制わいせつ罪と製造罪の観念的競合・・・もともと撮影はわいせつ行為だし
- 強制わいせつ罪と製造罪の併合罪・・・そんな判例もあるし。科刑上一罪だとかすがい現象で一事不再理効が広すぎる
「併合罪」というのは、原判決が観念的競合のときに、訴因不特定の主張の一部に使います。一審で主張するのは馬鹿。併合罪が原則だし、縷々展開すると「不利益主張だ」と切れる裁判長もいるから、判例を指摘する程度でいい。
古来、撮影行為=強制わいせつなので、児童淫行罪とか児童買春罪との関係とは別の問題。これは難しい。実務家以外には理解してもらえない難しさ。
検察庁に統一見解はなく、何も考えない検事は併合罪で起訴してくる。ちょっと考えた検事が観念的競合で起訴してくる。もうちょっと考えた検事は、「迷ったら併合罪」だとして併合罪で起訴してくる。
地裁レベルでは、検察官も弁護人も裁判所も論点に気づかないことが多く、併合罪でも観念的競合でもそのまま刑務所へ。控訴しても(実刑相当のことをやっているのに)「実刑は納得できない」という「量刑不当」しか頭になく、判決の「法令適用」なんて読まないから誰も死ぬまで気づかない。
高裁レベルでは、観念的競合説に向かいつつある。
最高裁では、高裁が観念的競合にしてしまうので、適法な上告理由にならず、判断でにくい。
誰もわからないけど、裁判所にとっては避けて通れない問題点というのは、適法に指摘すると、慎重に審理してもらえるので、未決算入が長くなったり、量刑が軽くなったりするので、指摘しておかないと損。