児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

相手に内証で性行為録画した男に無罪判決(イタリア)

 行為者が日本人で、相手が児童の場合は、3項製造罪(姿態をとらせて製造)が問題になります。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/116656/
[ローマ ロイター] イタリアの最高裁判所が、相手に内証で性行為をビデオ録画することは違法でないとの判決を下した。
 最高裁は、交際相手の女性に内証で2人の性行為をビデオカメラに録画した49歳の男性に対して懲役4カ月を言い渡した下級裁の判決を覆し、この男性に無罪判決を言い渡した。判決理由として、男性が録画した映像を第三者に配布していないことを挙げている。

 こういう条文です。↓

第7条(児童ポルノ提供等)
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。

 立法者の解説では「姿態をとらせ」は処罰範囲を限定する趣旨で、盗撮とかダビングを除外することになっていましたが、最高裁h18.2.20は撮影者による複製行為にも拡大しました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/6B7F594227E6068D4925711D00479488.pdf
 無断撮影に3項製造罪(姿態とらせて製造)を適用した地裁判決もあるので、盗撮にも適用されてもおかしくありません。

 立法担当者の解説書は否定されてしまって処罰される人も出ていて、こういうのって一番困りますよね。罪刑法定主義だとかの理屈は抜きにして。
 最初から抽象的文言にして、処罰範囲をわざとぼかして、萎縮効果を狙うわけでもなし、処罰範囲を限定する趣旨で文言を足したのに、裁判所がわざと読み飛ばすというのでは裁判所が信用できない。