児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

出所情報が役立たなかった事例

 うまくいくのか知りませんが、うまくいかなかった場合は、事件になるので、表に出ます。うまくいって予防された場合というのは、事件にならないので、表に出ない。

 奥村も「出所後、(欲望に対する自制心を身に付け)再犯を防ぐために病院などで治療を受けるべきだった」と言わせたり、実際に診察受けさせたりして、それは量刑上有利な情状として考慮されるのですが、だいたい、将来の再犯危険の有無とか程度というのを医学的方法で的確に診断できるのかも疑問です。診断できないものを治療するといったとしても、効果は知れていると思います。
 問題意識があるので、とりあえず、なんかやってみているだけです。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20080117-OYT8T00629.htm
性犯罪再犯断ち切れ 男児わいせつに懲役2年 医療・法制度の見直し必要=長崎
 13歳未満の子どもへの強制わいせつで服役した元受刑者の再犯率は23・2%とされる(法務省調べ)。判決などによると、被告は昨年10月6日、迷子になっていた男児(当時8歳)を乗用車に連れ込み、長崎市内の駐車場でわいせつな行為をした。2005年3月に男児への強制わいせつなどの罪で実刑判決を受け、06年11月に仮釈放されたばかりだった。
 今月8日に行われた初公判で、被告は「出所後、(欲望に対する自制心を身に付け)再犯を防ぐために病院などで治療を受けるべきだった」と自省を込めて語った。
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 ただ、「性犯罪者治療の専門医は絶対数が少ない上、採算がとれないため、民間の病院では、ほとんど治療は行われていない」と東京武蔵野病院の精神科医・針間克己氏(性心理障害)は指摘する。「唯一、治療が可能なのは刑務所内での性犯罪者処遇プログラムだ」という。
 法務省は2004年11月に奈良市で起きた女児誘拐殺人事件を受け、06年度から性犯罪受刑者を対象に、受刑者同士が自身の犯行を語り合う「グループワーク」などを行うプログラムを導入した。
 しかし、実施されているのは全国の刑務所76か所のうち20か所。被告が入所していた刑務所には導入されていなかったという。

 また、短期間では十分な処遇ができないといった問題もある。性犯罪の刑期だけを延ばすのは、ほかの罪とのバランスを損ねるため、針間氏は「医療や法制度全体を見直す必要がある」と強調する。
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 「出所後は、警戒していたはずなのに」。被告の入居するアパートがある長与町のボランティア防犯団体代表(71)は、苦悩の表情を浮かべた。近所の住民から被告が近くのアパートに入居したとの情報を入手した田中さんらは、小学校の登下校時を中心に防犯パトロール車で地域を巡回するなど警戒を強化してきた。しかし、事件が起きたのは長崎市内。田中さんは、民間団体のみによる防犯の限界を感じた。
 法務省は05年6月、13歳未満の子どもに対する性犯罪者の出所情報を警察庁に提供を始めた。情報は全国の警察に通知されるが、警察が住民に情報を提供することは禁止されている。
 全国犯罪被害者の会あすの会)顧問の諸沢英道・常磐大教授(少年法)は「出所情報の公開は、人権にかかわるだけでなく、出所者の社会復帰を妨げる危険をはらむ」とし、「出所者を受け入れる企業や住民など、更生に協力する人たちにのみ情報を提供し、見守ることで再犯防止につながるはず」と訴えている。(松浦篤、川口知也)