児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

社説:児童虐待 隠れた被害は甚大だ

 家庭内の性的虐待は難しいので、対策が進みません。
 毎日新聞は、どちらかというと、与党案(児童ポルノの単純所持を処罰するけど被害児童の保護救済は進めない。保護は後回し)を支持されていたと思っています。
 犯人を逮捕すれば被害児童は救われると考えてるんでしょうね。被害児童の現状を交通事故にたとえれば、、現場で事故状況を事情聴取して、犯人を逮捕して、被害児童は救急車を呼ぶこともなく、そのまま放置されているような感じです。児童が自発的に児童相談所に行けば受け付けるけど。それが与党案。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090717ddm005070054000c.html
さらに、隠れている重い被害として性的虐待がある。相談件数は全体の3・2%に過ぎないが、児童虐待の専門家で構成する「子どもと家族の心と健康」調査委員会の全国調査(98年)では、女性の29%、男性の3・7%が18歳までに何らかの性的被害にあっていたという。毎日新聞が全都道府県警に対して行った調査(05年)では、中学生以下の子が被害にあった強姦(ごうかん)・強制わいせつ事件(未遂を含む)の届け出が年間2600件を超えることもわかった。
自分が悪いという罪悪感や、被害が明らかになることを恐れて誰にも言えない子どもは多い。後遺症は深刻で、米国の調査では事故による心的外傷後ストレス障害(PTSD)は男性6%、女性9%であるのに対し、レイプされると男性65%、女性46%にPTSDが生じるという。自傷、自殺未遂、うつ、薬物依存、摂食障害などに苦しむ子どもは多い。少年院に収容されている女子の約8割が家族以外から性暴力を受けた経験を持つとの調査結果もある。

 性被害にあった子どもの聞き取りやケアには高い専門性が求められる。米国や韓国、台湾などは本格的な対策に乗り出し、司法や医療の機能を備えた支援センターが効果を上げているという。わが国でも福祉だけでない多面的な機能を結集した機関の必要性を考えてもいいのではないか。子どもへの性暴力は家族以外が加害者である場合も多く、家庭内の虐待を主な対象とする現行法では限界があることも指摘しておきたい。

 衆院解散児童ポルノ禁止法改正案が廃案になるなど、とかく後回しにされがちなテーマだが、この国の未来に暗い影を落としている問題である。国を挙げて優先的に取り組んでもらいたい。