船員法は、海事代理士の試験のときに勉強しましたが、労働法とか海難救助とかいろいろ入ってて、わかりにくい法律です。外航船の船長さんはいろいろ責任があるということです。
艦船侵入罪や威力業務妨害罪というのは、国民以外の者の国外犯(刑法第三条の二)の適用外なので、日本船舶(刑法1条2項)に乗り込んできて妨害した場合を想定しているようです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000087-san-soci
同庁によると、公海上でも、日本の船舶内で犯罪行為が行われた場合、日本の刑法などを適用することが国際的に認められている。具体的には、南極海で活動家が船の進路を妨害したり、船舶に乗り込んできたりした場合、「船や乗組員に対して危害を及ぼす行為をする人物に対して船長の権限で必要な処置を講じる」とする船員法で身柄を拘束、近海まで海上保安庁の巡視船などに来てもらい引き渡す。
さらに、巡視船が日本へ移送した上で、捜査権のある海保や警察などが艦船侵入罪や威力業務妨害罪などを適用して逮捕し、取り調べる。悪質と判断されれば、起訴され日本で刑事裁判にかけられることになる。海保の巡視船が来るまでには20日程度かかるため、この間の拘束の方法などについては今後検討するという。
船員法
(危険に対する処置)
第25条 船長は、海員が凶器、爆発又は発火しやすい物、劇薬その他の危険物を所持するときは、その物につき保管、放棄その他の処置をすることができる。
第26条 船長は、船内にある者の生命若しくは身体又は船舶に危害を及ぼすような行為をしようとする海員に対し、その危害を避けるのに必要な処置をすることができる。
第27条 船長は、必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に対しても、前2条に規定する処置をすることができる。
船長の司法警察権は、「船舶内ニ於テ」なので、船内から手が届く範囲なんでしょうね。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO234.html
司法警察職員等指定応急措置法http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T12/T12CO528.html
大正十二年勅令第五百二十八号(司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件)抄
第六条 遠洋区域、近海区域又ハ沿海区域ヲ航行スル総噸数二十噸以上ノ船舶ノ船長ハ其ノ船舶内ニ於テ刑事訴訟法第二百四十八条ニ規定スル司法警察官ノ職務ヲ行フ
○2 前項ノ船舶内ニ於ケル司法警察吏ノ職務ハ甲板部、機関部及事務部ノ海員中其ノ各部ニ於テ職掌ノ上位ニ在ル者之ヲ行フ
○3 前二項ノ規定ハ復員又ハ掃海ニ従事スル船舶ニ付之ヲ準用ス